CM カーネギー自然史博物館 #6 Tレックスのホロタイプ

2月になりました。ケラトプスユウタです。

さて!2021年に始まりましたカーネギー自然史博物館(CM)のレポートもいよいよ中盤に差し掛かりました!!今回はあの有名恐竜の中でも特別な個体を紹介できそうです!!

先に謝っておきますが、今回も標本は素晴らしいのに対し、写真はかなりひどいです。ご了承くださいませ。

まるで下生えを食べようとしているような、コリトサウルス(Corythosaurus)の優雅なマウント。

紹介したい有名恐竜というのは、本人を前にして言いづらいですが、コリトサウルスのことではありません。

ティラノサウルス(Tyrannosaurus)頭骨。たぶん AMNH 5027 。

新しい博物館だとスタン(BHI 3033)がこういう感じで頭だけ展示されている場合が多いですが、カーネギーほどの歴史ある施設ですと AMNH 5027 がその地位にある場合が多いように感じます。

紹介したい有名恐竜はティラノサウルスには違いないのですが、この標本でもありません。

倒れたエドモントサウルス(Edmontosaurus)をめぐって口論する二頭のティラノサウルスが待つ白亜紀のメイン・テーブルへと、道は蛇行します。

そうです。この博物館で展示されているハドロサウルス類(Hadrosauridae)はたった2頭だけ。しかも1頭はバラバラになっています。

それを補って余りあるのが、古環境的な考証が凝らされた展示です。この白亜紀の展示では、地面に「雑草」が生えており、これらの動物の生態的な背景をより実感できるようになっているのですよ。当時のヘル・クリークの世界を想像させる、意義深い選択ではないですか。

左はティラノサウルスのホロタイプ(CM 9380)、右はペックスレックス(MOR 980)のキャスト。

同じくらいの大きさの異なるティラノサウルスの個体を直接比較できる博物館はとても珍しいので、ティラノサウルスの個体差を調べる上ではとても優れた展示なのではないかと思います。所詮どこにでもいる見慣れた恐竜と思わず、つぶさに観察されたいですね。その点、僕はダメでしたけど。

CM 9380のマウントは実骨を含んでいます。一個の頚椎、いくつかの胴椎、右肩甲骨、左上腕骨、骨盤、左大腿骨、両方の脛骨、いくつかの中足骨が実骨らしいです。また、頭骨は実骨をデジタルスキャンした3Dデータと他の複数のティラノサウルス標本の3Dデータをコンポジットして作った物らしいです。

伝説によると、CM 9380 は1900年代初頭にバーナム・ブラウンがワイオミング州で発掘した標本ですけども、最初はこの番号ではなく、AMNH 973 という番号で登録されていました。

発見から3年後の1905年にニューヨークのアメリカ自然史博物館(AMNH)のヘンリー・オズボーン博士がこの標本をもとにティラノサウルス・レクス(Tyrannosaurus rex)を記載しました。

1941年、この標本は日本軍の爆撃から守るためにAMNHからCMに疎開させられ、それに伴って標本番号はCM 9380に変更され、現在に至るそうです。

AMNHは貴重なティラノサウルスのホロタイプを気安く手放したというような事を言われる事がある昨今ですが、我々日本人がそれを強いた部分もあることを忘れずにいたいですね。どこにいようと。

それじゃ👋

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