MOR #16 HALL OF HORNS AND TEETH / CONTEST OF CHAMPIONS

毎日が絶滅生物の日なのだから。ケラトプスユウタです。

Tレックス軍団ヨシズトライクエックス・レックス 、これよりXティンクションのアジトに突入するの紹介を終えて、ロッキー博物館の展示物紹介も峠を迎えたとお思いのみなさん、そうじゃないですよ!

今日はビッグスリーに勝るとも劣らない、各タクサの最後の属種となった恐竜たちのうち3種を紹介します。

アンキロサウルス・マグニヴェントリス Ankylosaurus magniventris 頭骨キャスト

AMNH 5214

鎧竜(曲竜)類は Ankylosaur の対訳であることからわかるように、その名付け元で全ヨロイ竜を代表すると言っても過言ではないこの恐竜。有名なわりに目にする機会はまれで、展示されていてもこのように頭骨のみであることが多いです。

いまんとこ(比較的)まともな骨格が知られているアンキロサウルスは(たったの)2体分(だけ)らしいですが、AMNH 5214 はそのうちの1個体です。

ちなみに発見者はアメリカ自然史博物館の高名なミスター・ボーンことバーナム・ブラウン氏です。産地はモンタナ州ガーフィールド郡 Garfield county のヘルクリーク層 Hell Creek Formation 。

後頭顆(首の骨に関節するでっぱり)がこの角度から見ると下向きなので、口を下(地面)、後頭部を上(空)に向ける姿勢がデフォルトだったように見えます。

AMNH 5214 は四肢とハンマー状の尾が知られている唯一のアンキロサウルスでもありますが、これはその由緒正しきハンマーのキャスト。アンキロと言えばハンマーといった風潮もあるので、これはトール Thor で言うところのミョルニール Mjornir 並に由緒正しいハンマーと言えますか?(きくな)

アーマーの一部。アンキロサウルスは胴体の背面一面や足の辺りをこういった皮骨で覆っていたわけですが、これらがどのあたりについていた物かは僕にはわかりません。

余談ですが、アンキロサウルスの装甲は最初ティラノサウルスと一緒に発見されたのでティラノサウルスのものと思われていたらしいです(ソースはアヌさんの動画)。

このキャプションは装甲の内側の顕微画像。メタプラスチック骨(?) Metaplastic bone と呼ばれる無機繊維(無機物でできた繊維)をあらわしているそうで、幼体のアンキロサウルスの皮骨は軟らかく、成長するにつれ硬くなる事を示唆しているとのことです。

アンキロサウルスの推定体重は5tと同生物相の植食恐竜であるトリケラ、エドモントより軽めですが、四肢が短く胴体が大きいので鈍足だったので防御に全てをかけて身を守ったのでしょうが、先述の「ティラノサウルスの装甲」の持ち主は装甲ごとムシャムシャいかれたことがわかっていますし、ボレアロペルタ Borealopelta には保護色となるような模様があったことが示唆されていることから大型のヨロイ竜でも捕食圧が低くはなかったことも想像できるので、最強に近いヨロイ竜もTレックスの前では無敵ではなかった気がしてきます(なんかアンキロの記事なのにティラノを持ち上げる形になってしまったな)。

とにかく、標本が乏しく妥当な復元骨格が未だに造られていないアンキロサウルスですが、パーツがほんの少ししか見つかっていないのに全身骨格が復元される恐竜(誰とは言いませんが)よりはマシなものが作れるだろうとは思います(そうまでして作ってほしいとは思いませんが)。それより追加標本を待ち望みたいところですね。装甲なんて残りやすそうなものですが…🤔


続いて紹介するのはこの恐竜!

ドラコレクス Dracorex と呼ぶべきか パキケファロサウルス Pachycephalosaurus と呼ぶべきか。

説明しますと、(恐竜ファンの間では有名な話ですけども)ヘルクリーク層の堅頭竜は複数の属が知られておりまして、ドーム状の頭のパキケファロサウルス、ドームがより小さく周囲にトゲトゲのあるスティギモロク Stygimoloch、ドームがなくトゲトゲがあるドラコレクスはそのうちの3属でした。ところが、モンタナ大のホーナー博士のチームはドラコレクスとスティギモロクはパキケファロサウルスの若い個体の姿だよという研究結果を発表したんですね。要するに、パキケファロサウルスは生まれた時は脳天のドームが発達していなくてその代わりにトゲで縁取られていて、成長と共にドームが発達してトゲは鈍くなるという説です。

(トロケラトプスの件があったこともあり)僕はにわかには信じませんでしたが、どうもそうらしい感じがします(2018年のSVPでもコンセンサスが得られていたこともあるし)。

成長と共に姿が変わるというのはごく自然な事ですし、恐竜で個体発生の研究がされるのは歓迎したいことです。

それを踏まえた上で国立科学博物館にも展示されている有名なパキケファロサウルス、サンディー Sandy は「スティギモロク型パキケファロサウルス」として展示されています。

これだけドームが発達していると成体(スティギモロク型ではない)と個人的には思いますが、ロッキー博物館的にはトゲが発達していたらスティギモロク型ということのようです。まあどっちみちパキケファロサウルスなんですけども!笑

たぶんトゲが雌雄差なのか成長段階の差なのかの解釈の違いでその辺も左右されるんでしょう。

パキケファロサウルス型の(とはうたわれてませんが)パキケファロサウルス。

例によってモンタナ大の研究成果をそのまま反映された展示なわけですが、モンタナ大の付属施設なんだから当然と言えば当然ですわな。

生態がらみのネタは次にパキケファロサウルスを紹介する時にとっておきましょう。


本日最後に紹介するのは恐竜界の名門パルクソサウルス類 Parksosauridae の進化を極めし精鋭、テスケロサウルス・ネグレクトゥス Tescelosaurus negrectus (「素晴らしいトカゲ・無視された」という意味の学名から哀愁漂う)

MOR 979

またの名をラリー Larry

首から後ろ〜尾椎の途中までの化石のレプリカ。長くクリーニングが進まず種不明とされていましたが、普通に模式種のネグレクトゥスだったようです(テスケロサウルス属は6種以上知られています)。

キャプション曰く、既知の中で最も美しく保存されたヒプシロフォドン類 Hipsilophodontid の骨格とのこと。あ、テスケロサウルスは二足歩行と大きな胴体や後ろ足の鋭い爪なんかが特徴の小型植物食恐竜です。小型植物食恐竜とはいえ、目の当たりにすると大きいです(何と比べるかによる)。

確かに関節しまくっている上に皮膚印象も残っていて素晴らしいトカゲですね。これは無視できません。

あとこの前腕(橈骨)の突起がなんか知んないけど他の動物には見られない変わった特徴で、病変なのか、役に立つ構造だったのかはわからないそうです。

現物は館内にあるけどまだプレパレーションが済んでいない+研究中らしいです。

要するに、テスケロサウルスはティラノサウルスやダコタラプトルなんかの格好の餌食(要してない)。


あー疲れた。 さすがトリケラトプスの同期と申しますかヘルクリークのクレイジー恐竜軍団と言いますか、個々の属種でも単独記事を設けても良いほどのスター恐竜たちではあったのですが、そうすると小出し感が出すぎてしまうと思って3属まとめるという贅沢仕様にしましたがえーとお楽しみいただけたら幸いです。

この展示室の紹介はまだ続きます。

今日もありがとうございます。それじゃ👋


参考文献:

Erik Stokstad,”SOCIETY OF VERTEBRATE PALEONTOLOGY MEETING: Did Horny Young Dinosaurs Cause Illusion of Separate Species?”, Science Vol. 18, 23 Nov. 2007, p. 1236

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