「自分の考え方がいかに妄想なのかそうでないかを意識したいよね」山本聖士
どうも僕ケラトプスユウタです。
ンてことでね! 今回は表題の通りです。よろしくお願いします。
獣脚類の手のサイズは頭のサイズと相関がある。頭の巨大化と手の縮小化が同時に起こっている。
ティラノサウルス上科で一番原始的なのがプロケラトサウルス。
プロケラトの段階では鼻孔がソーセージのように長い。ディロン、グアンロンもそう。これはメガラプトラもそんな感じ。そのおかげで鼻骨と前上顎骨が華奢。
最も大きい歯が入るのは前上顎骨であることが多い。大半の獣脚類はそう(ドロマエオサウルス類は歯の長さが揃っているものが多い)。
Tレックスに至るまでの仲間は歯が小さめ。これは小型獣脚類によく見られる特徴で、コンプソグナトゥス(以下コンピー)の段階とそれほど変わらない。コンピーの有名な標本は60cmくらいだけど幼体。成体は1.2mを超える。
歯の断面はD字型になっている。小さい種ではD字の角の部分はセレーションではなくただの峰。
アレクトロサウルスの段階だと鼻孔が急に小さくなり、圧力を加えても壊れにくい構造に進化する。
アレクトロサウルスやシオングアンロンは依然鼻先が細長い。
ディロンは涙骨の前側が含気化していて盛り上がって見えるので、細長く見えないが、実質的には細長い。
ティラノサウルス科は方形頬骨の面積が広がっていて側頭窓が鍵穴形になっている。これは頭骨全体の関節面を増やしていると思われる。
Tレックスの原型はアレクトロサウルスの段階で獲得されている。アレクトロサウルスは頭が体に対して相対的に大きくなっている。

アパラチオサウルスは急に上顎骨と歯骨の高さが増してゴツくなる。アリオラムス類もその辺りが高さを増している=咬合力を増している。

ワニは水中で頭を左右に振った時の抵抗を増やしたくないので高さを増して咬筋のスペースを稼ぐことができないので、翼状筋がかなり発達している。つまり下顎の後方に突起を設けて翼状突起までの距離を稼いでいるので、低い割に咬合力が強い。

ティラノサウルス科は、咬合力に耐える強い歯を持っている。ティラノサウルスは歯が生え変わるのに数年かかる(数年使える丈夫な歯を持っている)。
哺乳類は乳歯から永久歯に変わる時の一回しか生え変わらないので、長く薄い歯を持つのに適していない。
獣脚類の歯は切り裂くための薄いものが基本形。ティラノサウルス科の鼻先の高さは、ほぼ前上顎骨の高さで、鼻骨の高さは低い。鼻孔を小さくすることで鼻先の強度は増している。
なぜ噛みしめる力を強くする方向に進化したのかは謎。
アパラチオ、ドリプトは歯の厚みを増し始めている。歯の形がナイフ状ではない方が頭をゴツくし易かったのかもしれない。昆虫食の動物は前上顎骨を釘城に発達させがちなので、その方が潜在的に大型化に繋がる歯に変化しやすかったのかもしれない。
プロケラトなどは小型の獲物を襲う形態のまま全長3〜4mに大型化している。
ティラノサウルス科で小型の種は未発見。

原始的な形質を残したドリプトサウルスは、Tレックスと同時代に生存していた。
コンピーの第3中足骨の上部は細くなっていて、アークトメタターサルの前身になっている。
ティラノサウルス類は軒並み脚が長いのでMRCA(最近共通祖先)の段階で長い脚を獲得したと思われる。
アークトメタターサルはアレクトロやシオングアンロンの段階で既に獲得されていた。俊敏さに関してはその段階で完成を見ている。その後は頭部と体の巨大化の方向に進化している。
ケラトサウリアは第2と第4の中足骨が小さく、第3が大きくなることで、アークトメタターサリアンとは逆の方法で脚への衝撃の解決策を見出している。
ティラノサウルスは距骨の前方が持ち上がって脛の大部分を覆っている。これはほとんどのコエルロサウリアが持っている基本構造。
中足骨と指骨を合わせた長さが腿より少し長いのは、ティラノサウルス上科の基盤的形質で大型化すると太くなり、大腿と脛より下の長さの比率が近くなって来る。その比率はアレクトロとTレックス間で全く変わらない。この部分はみんな意外とテキトーに描いている。
大型動物としてはTレックスは脚長と言える。
コエルロサウリアはカルノサウリアに対して尾椎が増えている。ティラノサウルス上科は基本的には尾がかなり細い。
アロサウルスの尾も細いが、付け根は高さがある。ティラノサウルス上科は付け根からかなり細い。
骨盤の形はみんな似ている。ティラノサウルス上科は腸骨の前側下方が鉤状になっている。アロサウルスではそれが穏やか。ティラノサウルス上科は腸骨の寛骨臼の上に峰があり、前後が窪んでいる。アロサウルスではそこまで明瞭ではない。
コエルロサウリアは全体的に閉鎖口突起が退化している。
時代が進む毎に、骨盤自体が体に対して大きくなっている
大型化に伴って筋肉量が増大している。ティラノサウルス上科は脚のつくりはティラノサウルスになるギリギリ手前まで華奢。
ピュービックブーツが発達しているのはティラノサウルス類とオルニトミモサウリアくらい。恥骨のシャフトは細い。
全てのティラノサウルス上科は、構造的には跳躍走行が可能。尾大腿骨筋は初期の種ではあまり発達していない(第4転子が小さく尾が細い)。
ティラノサウルス上科は第4転子を二次的に再発達させている。ティラノサウルスは頭が大型化したことによってバランスを取るために尾を太く発達させることができ、尾大腿骨筋を発達させることが可能になった。
ある程度大型化したティラノサウルス科は羽毛が無かった可能性がある。
ティラノサウルス亜科(ティラノサウルス、タルボサウルス、ズケンティランヌス)よりも大型化したティラノサウルス科は知られていない。
肩甲骨と烏口骨の関節面が細い。関節面の烏口骨側の上側が立ち上がり気味になっているが、明確な特徴かどうかははっきりしない。ユティランヌスは肩の関節面が横向きになっている。
テタヌラ類は前腕、上腕、手の順番で小さくなる。手(手首から先)を取り残して上腕や下腕が退縮するのが普通で、手が最後に小さくなる。
カルノタウルス(ケラトサウリア・アベリサウルス類)は手が先に小さくなっている。
指骨はアロサウルスに比べると細い。
第1および第2末節骨が発達(鉤爪状)、第3はそうでもない。コエルロサウリアでは普通の構造。
ユティランヌスは、腕全体の短さに関しては独自に先行的に進化している。
プロケラトサウルス類の前肢はグアンロンでよくわかる。グアンロンの腕はコエルロサウリアの典型的プロポーション。グアンロンの段階だとかなり長い腕と大きい手を持っている。第1と第2の鉤爪が大きく、第2と第3の長さも揃っている。
ドリプトは上腕骨が短い。下腕は標本が完全じゃないが、長いはずはない。第1指だけ大きく、第3があったかどうか定かではない。腕全体は短くなっていたであろう。
グアンロン→ドリプトの中間ははっきりしないが、徐々に短くなっていったのは間違いない。
水平二足歩行動物で手を大きくするというのは普通ありえない。
最終的には鉤爪も失って行く。
ナノティランヌス(Tレックスの子供)は、初期のティラノサウルス類の特徴を結構残している。タルボサウルスの幼体はそうでもない。

Tレックスの子供の腕は成体よりも相対的に長く、脚も長い。成長すると取り残され、相対的に小さくなる。
ゴルゴサウルスの段階でもまだ手の爪は鉤状だが、そういう様子をナノティランヌスはまだ保持している。
いつのまに二本指になったのかはよくわかっていない。
ティラノサウルス科でも尾の高さを増したのは最派生のものだけ(ゴルゴサウルスもアレクトロサウルスと比べて高いので、程度の問題ですけども)。
成体と亜成体では全長は1m程しか変わらない。手首から先の退化はギリギリまで起こっていない。
ティラノサウルス上科は脚が長く、尾が細長く、鼻先が長かったのが、顎が大型化するにつれて変わって行った。
以上だばーろー。