ヨコハマ恐竜展2026 〜恐竜の食卓大図鑑〜

鎧竜類 Ankylosauria でしょうか。歯の拡大模型。本展では鳥盤類のベーシックな歯(よく木の葉型と言われるタイプ)を「ほぐす」ための歯としていました。

他の写真をよく見たらエドモントニア Edmontonia と書いてありました。福井の標本を元にしているなら厳密にはデンバーサウルス Denversaurus の可能性もありそう。

ザナバザル Zanabazar とグリーンイグアナ Iguana iguana

トロオドン類 Troodontidae は鳥盤類ではないですが草食用の歯をもつ獣脚類として並べられていました。そういえばトロオドン Troodon って当初は堅頭竜類 Pachycephalosauria と思われていたらしいですね。

イグアナはイグアノドン Iguanodon という鳥脚類 Ornithischia の名付け元ですが、イグアノドンはデンタルバッテリー持ちなので「ほぐす」コーナーには該当しないんですよね。

見慣れた標本との再会を楽しみながら、その見方を少しずつ更新し、最後には過去から現在、さらに未来へと視線を導かれる。派手な新規標本の数だけでは測れない、丁寧に組み立てられた展覧会だったように思います。

プレノケファレ Prenocephale

僕の知る限りプレノケファレは下顎そのものが失われているため歯も未発見です。前上顎骨歯の摩耗痕と歯隙のくぼみから、下顎前部にも犬歯状歯があったと思われます。

キャプションではドームや頭突きについての言及はなく、「恐竜の食卓」というテーマが徹底されています。

「タラルルス」“Talarurus”

我が国に巡回展で使えるアンキロサウルス類 Ankylosauridae がこれしかないのが悲しいぜ。

ジョバリア Jobaria とギラッファティタン Giraffatitan

ジョバリアは久しぶりに観ました。頭だけを拝んだのは初めてかもしれません。調べたところ頭骨は完全ではないものの、複数個体でいくつかの要素が出ているようです(Sereno et al., 1999)

ギラッファティタンはブラキオサウルス Brachiosaurus と聞いてイメージする頭骨そのもの。

どちらも鼻孔が大きく鯨類を彷彿とさせるのは僕だけでしょうか。

頭はジョバリアの方が大きいですが歯の大きさはあまり変わらないですね。

カマラサウルス Camarasaurus

親子と言いたくなるコンビですが、幼体の方は種不明らしいです。

大きい方は福井県立恐竜博物館の目玉展示のレプリカ。幼体はパレオサイエンスの所蔵物かなと思います。

ディプロドクス Diplodocus の歯 拡大模型

竜脚類 Sauropoda に見られるいわゆる鉛筆状の歯は「すき取る」ための歯として説明されていました。

ラペトサウルス Rapetosaurus とサルミエントサウルス Salmientosaurus

サルミエントサウルスの頭骨はティタノサウルス類トップクラスの保存状態を誇るだけあって展示機会が増えてきたような感触があります。この展示は、通常姿勢を意識した角度に、えー、こだわりを感じます。この展示会のこだわりというよりこのレプリカ業者のこだわりという意味です。

ラペサウルスの頭骨は調べたところ、成体とサイズ補正した幼体のコンポジットらしいので注意が必要なようです。

プウィアンゴサウルス(フウィアンゴサウルス) Phuwiangosaurus 実骨

左の四肢がかなりきれいに揃っているんですね。

プウィアンゴサウルスの大腿骨

記録のためにここに残させてください。お願いします。

アルティリヌス Altirhinus

ここからは「刻む歯」という事でデンタルバッテリー持ちの恐竜たちが並んでいました。

骨だけだと下顎に対して上顎が随分張り出しています。生体では前歯骨に大きな角質のクチバシがついていたことが想像されます。

プロバクトロサウルス Probactrosaurus

確かリニューアル前の福井県立恐竜博物館の常設でしたよね?

ブラキロフォサウルス Brachylophosaurus のミイラ化石レオナルド Leonardo レプリカ

ありがたい。しかも2024年の巨大恐竜展に続いて、今回も横浜で見られるとは思いませんでした。実物はなまじ実物なので横倒しで福井県立恐竜博物館に展示されていますが、このように起こして展示できるのはレプリカの利点が生きていますね。

肋骨が腸骨をかわすように配置されて骨盤に重ならない様子は、トリケラトプス Triceratops のレイモンド Raymond NSM-PV 20379 と同じってことに今更気づきました。

レオナルドの尾椎

尾椎がこんなに背側に屈曲しているということは、柔軟な獣脚類や竜脚類ほど前半身がダイナミックではないですが、鳥脚類なりのこれがデスポーズなんでしょう。

トリケラトプスのアニマトロニクス

ユネスコ村大恐竜探検館のような趣きを感じます。

鱗状骨はホリドゥス T. horridus 型で、鼻角は大きく、どちらかと言えば前向き見えますが角質で伸長されていると考えればやはりホリドゥスを復元したものかなと思います。

傍には卵と孵化幼体。かわいいのは良いんですが、近頃は角竜類 Ceratopsia の卵殻は柔らかい材質だったんではないかと言われているので、そうだとするとこの復元も冷静に見る必要があるかもしれません。

ちなみに僕の知る限りトリケラトプスをはじめ、ケラトプス類 Ceratopsidae の卵はまだ報告されていないはずです。

パキリノサウルス・ペロトルム(ペロールム) Pachyrhinosaurus perotorum

2024年の福井県立恐竜博物館の特別展『バッドランドの恐竜たち―北アメリカの1億年―』で顔を合わせて以来、約2年ぶりの再会です。北米大陸最北の地を縄張りにした無法者、パキリノサウルス・ペロトルムは、相変わらず堂々たる面構えでした。

大きく盛り上がった鼻瘤は相変わらず迫力満点です。ただでさえ目を引くこの瘤、生体では厚い角質で覆われさらに立派だった事でしょう。

クチバシは丸みを帯びていて、寒冷地ならではの特殊な食性に適応したのではないかという解説がありました。邪推が捗りますね。

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参考文献:

  • Sereno, P.C. et al. (1999) ‘Cretaceous sauropods from the Sahara and the uneven rate of skeletal evolution among dinosaurs’, Science, 286(5443), pp. 1342–1347. doi: 10.1126/science.286.5443.1342⁠

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