獣脚類 #5 / ちょっぴり変態チックな恐竜たち

前回までのあらすじ…エンプレックスによる過酷な罠の数々を潜り抜け、見事勝利を収めたトリケラオヤジと頼れる相棒ケラトプスユウタは、英雄のセレモニーに招かれた…。うそです。ケラトプスユウタです。

寝言の続きは夢で見ていただく事にして、さっさと特別展レポートを再開しちゃいます。

シノルニトミムス Sinornithomimus のきれいな産状化石。

名前からわかるとおり中国のオルニトミムス類です。

この写真だとディテールがわかりづらいかも知れませんが…。

亜成体と幼体からなる14個体分のボーンベッドが知られています。オルニトミムス類は植物食か雑食性に進化した獣脚類と言われていますが、シノルニトミムスは胃石が発見されていることもそれを裏付けるものですね。

シノルニトミムスが泥沼にはまって死ぬ直前を復元した模型。

ガリミムス Gallimimus

オルニトミムス類もだいぶ鳥っぽい部類の獣脚類ですが、彼らよりも更に鳥に近いのがマニラプトラ Maniraptora になります。この特別展ではマニラプトラはペンナラプトラ Pennaraptora、テリジノサウルス類 Therizinosauria、アルヴァレスサウルス上科 Alvarezsauroidea で構成されるという事で紹介されていました。

ハプロケイルス Haplocheirus

アルヴァレスサウルス上科の基盤的位置付け。

全長2mということで既知のアルヴァレスサウルス上科では最大。つまりこのタクサは小型化の道を歩んだことになります。

代表的アルヴァレスサウルス類 モノニクス Mononykus の代表的な標本🤓

昔は「見つかってない部分なんとかしろよ」と思ってましたが、今思うとアーティファクトなしの組立骨格なんて、こんな親切な展示は非常にありがたい!

「一本の爪」という意味の名前のとおり前肢の指が一本なのですが、生体で爪のように尖った構造に見えたのかどうかはかなり疑っています。そのような復元しか見たことないですけど、鳥の手羽先のようなものという事はないのでしょうか!?

御船町恐竜博物館恐竜復元教室レポート・テリジノサウルス編紹でも紹介しましたこの恐竜が三度登場。ファルカリウス Falcarius

(斜めの写真ですみません)

アルヴァレスサウルスよりさらに鳥に近いということになっているテリジノサウルス類の基盤的位置付けですが、この復元骨格だとオーソドックスな獣脚類の要素を盛り込んでいるためなのかどうかわかりませんが、オルニトミムス類やアルヴァレスサウルス類よりも鳥っぽくないように僕には見えます。

ベイピアオサウルス Beipiaosaurus

こちらも復元教室レポート・テリジノサウルス編で紹介しました。初めて羽毛の化石が発見されたテリジノサウルス類・テリジノサウルス上科 Therizinosauroidea。

羽毛が一本一本伸長して幅広い形状になっている部分があるらしく、保温のためではなくディスプレイ用の羽毛だったという説があるようです。

ベイピアオサウルスの生体復元模型。僕より強そう。

アルシャサウルス Alxasaurus

テリジノサウルス上科としては特別展などでよく見る方。

むかしカスモサウルスとともに御船町恐竜博物館にも常設展示されていましたが、リニューアルの際にカスモサウルスと共に消えました🤓

齧歯類(げっしるい)恐竜ことインキシヴォサウルス Incisivosaurus

「前歯トカゲ」を意味する名前のとおり、前歯がチャーミングな獣脚類。そそられますね💕

…じゃなくて、更に鳥に近いペンナラプトラのオヴィラプトロサウルス類 Oviraotrosauria の基盤的位置付けの恐竜。より派生的なオヴィラプトロサウルス類は歯を失っていますが、このインキシヴォにはまだ歯があるどころか前上顎骨歯(前歯)は大きくなっています。

側面にはクチバシも備えていたようです。

オバネドリ 尾羽鳥 またの名をカウディプテリクス Caudipteryx

長い脚があってその付け根の左側に羽毛印象があるのがおわかりいただけるでしょうか。これが名前の由来で、短い尾の先に羽軸のある大きな尾羽をもっていた有名な羽毛恐竜です。

へユアンニア・ヤンシニ Heyuannia yanshini

元インゲニア Ingenia と言ったほうが通りが良いかも。これは雑学に過ぎませんけど、インゲニアは線虫類に既に使われている属名だったので、アジャンキンゲニア Ajancingenia と改められたのですが、近縁のへユアンニア・ファンギ H. huangi と属を分ける程の差がないということになり、へユアンニア属に含めるという考えが主流になっているようです。

小さい割にがっしりした体格なのがわかります。


派手なのか地味なのかわからない羽毛恐竜たちを奮発気味に紹介しましたが、お楽しみいただけたでしょうか。次回からは更に鳥に近づいていきます。それじゃ👋