獣脚類 #9 / 翔け恐竜よ 果てしなく

アメリカでは屋外で飲酒したら犯罪。ケラトプスユウタです。

鳥類の中でも鳥胸類 Ornithothoraces は現生の鳥類(真鳥類)を含む系統でして、昨日の記事 で紹介したコンフキウソルニス類 Confuciusornithidae よりさらに飛行に適応していると言われています。この特別展レポートの最後にそんな恐竜たちを紹介しちゃいたい!

不詳のエナンティオルニス類 Enantiornithes indet.

実物

エナンティオルニス類は中生代で最も栄えた鳥類で、高い飛翔能力をもっていたと言われていますが、なぜか中生代の終わりと同時に他の恐竜たちと共に絶滅しました。

カタヨルニス Cathayornis

実物

こちらもエナンティオルニス類。

わかりづらいですが脛の部分にも羽軸のある大きな羽の痕跡が残っており、原始的な近鳥類 Paraves の形質を受け継いでるということです。

リニオルニス Linyiornis

実物

エナンティオルニス類。

腹部の茶色い痕跡は卵の黄身の元となる物らしいです。

ベルロルニス Bellulornis

実物

真鳥類 Aves 鳥尾形類 Ornithuromorpha の基盤的位置付け。上腕骨の大きな三角筋陵が目立ちますがわかりますでしょうか。

初めて海に進出した恐竜 ヘスペロルニス Hesperornis

おそらく白亜紀後期の北半球でもっとも普通的な鳥類。歯を備えていますが上顎の先の方にはないので既に減少が起こっていたと思われます。飛べない海鳥と考えられます。

たぶん二次的に飛翔能力を失った鳥の代表として展示されてたんだと思います。

こちらも二次的に飛ばなくなった鳥。

ケレンケン Kelenken

ノガンモドキ類 Cariamiformes

恐竜時代は終わって新生代・中新世という時代のアルゼンチンの恐竜。

いわゆる恐鳥のひとつで最大のものとして(一部で)人気です。強肉食性の走鳥で、最後の大型肉食恐竜とも言えるでしょう。

ペラゴルニス・チレンシス Pelagornis chilensis

ケレンケンと同じく中新世のチリの恐竜。

史上最大級の飛翔性鳥類です。まだ歯があります。会場では翼竜と間違えられてましたね、うんうんうん。


思えばすごい標本とこのテーマで望み得る限り最高の展示物でした…。

9回まで続いたこのレポートを、水をさすようなコメントで終わらせたいと思います。

よく恐竜は絶滅したどころか、現在まで生き残っているばかりでなく、哺乳類よりも種数も個体数も多く、世界中に分布しているなどと言われます。

このレポートでもさんざん鳥を恐竜呼ばわりしてきました。

たしかに分岐分類の世界では「生物Aから派生した生物は生物Aに属する」ので「恐竜から派生した鳥は恐竜に属する」ことになります。

けれども国語的には恐竜と鳥は異なる概念です。それは、「魚類と両生類」が、「両生類と哺乳類」が、「サルとヒト」が異なる概念であるのと同じことです。「無脊椎動物」と言った時に「背椎動物」まで含める考え方はクラドグラムの上では正しいですが、そういう事をするとわざわざ「無脊椎動物」という枠を作ってある意味がありませんよ。なので恐竜は絶滅したと言っても間違いじゃないどころか、鳥類として生き残っていると考えることは現実逃避的な香りさえします。

とは言え、鳥に恐竜を感じる瞬間は多々ありますし、チキンステーキを食することで獣脚類を口にした感慨に浸る事もありますけどね!

完!