恐竜復元教室レポート イグアノドン編

「お前よりデカいんだから襲うんじゃねえよ(・∀・)」 山本聖士

胃腸が弱っている人に辛い物を食べさせるのは犯罪。ケラトプスユウタです。

復元教室レポートを消化していかないと行けないので今日も復元教室レポートです。2020年11月1日のイグアノドン編です。

イグアノドン Iguanodon 、それは記録上最初に発見された恐竜。ギデオン・マンテルの妻、メアリーが拾って来た歯から命名したとかどうとか。この属名は「イグアナの歯」という意味で、フチに細かいギザギザがあり畝が走る木の葉型の歯がイグアナの歯に似たところがある。木の葉型の歯は未使用の歯で、使用されてすり減った歯はサイのそれに似る。

デンタルバッテリーの側面図

イグアノドンはイグアノドン類 Iguanodontia の中では原始的。骨格がイグアノドンに似ているアルティリヌス Altirhinus は複数の歯列が咬合に参加しており、歯はより派生的である。エドモントサウルス Edmontosaurus ほど派生的なハドロサウルス類になってくると石臼のような歯列を形成する。象牙質とエナメル質の組み合わせで歪な形の歯になり、それが植物をすりつぶすのに好都合。表面の畝は先端が削れて初めて機能する。ハドロサウルス類 Hadrosaurid の歯の組み合わせは複雑になっているが、歯一本一本の構造は単純な形になっている。イグアノドンはシダやトクサのような下生えやべネチテス(ソテツみたいなやつ)を食んでいたかもしれない。イグアノドンのいた時代はジュラ紀の植生をまだ引きずっている。歯が大きいので大概のものは食べれそうだが何を食べていたか特定するのは難しい。

イグアノドンはよく四足歩行で描かれるが、恐らく二足歩行も四足歩行も可能だった。四足歩行の足跡は知られている。腰に重心を近づける為に、マンテリサウルス Mantelisaurus と比べて胴が短く進化している。その分腕を大きく発達させることができた(進化の順序は逆か同時かも知れないけど、要は腕の大型化にともなって胴が短くなっている)。四足動物にしては重心が腰に近い。走る時は二足。手首が固定的かつ完全に横を向いているので走るのに役立たない。手は長さ、太さからすると体重を支えるのには支障はない。四足歩行の恐竜の多くは前足が杖(ステッキ)になっている。腰と尾が高く、肩は低い。マンテリサウルスの場合、前方胴椎の突起が高い。

温暖な気候に生息。

福井県立恐竜博物館のイグアノドンの化石は歪んでいる。

『頭』

「目つきを悪くする突起」は眼窩上部の縁にくっついており、ひさしのような状態を形成している。

口先が丸っこく、ハドロサウルス類のように広くない。ケラトプス類は下顎が前後に動いてすり潰しを行なう。これは鳥盤類の基盤的構造。フクイサウルス Fukuisaurus は上顎の可動性がなくなっていて下顎が厚くなっている。

イグアノドンが口ですり潰しを行っていたとすると、下顎の後ろあたりに唾液腺があった可能性がある。

ハドロサウルス類に至るまでの基本的な素地はイグアノドンの段階ですでに達成されている。大型動物は長々咀嚼するよりも次々飲み込んだ方が合理的。哺乳類は砂嚢を持たないので口以外で食物の物理破壊ができない。

『首』

首は長めで可動性が高い。第2頸椎が発達しており、首の力を使って植食をむしりとるのに適している。これは鳥盤類の基盤的形質。生体の外形からは筋肉で覆われるので見えない。イグアノドン類は首もハドロサウルス類と比べてマッシヴ。筋肉質に復元しても良い。関節面の上の高さもそこそこある。この部分はマンテリサウルスとも違っていて、骨格の特徴として明確。

『前足』

ハドロサウルス類と比べて上腕が長い。ハドロサウルス類は三角筋突起が上腕の中程にある。イグアノドンの上腕骨は三角筋突起より下側の方が長い。下腕もしっかりしていて尺骨もヒトで言う肘がしらがよく発達している。指骨は第5のみ分岐しており外側に伸びている。ノーマンは第5指は握り込める指として示唆しているが…(・∀・)

ハドロサウルス類の末節骨は第3が最大。イグアノドンは第2が最大。

第1指の先はスパイク状になっている。たぶん武器。基本的に接地はしない。第2、第3指には蹄があり、その下に肉質のパッドがあったはず。

軟骨の胸骨が骨化しており、肩甲骨の可動性を示唆する。ワニでさえ肩は動くので、イグアノドンの肩甲骨が動かない方が不自然。肘から先が固定された動物が四足歩行するなら肩甲骨が動いた方が好都合やろがい。アリクイの前肢が参考になる。

小型鳥脚類 Ornithopod の手には基本的に蹄がある。

ハドロサウルス類はイグアノドンと比べて前半身を軽量化している。

『足』

獣脚類と比べると腸骨の高さがない。筋肉の質の違いだろうか(哺乳類もそうだが、肉食動物の方が瞬発力を生む柔軟な筋肉をもっている。植物食動物は持久力を生む堅い筋肉をもっている傾向がある)。

後肢にマッシヴな構造を残している鳥盤類は、二足歩行鳥脚類のみ。恥骨後方に向かっている突起は貧弱になっている。福井県立恐竜博物館のイグアノドンは後方仙椎が欠けていて尾椎の棘突起も先端が欠けている。血道弓も途中で無くなっているが実際もっと長いし、グレゴリー・ポールの骨格図ほど細くもない。

第四転子が発達している。小型の機敏な鳥脚類の特徴をそのまま引き継いでいる。腸骨の前後長があり、腿の筋肉がでかい。(ステゴサウルス Stegosaurus も腸骨の頭側が長いが、尾側が短いので頭側にだけ大きな筋肉があっても意味がないので、シート状の薄い筋肉と靭帯があるだけだったはず。)

イグアノドンは全長9mになっても跳躍走行した可能性がある。それを制限する構造は特にない。しかし同地域の生き物の中でも大型であるため、そんなに走らなくても生きて行ける。

第1趾が退化している。足指の長さは鳥脚類の中でもバリエーションがあるのでできるだけ描き分けた方が良い。

イグアノドン類の足跡は世界中から見つかったいて、ノルウェー領スヴァーバル諸島のスピッツベルゲン島からも出ている。

四足歩行恐竜は二足歩行のものと異なり、腰幅が広いことに問題がなく、歩幅を狭くしなくても不都合がない。連続した足跡は直線上に重ならない。

(哺乳類は恐竜と違って腰が重量を支えるのに向いていない。産道の関係で正中線近くに肘と膝を持って来たい)

ケラトプス類は急激に進化したので腸骨の長さを広げる時間がなく、腰の幅を急速に進化させた。

【幼体】

イグアノドンは幼体の化石も知られている。ハドロサウルス類の幼体に似た感じ。ハドロサウルス類と同じく足の比率が成体とあまり変わらない。(参考画像)

以上だばーろー