Q:恐竜を覚えるにはどうすれば良いですか?
ケラトプスユウタ「恐竜を…覚える…?」
さて開催から3年近くも間が空いてしまい申し訳ありませんが、今回は国立科学博物館で開催されていた恐竜博2023のレポートです。
設営・撤収とは別に、会期中に3回ほど行ったかと思います。

冒頭からDNPさんの力作。恐竜類のクラドグラム。本展の展示物の目次にもなっています。ズールはシルエットが動いておりカネが唸っているのがわかります。

初期の恐竜はどの系統でも小型二足歩行で似通っていたという主旨(と僕は解釈した)の展示がありました。これはお馴染み、初期の竜脚形類としてエオラプトル Eoraptor 。

史上最大の陸生動物候補の一つ、プエルタサウルス Puertasaurus の椎骨(第2胴椎らしい)。

同じくプエルタサウルスの第9頸椎。発見時に関節していたわけでもなく抜けもあるのによく何番目かわかりますよね。
棘突起の前後の面が大きく窪んでいて靭帯の付着面をかせぎまくっていて、他のティタノサウルス類 Titanosauria と比べても恐ろしいですな。

状況証拠からティタノサウルス類の卵化石と言われているファヴェオルーリトゥス類(キャプションではファヴェオルーリサス卵科 Faveoolithidae indet.
卵殻の厚さは最大7.9mmとの事。ニワトリのが0.4mmかそこらなので約20倍ですか。その厚さで雛が孵化できるのかという疑問については、この展示では火山地帯の砂の中に卵を埋め、そこに含まれる酸によって、殻が少しずつ溶け、孵化のころにちょうど良い厚みになったという説を採用していました。だとするとそのように進化するまでの過程では薄すぎる卵が淘汰されまくっていったのでしょうね。いつも思いますが自然の厳しさを感じます。

対比としてより普通的な竜脚類の卵。こちらは植物の発酵熱で温められていたそうな。

オヴィラプトル類 Oviraotoridae の胚
鳥類でいう孵化姿勢(Hatching posture)で保存されているという奇跡それ自体。鳥類と恐竜類の関係を決定づける証拠の一つです。それにしても孵化前の、我々で言うところの胎児のような状態で自力で呼吸しているってんだから改めて爬虫類ってすごいですなー!
以下より怒涛の装盾類コーナー。

まだ二足歩行だった基盤的装盾類 Thyreophora スクテロサウルス Scutellosaurus 。
Scutellum とは小板、小鱗板と和訳される言葉で、ワニの皮骨なんかを Scute と言いますが確認してないですけど絶対同一語源でしょうね。
皮骨で背部を守ろうとすると、局所的に守っても他の部分が噛まれるだけだからなのかなんなのか、突然この世に全身おおう皮骨をもつ恐竜が出てきた印象です。そういえば、カメでもアルマジロでも中間的な覆い方をしている化石種って知られてないですよね??
会場では「こいつとタイプライターどっちが先ー?」と言っている人がいました。スクテロサウルス(前期ジュラ紀)のほうが先と答えるのはいかにも簡単です。ただ、人類はコルバートが1981年にスクテロサウルス記載よりも先にタイプライターと出会っているはず(調べたら1870年代)。どっちが先か。その答えは「立場による」と言えます。
チッ、喋りすぎたぜ。

一部では最もドラゴンらしい恐竜と言われる装盾類、スケリドサウルス Schelidosaurus 。
尾の腹側まで皮骨で覆っているのは装盾類の中でも珍しい存在ということで異彩を放っています。

剣竜類 Stegosauria ヘスペロサウルス Hesperosaurus
FPDMにホロタイプの実骨が展示されていますがこちらはより躍動的な姿勢で目を惹きます。
トゲトゲしさで言えば主役(ズール Zuul )に勝っています。

どこから借りたれた標本か知りませんが、背後にアロサウルス Allosaurus やケラトサウルス Ceratosaurus のマウントを配置したくなる姿勢です。

この時期に発表された(Yoshida et al., 2023)ばかりだった鎧竜類 Ankylosauria ピナコサウルス Pinacosaurus のとあるパーツのレプリカ。輪状軟骨(Cricoid cartilage)と披裂軟骨(Arytenoid cartilage)なるもので、咽頭をかたちづくる軟骨だそうです。それぞれ輪状骨と披裂骨とも言うようですが、輪状骨と言うと角竜のフリルでお馴染み鱗状骨と同じ発音なので紛らわしいですね。
これらは発声に不可欠で、披裂軟骨が輪状軟骨の上で回転・滑動することで声帯を動かして音を出すらしいです。
これ恐竜だけ学んでいても絶対わかんないですよね。なにしろ恐竜では初めての発見ですから。
見た目は地味な展示ですが、鎧竜類が鳴き声をもっていた事を示唆する重要な証拠です。彼らが鳴き声で何をしていたのか、邪推が捗ります。

タラルルス Talarurus は本来もっとかっこいいはずとだけ言わせてください。
続きはまた次回。なるべく早く投稿できるように善処します。
それじゃ👋
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参考文献:
Yoshida, J., Kobayashi, Y., and Norell, M.A., 2023. An ankylosaur larynx provides insights for bird-like vocalization in non-avian dinosaurs.Communications Biology, 6: 152
