KINGS

お湯ってほとんどの場合、水より温かくないですか?ケラトプスユウタです。

さて、長崎市恐竜博物館で9月25日まで開催中の特別展『KINGS 白亜紀の支配者たち』を紹介する時がやって来ました。開催概要はこちらをご覧ください。

この特別展では白亜紀の頂点捕食者たちを王者に例え、「キングス」と呼称しています。と言うことで、たくさんの大型肉食恐竜が各地から集められております。さっそく見ていきましょう。

最初にキング・オブ・ザ・キングスという事で、
ティラノサウルス(Tyrannosaurus)(たぶん LACM 23844)
アルシャサウルス(Alxasaurus)

キングスと同じ獣脚類ですが、彼らとは違い、植物食性、つまり食われる側の動物に進化したと考えられる種類の一つとして展示されています。

デイノケイルス(Deinocheirus)のケイルス(手)

今や全身が知られているデイノケイルス。手しか知られていなかった頃はティラノサウルスより大きい超大型肉食恐竜なんじゃないかという説もありましたが、今ではアルシャサウルスと同じく植物食または雑食性の獣脚類ということがわかっています。

あと写真撮ってなかったようですが、アジアのキングスとしてタルボサウルス頭蓋および足があります。あと強膜輪付いてるタイプのアリオラムスの頭もありました。常設には別のアリオラムスの頭があるので、2個体分のアリオラムスが一つの博物館に同時に展示されている珍しい例ですね。個人的にはどっちも A. remotus に見えますが、KNGSの方が A.altai ではないかという指摘がありました。なお本展では無難に種不明の扱いです。

カンパニアンのララミディア大陸のキングとしてゴルゴサウルス(Gorgosaurus)。

三夏連続でゴルゴサウルスのルースに会えて嬉しいです。

これはあれですよね? リトロナクス (Lythromax)ですよね。

なんとアラスカのティラノサウルス類、ナヌクサウルス(Nanuqsaurus)の頭もありました。見つかっている部位は下顎の前の方ですね。

信じられないゴツさで復元されています。

アパラチア大陸のキング、アパラチオサウルス(Appalachiosaurus)。日本初公開の珍しいマウントです。僕も頭だけの展示ならトリーボルドで観たことありますが、全身を造ったものは初見です。顔が普通より長方形っぽい印象です。

かつてアルバートサウルス(Albertosaurus)に含められていたもの同士のゴルゴサウルスと比べてしまうのが人情ですが、体高は人の背より少し低いので、ルースより一回り以上小さく見えます。ルースがゴルゴサウルスとしては大きめなのを差し引いてもゴルゴサウルスよりは小さい動物だったのでしょう。

🤓

あとアパラチオサウルスに対面する形でデイノスクス(Deinosuchus)の頭もありました。デイノスクスはララミディアからもアパラチアからも見つかっているので西部内陸海路を渡れるほどには遊泳能力を持っていたみたいです。

有名なギガノトサウルス(Giganotosaurus)頭骨。南米のキング代表ですね。公開中の映画にも同じ名前のクリーチャーが登場しますから、さらに知名度が上がることでしょう。

歯を間近で観ました。よく「ティラノサウルスは他の肉食恐竜の歯が刃物のように薄いのに対しバナナのように太い」なんて言いますが、ギガノトも顔の大きさなりの太さがあって、そこまで薄いとは感じませんでしたね。

その隣にお馴染みアルゼンティノサウルス (Argentinosaurus)椎骨。ギガノトとアルゼンティノは同じ地層からは見つかっていませんが、遭遇した可能性はあるらしいです。なくはないと言った方が良いのかも。

カルノタウルス(Carnotaurus)はマウントで登場。キングスの一角と言えるかどうか知りませんが、大型肉食恐竜には違いないでしょう。

北アフリカのビッグ2。スピノサウルス (Spinosaurus) とカルカロドントサウルス (Carcharodontosaurus)

カルカロは高さは当たり前ですが長さもスピノに負けていませんね。

スピノサウルスの歯骨。実骨です。

マダガスカルのキングとして マジュンガサウルス (Majungasaurus)

顔の短いタイプのアベリサウルス類の中に脚長のカルノタウルスと短足のマジュンガがいるのが愉快ですね。それぞれ少し離れた位置ありますが、現地で比べても面白いでしょう。

オーストラリアの「財宝」。

謎の獣脚類ティミムス(Timimus)のホロタイプ(大腿骨)。「メガロサウルス類」(Megalosauridae)の爪節骨。椎骨はオヴィラプトロサウリア(Oviraptorosauria)。「アロサウルス類」(Allosauridae)の距骨。まさに暗黒という感じですね。距骨はいわゆる「南極アロサウルス」だと思いますが初めて見ました。こういうものを見ると日本の方が恐竜に恵まれているなと思います。

これで終わろうと思いますが、長崎市恐竜博物館2度目の特別展にして初の恐竜展ということで、関係された皆様の熱意を感じる展示だったと思います。この博物館に近接する三瀬層で実際に見つかっているティラノサウルス類と関連し、強大なイメージがあり人気の高い大型肉食恐竜たちが主題に選ばれており、アカデミックかつアトラクティブかつローカリティーも高いテーマなのが素晴らしいと感じました。また、これほどたくさんのティラノサウルス類が1箇所に集められている特別展も珍しいので、ご興味ある方はぜひ感染症に気をつけて会期中に足を運んでください。

常設展も近いうちに紹介したいと思います。

それじゃ👋