松村しのぶ特別展 スータンホビー

石油製品は有機物という事を桐生戦兎博士に教えてあげたい。ケラトプスユウタです。

先日、スータンホビー表参道の『松村しのぶ特別展』に侵入してきました。

スータンホビー表参道は、ジャーナルスタンダードの角を入っていくキャットストリート沿いのフィギュアとか売ってるお店です。入場無料。

2回のギャラリーが会場です。

松村しのぶさんは、僕にとっては海洋堂商品の動物原型師のイメージが強く、ガチャガチャや食玩の動物系模型などで趣味としての動物模型の一般化において大きな功績を持つ人物という認識です。

恐竜雑誌ディノプレスでも全7巻で毎号、ご自作の古生物の模型を紹介されていたのも印象的です。

他にも語られるべきことが多々あるのでしょうが、アート全般疎いので僕に言えるのはこれだけです。

トリケラトプス Triceratops のデッサンを切り取ったようなもの。違うかもしれませんが、ソフトビニールモデルキット『DINOLAND』シリーズのトリケラトプスの為に描かれたものかなと思いました。

トリケラトプスを含むいろいろな恐竜のデッサン。マイプ Maip などが描かれている事からすると、古くても2022年以降のデッサンかと思います。

松村さんのトリケラトプスと言えば、特にCCレモンのオマケだったCCザウルスというダイノテイルズシリーズ(まあそういうのがあるんです)の、頭部がケラチンでモノモック状に覆われたかっこいい復元が印象的です。

その“モノコック復元”が左の紙に描かれています。“Bタイプ おもしろ復元タイプ”、“カブト状の頭”、“トゲ状のウロコ”、(尾の背に)“タテガミ”とメモされています。一方、右の紙には“Aタイプ”、“普通の感じタイプ”、“ウロコの頭”とあります。

要するに、ご本人は一風変わった復元という事をはっきり承知の上で意識的に面白くされていたという、これが証拠だ!

モノコック復元は顔面の皮膚化石からは支持されないものの、化石証拠が限られていた頃はかっこいいだけでなく生物としての説得力も備えたアイデアだったように感じます。

松村さんに限らずパレオアーティストは化石や研究でわかっていることをしっかり集めて、それをもとにアートを作ります。そして最後に、未知ゆえに自由な部分にオリジナリティとう名の香辛料を少しだけ足しているんです。だから、ただの想像ではなくて、「実際のデータ+ちょっとした独自の工夫」でできているのですね。

トゲ状のウロコなんてのはむしろレイン LANE (HMNS VP1506)の皮膚化石から証拠めいたものがあり、尾の“タテガミ”は遠縁とはいえ同じ角竜類 Ceratopsia のプシッタコサウルス Psittacosaurus から持って来ており、完全なイマジネーションの産物ではないわけです。この2つの点は松村さんだけがやる復元というわけではないですが。

セミのように羽化するワイバーン形のドラゴンを狙うネコというすごい作品。

ドラゴンは完全変態のようで、幼体(抜け殻)の方の前肢は普通の爬虫類の前足なのに対し、成体の方は翼に変化しています。

正直、ドラゴンが羽化・脱皮するとしたらヘビのように口から剥けるかワニなどのように少しずつないしウロコ単位で剥がれ落ちるかで、セミのように背中が割れるという事は考えにくいのではないかと僕は思うんですが、なにぶん架空の動物なので考えても詮ないことですね。

作品としては、力の象徴であるドラゴンも無防備な姿では優秀な狩猟者であるネコの脅威に晒される…どんなに強い存在でも、状況しだいで立場が変わるというメッセージでしょうか? でもドラゴンが小さいからそれは違いますね。

手間の小さい二体がおそらく若いティラノサウルス Tyrannosaurus で真ん中が老成したティラノサウルス。よく見ると左手第一指が欠損しており、同種に食いちぎられた設定ではなかろうかと思われます。

奥はカマラサウルス Camarasaurus かなと思います。

かっこいい作品たちがプラスチック残渣のように集められているのですが、“デジタル造形の墓場”だそうです。

ドレパノサウルス Drepanosaurus

第2指の大きく発達した鉤爪のメリハリがすごくて動物としての説得力の中にケレン味が光っています。尾の先も鉤爪状になっているのですが撮り損ねました。こちらはぜひみんなに観てほしい作品です。

ティラノサウルス Tyrannosaurus 孵化

現生鳥類と違い、ワニと同じように孵化直後から目が空いているという解釈が表現されています。確かに親がどのくらいヒナを庇護するかという事に直結する復元だと思うので、この動物の想定される親の介入具合からすると妥当かもしれません

その右ではカメも孵化しています。

プテラノドン Pteranodon

広げた皮膜いっぱいに海風を受ける姿。繊細なテクニックでダイナミックな勇姿を完成させています。

恐竜王 THE KING OF DINOSAURS

筋骨逞しいティラノサウルスに頭を踏まれている恐竜王トリケラトプスの姿。さしずめ「王を踏みつける暴君」の偶像です。

この造形の面白いところは、「王(トリケラトプス)=強者」というイメージをあえて崩している点です。さっきの「ドラゴンとネコ」と同じテーマを繰り返しているようにも見えますが、トリケラトプスにとってティラノサウルスは天敵、食う食われるの関係としては健全な姿であり、実際には「ドラゴンとネコ」とはまるっきり違います。

トリケラトプスは成長するとトロサウルス Torosaurus 形になる想定の復元に見えます。

よく見ると一部が白骨化しており、プレデターが仕留めたのではなく、幸運なスカベンジャーが屍肉を発見したシーンという事がわかります。

ホホジロザメ THE GREAT WHITE

ディスカバリーチャンネルの「エアジョーズ」という番組で観ましたよ。

ホホジロザメがジャンプしながら哺乳類を襲うのです。主役である動物たちだけでなく海水も動きがあってすごい作風です。

大熊猫 Giant panda

ジャイアントパンダの母親は双子を産み、片方だけを育てるそうです。これはきっと1/2の確率で選ばれた幸運な方の子です。

ササの葉もまるでリアルですね。

ザトウクジラ親子 HUMPBACK WHALE WITH CHILD

シロナガスクジラでしょうか。

マッコウクジラ

松村さんが造形の世界に入った理由が、鯨類の造形物をご本人が欲しかったからだそうです。

鳥獣戯画の蛙、兎、猿

あの手の絵を真似て描けるだけでもすごいですが、鳥獣戯画のあの感じのまま立体化してしまえるのは大人が泣くレベルで驚異的です。

おそらく模型を拡大印刷した物(と松村さん)のハリボテ。左のティラノサウルスは敢えての旧復元なのにそれでていて活動的に走っている姿勢という、つまり「旧復元の外見ロジック」と「現代復元の運動ロジック」という本来両立することのないロジックを意図的にハイブリッド化しているように見受けました。そこに芸術性があるのでしょう。違ったらすみません。

以上です。

松村しのぶ特別展は4/19まで開催。4/11(明日)はギャラリートークとサイン会らしいです。お近くの方はぜひ。

それじゃ👋

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