福島県立博物館 大恐竜展 #2 世界初公開!新発見の堅頭竜類ザヴァケファレ

POWER KEEPS SAFER ROAD. 頭の硬さ、たった今試される時。ケラトプスユウタです。

タイトルの通り、福島県立博物館の特別展『大恐竜展』のレポート2回目やって行きます。

当展の目玉展示、ザヴァケファレ Zavacephale ホロタイプ実骨

前回触れた通り、日本人研究者を含む国際チームにとって2025年に記載された新種の堅頭竜類 Pachycephalosauria 。

この骨格は既知の堅頭竜類で最古(前期白亜紀アルビアン期、約1億1000万年前)であるばかりか、最も完全度が高いらしいです。胃石も見つかっているんですね。胃石は堅頭竜類では初発見で、僕の知る限り周飾頭類 Marginocephalia としてもプシッタコサウルス Psittacosaurus に次いで二例目です。

手の骨も中手骨、指骨、末節骨が各一本ずつとささやかですが、堅頭竜類でようやく発見された快挙です。でも手指が何本かはまだ正確にはわからない

頭骨。

細かい立体構造まで保存されていて、現生種の白骨のように美しいです。

幼い個体ながらドームがすでに発達しており、体の成長より先にドームが形成されたと考えられています。これは多くの人が思ってると思いますが「ドラコレクス Dracorex とパキケファロサウルスの成長段階説」に対してはちょっとした向かい風になりそうでもあります。

あと基盤的な堅頭竜類はワンナノサウルス Wannanosaurus のように頭頂部が平らだったはずなので、ザヴァケファレは最古にして進化的な形質をもっていたという点も面白いです。系統解析によるとワンナノサウルスに次いで基盤的な位置なので尚更。

ドームの上面視。角質と関係するはずの血管神経孔らしきものは頭頂よりもサイドの方に集中しているんですね。

発見時、この部分が文字通り露頭していたらしいです。発見者のチンゾリグ•ツォクトバートル先生は、それはそれは祝福されたような心持ちだったのではないでしょうか。

単離した歯。

パキケファロサウルス Pachycephalosaurus の歯とは似てないように思います。

頭に次いで保存良好な脚まわり。

趾骨は一個しか出てないみたいですが、大腿骨はよく曲がっていて第四転子も発達しているので足が速そうです。

大腿骨は年齢を調べるのにも役立ったようです。

尾椎。

骨化腱もよく保存されていますし、これだけの長さが関節して見つかったのも堅頭竜類としてはすごい事なのではないでしょうか。

マウントでは2頭が頭を向け合って駆けている姿で、生きている姿を鮮やかに想像させる展示になっています。

幼体同士なので、さしずめ決闘ごっこといったシーンでしょうか。

この特別展の為に作られたであろう生体復元模型。

ハンズオン展示のザヴァケファレのドームのレプリカ。

鳥取の鬼太郎ロードの目玉親父みたいにいずれてっぺんだけつるつるになりそう。いや最初からか。

ドームがこのように鼻骨まで覆う堅頭竜類ってけっこう普通にいたのでしょうか?
このステゴケラスとパキケファロサウルスの違いとしてしばしば見聞きする部分ですが、ザヴァケファレもそうなってるんですよね。

モンゴルの堅頭竜類では昔から代表的なホマロケファレ Homalocephale のホロタイプ。

神流町恐竜センターにレプリカがありますが、その貴重なオリジナル。

未発見部位を補完していないのが親切で好きです。

登頂部は平たいですが厚く発達しているそうです。

ドームが発達するかどうかが、もし系統の違いではなく同種内の差だとすると「ドラコレクス-パキケファロサウルス問題」に関連して成長段階という風向きが強かったかなと感じていたのですが、ザヴァケファレの発見で成長段階説の怪しみが出てきた分、相対的に性的二形説も可能性が出てきた感触がありますよ。

逞しい骨化腱。

アムトケファレ Amtocephale のホロタイプにして唯一の標本である頭蓋(前頭骨と頭頂骨)。

上下逆で展示されています。

よくわからないですが、展示されている堅頭竜類の中ではステゴケラスに近縁なようです。

アムトケファレはこの一番頑丈な部分しか残っていない事によって、完全度の高いザヴァケファレの発見・採集・剖出・展示のありがたみもわかるというもの。

ゴヨケファレ Goyocephale ホロタイプ実物。

これも初めて拝みましたが、想像よりも完全で美しいです。

側面視はこんな感じ。

ホマロケファレのように頭頂部は平らですが、ゴヨケファレのは薄いらしいです。

有名なパキケファロサウルスのサンディー Sandy の復元頭骨。

やっぱりパキケファロサウルスのドームは、鼻骨まではカバーしていないものの、上側頭窓を完全に覆っていてかっこいいですね。

さて!堅頭竜類は、恐竜類のなかでもなお不明な点の多いグループかなと思います。けれども、頭の形や体のつくりをこうやってよーく比べると、それなりに変化に富んでいると言われます。僕はまだそこまでわかりませんが、新たに知られたザヴァケファレも、ドームに包まれた堅頭竜類の謎を解き明かす手がかりとして、これから多くの知見をもたらしてくれることでしょう。

そして今回、かけがえのない標本を一堂に集め、その姿を展示してくださったすべての関係者に、頭から感謝いたします。

すみません。キリがいいところで中断させてください。

続きは次回。

それじゃ👋