メガネが折れました。ケラトプスユウタです。
神流町恐竜センターの展示物紹介の7回目です。よろしくお願いします。
今日は角竜で攻めたいというところで、まずはこの展示👇
基盤的角竜類 Ceratopsia プシッタコサウルス・モンゴリエンシス Psittacosaurus mongoliensis
頭骨は、当館のこのホールの展示物にしてはつるんとしたテクスチャーで嘘っぽさが際立ちます。プシッタコサウルスの頭はおしなべてこんなに細長くなく、むしろ短くて幅があります。それとこの体格の個体だったら、たぶん顔自体もっと小さいはずだと思います。
派生的な角竜と違ってまだ二足歩行のままだったと思われますが、前肢は太いですね。
美しい プロトケラトプス・アンドレウシ Protoceratops andrewsi
頭頂骨の一部、前肢の遠位、尾椎を除いて完全な骨格の複製。
100体分以上の化石が発見されている恐竜の一つで有名な角竜ですが、日本でこのレベルの標本が展示されている場所は多くないです。
キャプションではフリルに性的二形があったとされていますが、最近では成長段階の違いと言われているようです。
プロトケラトプス科 バガケラトプス・ロジェストヴェンスキ Bagaceratops rozhdestvenskyi (キャプションでは y が抜けて rozhdestvenski になってます)(うるさいオタク)
角竜の派生の傾向として、フリルの拡大、角の発達、頰歯以外の歯の消失などが挙げられます。プロトケラトプスと比べてフリル自体は小さいですが横方向への張り出しがあり、小さくも尖った角をもち、前上顎骨歯を失っていることからプロトケラトプスより派生的位置に置かれています。けれどもフリルが小さいのでケラトプス類 Ceratopsid につながるクレードからはプロトケラトプスよりも遠かったと思います。
最後に紹介するのは有名な闘争化石です。
プロトケラトプスとヴェロキラプトル Velociraptor が組み合ったまま死んで今も組み合っているという物。ちなみに子供の頃始めてみたときはどうなってるのか説明されてもわかりませんでした。
以前福井県立恐竜博物館のレポートでもレプリカをご紹介しましたがこれもレプリカです。実物は国宝みたいなものなので当然のようにモンゴルにあります。
みんな知っているように古生物の行動が骨化石に記録されることはあまりないのですが、この二対の恐竜からなる闘争化石は、恐竜同士が戦っていたという直接の証拠ということで珍しいことおびただしいものです。
プロトはラプトルの左肘あたりに噛み付いていて、肉食恐竜の方はプロトの首筋に後ろ足の鉤爪を突き刺した状態で腕を伸ばして相手を遠ざけようとしているように見えます。
ラプトルが狩りを行う動物だった証拠と言われることもありますが、ラプトルがプロトを狩ろうとしたのか、プロトから襲いかかったのかはわからないですよね。植物食動物が大人しいなどというのは幻想ですし。前者だとするとラプトルは正面から行くつもりはなかったけど、激しく抵抗されたという解釈になります。狩る側はできればスマートに殺したいはずで、取っ組み合いになるような展開になっては困るわけですから。
どちらにせよ、両者ともその戦いの最中に何らかの理由で命を落としたことだけは言えます。
さよなら。