サングラスはすぐ失くしちゃう。ケラトプスユウタです。
スミソニアンの国立自然史博物館のレポートがまだ終わってないですが、8/4から仙台のゼビオアリーナで開催中の「宮城肉食恐竜展2020」という特別展のレポートを先に終わらせたいと思います。
サイエンス・コミュニケーターの恐竜くんさんプロデュースの特別展としては大規模なもので、宮城テレビ開局何十周年かを記念したものだそう。伝染病が流行している昨今において多くの特別展が中止又は延期となった中で開催までこぎつけた数少ない今夏の恐竜イベントのうちの一つです。アクリル板や照明が絶妙に写真を撮りづらくしているところはありますが…とりあえず見ていきましょう!
タイトルでわかる通り、肉食性の恐竜にフィーチャーした内容ですが、最初に恐竜全体の解説や主要なタクサの代表種の展示があります。

プシッタコサウルスの中で最も短いフリルと短い吻をもち、丸っこい頭をしているのが特徴です。

眼窩がだいたい三角形で、歯骨の下端に目立つ突起があるプシッタコサウルス。

曲竜代表としてミノタウラサウルス Minotaurasaurus またはタルキア Tarchia (キャプションではミノタウラサウルス)


長い牙がわかりやすい標本です。

この辺りの展示のいくつかは過去の恐竜くんさんの特別展の常連展示物です。

思ったより大きいもので、マスで言うと福井県立恐竜博物館や群馬県立自然史博物館のスピノサウルス類(?シギルマッササウルス ?Sigilmassasaurus)の倍近くありそう。

おそらく目玉展示の一つで世界初公開の種不明のストルティオミムス Struthiomimus sp. ブラックヒルズ地質学研究所(BHI)製。僕が勝手こいて呼んでいるあだ名は「右足のルイ」です。製造時のミスとカリブの海賊に因んだニックネーム。あんま言うとアレですが、気になった人は両足を観察すると良いでしょう。



以前も紹介した個体ですが、脳腫瘍など複数の病変があり、かっこいいばかりでなく獣脚類の病変を語る上でも重要な標本です。

誰が見ても異常な骨だとわかる左肩甲烏口骨。





左膝窩面周辺もやばいことに。

このように満身創痍なわけですが、ルースが特別傷だらけの生涯を送っていたというより、この手の肉食恐竜はそもそも怪我が多いのが普通で、全身の要素がたくさん出ているから保存された病変もこれだけ多かったという事のように思います。

(かっこいいアングルで全体を撮ってなかったので、サンクスギビングのミュージアム・オブ・エンシェント・ライフの過去記事で補完させてください)

なさんご存知のように恐竜ではありませんが、白亜紀後期の空の捕食者として。
トリーボルド・パレオントロジー製の地上姿勢のケツァルコアトルスです。この型のマウントはたしか世界初公開。僕が見た事がある中では一番大きなものです。キリンのような高さ、長いクチバシ、頸椎一個一個が長い頸部、ヒトくらいの胴体など妖怪じみたプロポーションだと思います。具体的に何を食べていたかは定かではないですが、喉はそう大きな物を通せず消化器も大きくなさそうなので、恐竜の子供を丸呑みという事も無さそうですね。

肩越しに見下ろす姿がかっこいいと思ったアングルです。

横浜のオービィで開催された恐竜展ぶりの再会です。その時は知らなかったのですが発見部位と未発見部位が微妙に色分けされています。



パーフェクト・スタンなどと呼ばれるマウントです。いろいろなところで展示された経験がおありの標本ですが、拝むのは初めてです。走りながら頭を下げて口を開いているという一瞬のダイナミズムを切り取ったマウントですが、右足で獲物を踏みつけてライバルを威嚇しているようにも見えます。



追記: ヒロくんによるとモンタナ闘争化石のナノティランヌス Nanotyrannus、つまり若いTレックス。モンタナ闘争化石はトリケラトプスとこのティラノサウルス類がそれぞれ一頭ずつ一緒に化石になったものです。といってもプロト×ヴェロキの闘争化石のように取っ組み合った状態でもないですが(参考画像つきの外部サイト)。僕が見たいのはこっちじゃなくてもう一方なのですが、どっちにしろ丸ごとの展示を見てみたいものですね。心から。現状普通には見れないだけに、最も見たい標本と言っても過言ではありません。いろいろ揉めているそうで一般公開はおろか記載や所属もおぼつかないようですが、どんな形であれいずれ公開されると信じたいです。ケラトプスユウタです。(ヒロくんありがとうございます)
中規模の特別展とはいえ、展示物はこれらがすべてではありません。またコロナ対策も兼ねているのか、広い会場に対して展示物が密集しないように距離を取って配置されており、一つの標本やキャプションなどを様々なアングルから観察する事ができるという稀有な特別展です。例えばゴルゴサウルスのルースの病変を観るにしても、一般客がこれほどつぶさに観察できる機会は今まで一度もなかったでしょう。またこの記事では紹介していませんが、キャプションもわかりやすさや読みやすさを重視しつつ楽しい感じで書かれていて、恐竜くんさんならではのものになっているのも見どころの一つです。会期は今日を含めて2日間のみで、仙台という微妙な立地かつコロナウイルスの脅威もあるので考えなければいけませんが、素晴らしい特別展であることはお伝えしておきます。そしてこれが植物食恐竜展の足がかりになることを密かに期待するものです。
開催概要は公式ホームページをご覧ください。
今日もありがとうございます。それじゃ👋