恐竜復元教室 シノケラトプス編

「みんな悩んでほしい。俺だけに苦しみを被せるな( ・ω・)」山本聖士


ンてことでね! 今回も昨日に引き続いて山本聖士さんの恐竜復元教室のレポートです。

ケラトプス類の一つ、シノケラトプス Sinoceratops が取り扱われました。

恐竜復元教室シノケラトプス編に参加できました事をシノケラトプス様に感謝いたします🙏


【前置き】

シノケラトプス(以下シノ)はセントロサウルス亜科 Centrosaurinae 内の位置付けが不明確。化石はボーンベッドの中からバラバラで発見されていて、断片的なパーツのみが報告されている。

要素は見つかっているが、ちゃんと記載されていないので知られているパーツは追加されていない。

シノの近縁種っぽい角竜がアメリカで見つかっているので、それらから類推して復元される。

中国・山東省・諸城市の辛格庄層(後期白亜紀カンパニアン期中期)のケラトプス類 Ceratopsidae 。基盤的角竜類 Ceratopsia はアジアでも見つかっていたが、シノの発見前までは、ケラトプス類はほぼ北米限定だった。白亜紀の間にベーリング陸橋が繋がることがしばしばあり、その間に両大陸で動物の往来があったことは確実。

北米は内陸海路があり、西(ララミディア)と東(アパラチア)に分断されていて生物相が違っていた。一方、アジアとララミディアの生物相は似通っていた。

となるとアジアの白亜紀最末期の地層にもケラトプス類が期待できる。日本が有望だが、海成層が多いのでな( ・ω・)。

緯度の高いところを通過して来ないといけないので、北の方から見つからないトリケラトプス Triceratops がアジアに来るのはキチい(逆にシノが北米に来れなかった可能性の方が高いよね)。

カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae は北米の南方起源。

ズニケラトプス Zuniceratops は鼻孔が小さくケラトプス類よりも基盤的位置付け。ケラトプス類の最基盤であるディアブロケラトプス Diabloceratops はクチバシの角度がプロトケラトプス Protoceratops に似ていて原始的。鱗状骨は、セントロサウルス Centrosaurus は扇状だが、ディアブロは短冊状。

以前は目の上の長い角はカスモサウルス亜科の特徴と言われていたが、基盤的セントロサウルス亜科も持っており今日ではケラトプス類の基盤的構造であることが知られている。つまり目の上の角だけではセントロサウルス亜科かカスモサウルス亜科かの同定はできない。

鼻角は頭骨のゴツさからすると細く、もしかしたら成長すると吸収されたかもしれない。

マウントの復元頭骨はフリルがめっちゃ寝ていてかっこわりー!👇

頭骨の長さ(吻端から頭頂骨のてっぺんまで)は推定約2m。セントロサウルス亜科では最大。

記載された標本はホロタイプとパラタイプの2個体分だが、両方とも右側しか出ていない。

潰れているせいで頭骨ぐちゃぐちゃ。

ホロタイプは鼻孔の先の部分が横に歪んだ状態で化石化している。復元頭骨だと正中線上に複数のコブが復元されているが、化石がひん曲がっているから左右のコブが鼻の前にあるように見えるだけで、それを鏡写しにして復元しているから鼻の前に5個くらいコブがあるというわけわからん事になっている。そのコブは横角と言って良いかもしれないが、角ってほどの発達具合ではない。トカゲの飾り鱗みたいに復元してもありと言えばありなんだけど、確証はない。しかも実際はコブではなく鼻腔の縁の骨だった可能性がある。セントロサウルス亜科によく見られる正中線に沿った鼻瘤みたいな物はない。あったとしても先の方に一個程度だろうが、標本ではその部分は欠けているので検証不能。これはシノの厄介さの一端でしかない。化石を見てそこになんかコブっぽい物があるからコブを復元しようって、そう簡単にはいかない。化石自体の歪みが相当あるのでな。そこを直さないとダメ。少なくともコブだとしても、生体では軟質構造が被さるのでそのままの形ではない。

古生物の復元する人はそういう細かーいコブをていねーいに拾って復元してる例がよくあるんだけど「本当にそれ拾って良いの?」というのが往々にしてあるっちゅーことね。まあ良いんですけど、多分そうじゃない。

そういう意味では良い標本だよこれ。化石の問題点を詳らかにしてくれている。

要するに脊椎動物化石ってのは必ず歪んでいるものなんですよ。地層中でありとあらゆる方向に圧力を加えられて歪みまくるわけですな。ましてやシノのホロタイプは化石になる前に頭骨がある程度バラけてる。そういう意味ではフリルと頭骨本体が同一個体かどうかは、近接して見つかっているしサイズも合うので十中八九同一個体だが、1000‰とは言えない。

諸城のクオリーは国立恐竜記念公園(アメリカ)よりも広く、骨の密集度も高い。ボーンベッドだから関節した一個体は望めない。


【古環境】

諸城には、北米の白亜紀末期のエドモントサウルス Edmontosaurus とよく似たシャントゥンゴサウルス Shantungosaurus 、ティラノサウルス Tyrannosaurus によく似たズケンティランヌス Zuchengtyrannus、レプトケラトプス Leptoceratops に似たズケンケラトプス Zuchengceratops やイスキオケラトプス Ischioceratops が生息していたが、ケラトプス類はそうではなくトリケラトプスに近縁な動物は知られていない。その代わりにシノが存在していた。ティラノやエドモントみたいな恐竜からなる動物相の中にシノケラが混じってるという状況。そしてシノはトリケラに迫るサイズに成長する。トリケラトプスは標準的な化石は大体未成体で、たまに見つかるデカイのが成体。

ティラノサウルス亜科 Tyrannosaurinae は既にカンパニアン中期で最大サイズになっている。アメリカでゴルゴサウルス Gorgosaurus やアルバートサウルス Albertosaurus が跋扈していた頃にはすでにアジアにはズケンティランヌスが完成していた。なのでティラノサウルス亜科はアジア起源かもしれない(エドモントも同様)。

トリケラのいた環境は沿岸の温暖湿潤で植物が繁茂する平原で、シノの辛格庄はもっと内陸だったが、植物化石が豊富に見つかるのでやはり肥沃な土地だったのは間違いない。川の氾濫の作用で作られた環境だったと言われている。

白亜紀の情景として、シダ植物が草原のように描かれることがあるが、シダ植物は概ね乾燥に強くない。地下水系が有ればトクサ類が繁茂していたかもしれないけど。トクサも水がないところには生えないのでね。イネ科もそうだけどイネ科は結構乾燥に強い。

要はシノにしろトリケラにしろ、ケラトプス類は基本的に乾燥した環境には住んでいなかったが、トリケラの方がより湿潤な環境に住んでいた。ケラトプス類が当時乾燥していた所から見つからないのは食性と関係あるだろうね。

なんでこんな環境の話してんのかっていうと、とてもよく似た環境で一種類だけ違うのが出たり出なかったりするのが面白いっちゅうのと、こっから細かい話をするのに前程として必要なので。

いわゆるマーストリヒチアンの北米の生物相はカンパニアンのアジアで完成してたってこと。いないのはトリケラくらい。

ケラトプス類がそれほど分布広げてなさそうなのは足の遅さが要因なのかもしれない。そうするとアンキロサウルス類 Ankylosaurid も足短い中で分布が広いのが不思議っぽいが、アンキロサウルス類の分布が広いのは遊泳能力が高かったからかも。


【復元】

シノはディアブロより派生的でセントロより基盤的なセントロサウルス亜科だが、推定全長6mほどで巨大。

カスモサウルス亜科にしろセントロサウルス亜科にしろ、トリケラトプス族 Triceratopsini 以前の段階でトリケラ並のサイズになった物はほとんど知られていない。多くのケラトプス類は2〜3tであるところを、シノは4〜5t。

パキリノサウルス Pachyrhinosaurus は普通は全長5mほどだが、2個体ほど小柄なトリケラトプスほどの大型個体(6〜7m)が知られている。

年代的にも系統的にも古いタイプのケラトプス類であるシノが急に巨大化したのは謎だが、ズケンティランヌスが登場したために大きくならざるを得なかったのかも知れない。

角竜は足先が短いので高速疾走できない。体重15tくらいのシャントゥンゴの方がまだ走れそう。

トリケラは推定体重5〜6tなのでシノはトリケラの下限とかぶるくらいのサイズ。なぜ控え目に言っているかというと、シノの体骨格の中で腰が未発見で、セントロサウルス亜科である事から推測するとおそらく腰幅はトリケラトプスほど広くないと思われるため。

トリケラトプスは腰幅がかなり広い。全長だけで比較するとボリューム感を見誤る。トリケラトプスはケラトプス類の中でも相当恰幅が良くなっているタイプで、シノは同じ全長だとしてもより軽い。

脚は短かそうだが、橈骨はあまりゴツくない。足とかは相応に細かったかもしれない。大腿骨は太短いが、サイズ相応かな。

シノは骨はもっといっぱい出ているのだろうけど、現状我々が知りうる体骨格の要素は、頸椎1個、胴椎8個、尾椎5個、肋骨5本、肩甲骨1個、烏口骨1個、大腿骨1本、橈骨1個、中足骨そこそこのみ。復元骨格はほぼトリケラトプスに基づく作り物(トリケラとしても上手くない)。

アメリカからシノと似た特徴を持つフリルをもつものがいくつか知られている。マルタケラトプス Maltaceratops(未記載)とクリッテンデンケラトプス Crittendenceratops (風の噂によると近く疑問名になる予定らしい)。

マルタケラトプス

フリルのホーンレットの前側にコブみたいなのがあるのが珍しい。最近の解釈ではこの上に大きめの鱗が乗っていたと言われている。骨で見ると突起は明確にあるものの丸い瘤状ではなく、各部がもこもこ盛り上がっている程度だが、成体復元では明確な瘤状に描くべき。その周りを多角形の鱗で覆ってやると良いかも。

ホーンレットは前にめくれ下がっている(参考画像)ので、生体では角質がついて更に下にたれ下がって熊手状になっていたと思われる。これがシノ最大の特徴なので協調して描くべき。そこ外したらシノ描く意味ない。

前方に湾曲した縁頭頂骨自体はわりとありがちで、ケラトプス類の複数の系統で個別に発生している(セントロサウルスで一対、コスモケラトプス Kosmoceratops やヴァガケラトプス Vagaceratops、ウェンディケラトプス Wendiceratops などでは複数本)。

トリケラのようにP0(正中線上の縁頭頂骨)があり、既知のセントロサウルス亜科では唯一。謎。

P0はフリルの正中線の軸の瘤がボコっと出てるだけのものかもしれない。

ケラトプス類のホーンレットは、若い個体はロゼット状で分離している。

トリケラトプスの幼体の復元頭骨のホーンレットの配置は正確ではない。👇

シノの既知の標本では完璧に癒合しているのでそう見えないが、ホーンレットは皮骨(表皮由来の骨)である。頭骨からうにょうにょ伸びて発達したものではない。一方、その下にあるコブはホーンレットを支えるために頭頂骨から発達した構造だと思われる。

鱗状骨の縁を広げることによって縁鱗状骨がつくスペースを増やしている。

縁頭頂骨はプロトケラトプスにも存在した(片側5個ずつ)。インロン Yinlong (明確なフリルは持たない基盤的角竜)の頭頂骨にもモコモコが見られ、この部分にトゲが付いていたと思われる。これはフリルよりも起源が古いってこと。

瘤や突起は生体では角質で盛って派手にすると良いっぽい。ディスプレイなので形状を地味にしても意味ない。

オスはメスの横側からメスにアプローチしたかもしれない。オス同士はホーンレット同士を絡めあって力比べをしたかもしれない。

頭骨周りは、今の爬虫類では大きめの鱗で覆われているのが多い。

ケラトプス類は恐竜の中ではウロコ大きめだからか、比較的化石が残りやすい。

トリケラトプスは胴体にある多角形鱗が全体的に大きめ。

ケラトプス類の鱗は恐竜としては例外的な大きさで、部分的に大きな丸い鱗があり、その周りを少し小さめの鱗が取り巻く。首の腹側は碁盤目状の鱗が並ぶがワニのものより細かい。

マルタケラトプスの縁鱗状骨は4個なので、シノも4個で良いが、よりディアブロケラトプスに近いと考えるなら2個や3個でも良い。ナストケラトプス Nasutoceratops の段階でも4個なので2個は少なすぎると思われるが。

系統的位置をどこに置くかによって復元が左右される。シノは系統解析で紆余曲折しているのでな…。基盤的なケラトプス類はみんな形が違うので難しい。

初期の段階で既に体の大きさにもバリエーションがある。

毎回こういうところで躓くのが、化石があんまり出てない恐竜の復元なんでございますな。だからもっともらしく「これが真の姿だ」みたいなさ、「お前そこしか化石出てねえのになんでそんなこと言えんだよ笑」みたいなこと結構平気でやられがちな恐竜の復元ですが、みんなはそういうことしないようにね(・∀・)

わかんないものを考えるわけだから前程条件をいっぱい立てなきゃいけないわけだけど、その前程条件を立てるのにもまた断片的な他の近縁種を参考にするという更に難儀な事に(・∀・)

復元できませんというのが正解なんですけど、シノくらい出てれば「ちょっと色気付いて復元したいなあ」みたいな感じになりがち。

下顎の形がわからないとかいろいろありますけど、まあ頭骨に関してはそこそこ形出てるので、そこまで大外しした復元はしようがない。

上からめっちゃ潰されてんのね。だから鼻角も横向いてる。眼窩はパラタイプの方が保存が良い。

カスモサウルス亜科は腸骨の幅が広く、腰幅がすごく広くなっている。

それに対して仙骨の形状は似たようなもんだが腸骨は狭い。これが更に時代を遡るとプロト段階だと、「お前二足歩行かよ」という腰幅の狭さになっている。

カスモやトリケラは腰の下まで内臓が収まると思われるが、セントロは腰より前にボリュームゾーンが来る感じだ。食性の差かもしれない。

(トリケラは消化効率の悪い物をたくさん食べていた?)

シノはセントロサウルス亜科なのでおそらくそんなに広くないであろう。

現状の証拠では腰幅は大型化と相関していないが、シノが大型化に伴って腰幅が増した可能性がないわけではない。

(てか早く腰の骨を出せ)

中央の神経突起が長いけど、横突起も長い。胴の真ん中あたりの椎骨が一番高い。

椎骨本体は標準的。このあたりは新角竜類 Neoceratopsia はみんなそう。

おそらく大きな頭を支える為の靭帯を支える為の構造。

一個一個の関節突起が小さいのであまり動かさない。したがって、哺乳類のようにギャロップできない。

骨化腱もあまり胴を動かさなかった事を示唆している。

少し肩の後ろが高い。

トリケラトプスは肋骨はかなり密に隣接している。椎骨が前後に短いからどうしてもこうなる。後方の肋骨が一部前方に流れている。否定的意見もあるが、「いや!化石でそうなってますがな!!」

通常セントロ亜科は大腿骨細めなのね。でもシノはでかい。なぜならでかいから。体が。

脛は他のセントロサウルス亜科より短かったかもしれない。トリケラは明らかに脛が短くなっているのでどちらにせよケラトプス類は全体的に大腿が脛より短い(7:8)。

一般的にセントロサウルス亜科の方がカスモサウルス亜科よりも大腿骨が長めである。

セントロサウルス亜科は体に対して四肢が細いのが普通で前足が長い。

上腕の大部分が体に埋まっていたかもしれない。

シノのホロタイプに含まれている肩甲骨はホロタイプの個体のものではない可能性がある。

重量がトリケラより軽いとすれば脚も細くていい。てか四肢も早く出せ。絶対ある。

全体的にスティラコサウルス Styracosaurus を参考にしやすいが、足先は短かくなっていたかもなぁと。

ホロタイプは脳函が残っている。

咀嚼機能が高いから喉は太くなくて良い。

すりつぶしより剪断が得意な歯。基本的に咀嚼に加わっているのは一列で、ハドロサウルス類と異なる。

フリル自体の形はプロトに似ている。

前側に曲がったホーンレット持ってるならディスプレイって事で、立ってなきゃ意味ない。

むしろ変化しにくい構造の親疎の方が系統解析の上では重要。

大きさなりにゴツくなっているっぽいが、

マウントはパラタイプ要素ない。

尾は全然出ていないが、カスモサウルス亜科よりセントロサウルス亜科の方が尾が長めだからトリケラより長そう。

まあトリケラの尾の長さも明確ではないんですけども。

以上だばーろー。

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