いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!

ひげじいが言ってそうなダジャレ行きます。カッコウだけに「恰好の餌食」ですな! ケラトプスユウタです。

2026年10月12日まで東京都の国立科学博物館で開催されていた特別展『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』みなさん、行かれましたか?

ということで、簡単ではありますが本記事を以って侵入レポートに代えさせてください。

生物というジャンル一つとってもその中に無数の分野があります。本展では感覚器官、エネルギー補給、体の大きさ、移動、単独行動と集団、繁殖の6つの分野を中心に、“生き物超ワールド”を見ていこうという、そういう趣旨でした。

プロローグでは、早速、草原、森林、砂漠、海、都市など地球上の多様な環境に暮らすさまざまないきものたちがパノラマイラストと標本で紹介されていました。現実では分断・隔絶されている各環境がシームレスに繋がったイラストで、地球環境のつながりも表現されていたのかなと感じました。

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第1章 いきもので異なる「五感」

アフリカゾウ Loxodonta africana の耳介

トリケラトプス Triceratops のフリルを思わせるかもしれませんが、彼らのフリルとは違って骨質ではなく軟組織だけでできているんですね(当たり前)。

ゾウの耳介は我々の耳と同じように集音にも役立っていますが、うちわのように扇いで涼しくする機能について解説がありました。ご存知の方も多いでしょう。

あおがなくても広い表面積だけで、ある程度は放熱に役立っているのも事実でしょう。

コロノサウリア Coronosauria のフリルもしばしば体温調節機能が示唆されています。あと彼らのフリルも、背後の視野の狭さを補うように、後ろからの音を集める機能があったんじゃないかと妄想しているのですが、そういう研究ってあるんでしょうか?

メンフクロウ Tyto alba 剥製

耳介はなくても顔面が集音器になっている恐竜類 Dinosauria 。耳の位置が左右非対称というのも面白いです。

展示主旨とはズレますが、メンフクロウといえば最近、スイスの野生個体群を30年間追跡した結果、羽色が暗くなり、黒い斑点が増えていたなんて研究も発表されましたね。3000個体以上のゲノム解析から、少なくとも一部の変化には自然選択が関与していたと推定されています(Cumer et al., 2026)。

わずか数十年間の自然界の進化を実測的に捉えた興味深い研究です。

アカシカ Cervus elaphus 剥製

フェロモンを説明するための展示ですが、さすがにフレーメン反応をしている状態で作られた剥製ではなかったです。

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第2章 いきもので異なる「エネルギー補給」

シャチ Orcinus orca 骨格と生体レプリカ(FRP造形)

スピード型の捕食者の一つとして紹介されていましたが、パワーや知略や群れという武器をも兼ね備える、「天は二物を与えず」を種レベルで否定する存在ではないでしょうか。

骨はバシロサウルス Basilosaurus をゴツくしたような姿で恐ろしげですが、生体はかわいげがあります。バシロサウルスも生体ではかわいげのある見た目だったかもしれませんね。

ツメバケイ Opisthocomus hoazin

2024年の『鳥展』で拝んだのも記憶に新しいです。

完全な植物食性の珍しい鳥類 Avis 。特定の食物しか食べない、偏食のいきものとして紹介されていました。

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第3章 いきものの挑戦「サイズ」適応術

ピラミオドンテリウム Pyramiodontherium 骨格やメガマウスザメ Megachasma pelagios 剥製

本展最大の目玉展示と言っても過言ではない存在感です。

ピラミオドンテリウムはアルゼンチンのオオナマケモノ類 Megarheriidae で、見ての通りの巨体ですがこの個体は成長途中らしく、もっと大きい個体も知られているそう。

まるでウルトラマンの怪獣図鑑に載ってそうな骨盤や尾椎。

ナマケモノらしからぬ血道弓。

近くに展示されているノドチャミユビナマケモノ Bradypus variegatus の尾椎はこんな感じで血道弓はついてなかったです。

ピラミオドンテリウムの頭骨。名前の由来となったエッジの効いたうねのある歯を見せています。歯は少ないですが一個一個が大きいですね。

実物の骨格がケースの中で横たえてありました。シロナガスクジラを映したスクリーンがあり、どうしても反射を抑えずに撮ることができませんでした。

ピラミオドンテリウムの踵骨

二足歩行ゾイドの踵のような頑丈なつくりでこれも動物離れしていると言うか、怪物じみて見えます。

ピラミオドンテリウムの手

大きな末節骨の基部が指骨側へ食い込んでいます。またジャイアントパンダ Ailuropoda melanoleuca よろしく種子骨か何かが突起状になって追加の指のようになっているように見えます。

ノドチャミユビナマケモノの腕

鎌のような末節骨だけ見たらテリジノサウルス Therizinosaurus みたい。いや、ノトロニクス Nothronychus みたいと言うべきか。

お馴染み、アルゼンティノサウルス Argentinosaurus 胴椎

おそらく本展唯一の非鳥類型恐竜。

この恐竜のパーツはこれしか見た事ないです。

リオネグリナ・ポゾサラネンシス Rionegrina pozosaladenais

ピラミオドンテリウムと同じ地層から出ているフォルスラコス類 Phorusrhacidae の足跡タクソンらしいです。

なんか二本趾の足跡に見えるのでドロマエオサウリプス Dromaeosauripus 風味じゃないですか?

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この後、いきものの世界を大迫力の映像で観せる展示があり、トイレの手前の箸休めみたいな通路は「マヌールのゆうべ」(NHK ダーウィンが来た!のオマケアニメ)コーナーになっていました。監修の先生方が選んだ、いきものたちの不思議で奥深い世界を描いたマンガがキャプションになって展示されていました。

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第4章 いきもので異なる「移動」のかたち

タイセイヨウクロマグロ Thunnus thynnus

『海展』か『和食展』で展示されていた模型ですよね。

解説で鯨類と比較されていたところに田島木綿子先生らしさを見ました。

ヒクイドリ Casuarius casuarius (左)とブラックバック Antilope cervicapra 骨格

健脚で大地を賭ける草食動物の中で、恐竜類と哺乳類、有羊膜類 Amniota の中で系統的に対照的なところからノミネートされたように思います。

頭が派手なのも共通点ですね。

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第5章 「いきものに学ぶ『集団』の意義」

カタクチイワシ Engraulis japonica

美しく逞しいイワシの群れもこうなってしまうと煮干しを写真に貼り付けたみたいな、港町の小洒落た道の駅の名産品のちょっと工夫した展示に見えてしまうのですが…それにしてもあれだけ群がっていてそれでいて優美な動物というのも、僕にとっては稀有な存在です。

コウヨウジャク Placeus manyar

南アジアから東南アジアにかけて分布する恐竜類。

群れを作ることよりも、球状の巣をヨシの枝に吊るし、その出入口が下向きの筒状になっているので天敵が侵入しにくいという解説が印象的です。

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第6章 いきものが紡ぐ『命のバトン』

2種のオウサマペンギン属 Aptenodytes

オスとメスが交代して交互にヒナを育てることで知られる恐竜類。

成鳥と幼鳥の模様の違いも解説されていました。ところで成鳥と幼鳥で模様が似ている鳥っていますか?

ステノプテリギウス Stenopterygius

疑問に思うのが、卵胎生の爬虫類が魚竜類 Ichthyosauria になったのか、魚竜類になってから(つまり最初の魚竜類の誕生後に) 卵胎生が獲得されたのかという事なんですが、有力視されている考えとかってあるんですかね。

そして海棲爬虫類歴の長いウミガメ Chelonioidea はいつまで地上で産卵するつもりなのか。

ドールビッグホーン(ドールシープ) Ovis dalli

さすが展示に回されるだけあって角が勇壮な個体です。

オスが種内闘争の一環で頭突きによる決闘を行うという生態が説明されていました。

2017年にバンフの山道で道を塞がれた事を思い出しました。

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さて!簡単ですが以上です。

タイトルで“いきもの”と言いつつ展示物は、少なくとも僕の記憶している限りでは、すべて動物 Animalia だけでした。菌類や植物類も紛れもなく環境を構成するいきものではあると思うのですが、まあ「ダーウィンが来た!」という番組自体がそういう番組なのと「どうぶつ超ワールド」だとあまりにも字面が低年齢向けっぽくなるし「動物超ワールド」だと一見“動物超”という新しい三文字熟語が入ってるように感じるなど、複雑な事情があるのでしょう。それに動物だけを展示して「いきもの」と称するのは範囲を広めにとっているだけで何も間違ってないですしね。

本展は、動物に興味を持ち始めた人でも楽しめる親しみやすい内容を基本としながら、メイオベントスの存在や、モグラが匂いによって縄張りを誇示することなど、僕にとっても初めて知る話が随所に盛り込まれていました。入口は広く、それでいて多くの人に発見が用意された展示だったと思います。

また、各章を哺乳類、鳥類、魚類といった分類群ごとに区切るのではなく、「五感」「エネルギー補給」「移動」「繁殖」など、あらゆる動物たちに共通する横断的なテーマで構成していた点も印象的でした。大小さまざまな分類群が各所に散りばめられており、非常にカラフルで緩急のある展示になっていました。異なる分類群を一つのテーマのもとで見せる構成は、展示づくりという点でも参考になります。

『ダーウィンが来た!』との共同企画だけあって映像資料も豊富で、その質の高さはテレビ番組全面協力ならではのものでした。標本やキャプションだけでは伝えにくい動物の動きや行動を、実際の映像によって補えるのは、本展の大きな強みだったと思います。

会場はかなり混雑しており、キャプションの多くを思うように読むことができませんでした。それだけ多くの人が足を運び、動物たちの世界に関心を寄せていたということでしょう。

この記事を書くにあたって図録にも目を通してみましたが、紙面上で情報や写真が整理されたことによるのか、意外にも展示会場にはないワクワク感がありました。

それじゃ👋

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参考文献:

・Cumer, T., Topaloudis, A., Lavanchy, E. et al. (2026) ‘Genomic bases of short-term evolution in wild barn owls revealed by long-term monitoring and population-scale sequencing’, Nature Communications. doi: 10.1038/s41467-026-78632-4.

・国立科学博物館・NHK・NHKプロモーション編(2026)『いきもの超ワールド展:国立科学博物館×ダーウィンが来た!:特別展』東京:NHK・NHKプロモーション。