肉食性が獣脚類の基盤的形質ですが、植物食の(と思われる)獣脚類も特に珍しくはないですよね。今となっては。ケラトプスユウタです。
ケラトプスユウタの恐竜旅行ブログ。今日も神流町恐竜センターのメインホールを紹介します。
オルニトミモサウリア Ornithomimosauria は、オルニトミムス類 Ornithomimid (いわゆるダチョウ型恐竜)やデイノケイルス Deinocheirus などを含む分類群で、半世界的に分布していた獣脚類 Theropod です。北米やアジアのものがよく知られており、中でもモンゴルは著名なオルニトミモサウリアの産地です。
モンゴルの恐竜に特化しているこのホールも当然多くのオルニトミモサウリアが見られます。
ハルピミムス Harpymimus
肩に頭頂部が接するという大げさなデスポーズで組み立てられた標本。
ほとんどのオルニトミモサウリアと違い、歯があり、脛もアークトメタターサルになっていません。これらの特徴は獣脚類の基本的形質なので、より基盤的な種類であることは確実です。シルエット的にはそれほどユニークではないですが、上記のような独特さゆえにハルピミムス科 Harpymimidae なる独自のタクサを与えられたこともあります。
バイシンツァフ Bayshin-Tsav 産オルニトミモサウリアの一種、“ガリミムス・モンゴリエンシス” “Gallimimus mongoliensis“
当初はガリミムスの新種と考えられてました。“ガリミムス・モンゴリエンシス” という名は裸名(正式ではない学名)で、ガリミムス属ではなく恐らく未命名の新属だそうです。
キャプションによると、ガリミムスの模式種(ガリミムス・ブラトゥス G. bullatus)は前肢が短いのに対しこの標本は長く、また模式種は末節骨のカーブが強いのに対しこの標本はそれほどカーブしていないという差があるらしいです。
それにしてもキャプションにここまで詳しく書かれているのは珍しいです。
フルン・ドッホ Khuren Dukh のオルニトミモサウリア。“グルジミムス・ツル” Grusimimus tsuru
こちらも裸名。派生的オルニトミモサウリアは第1趾が退化していますが、このオルニトミモサウリアには多くの獣脚類のようにまだ残っています(写ってませんが)。ハルピミムスと同じ地層から発見されたものということで、ハルピミムスにも第1趾が存在していた可能性を示唆します。
ちなみに「ツル」の由来は鳥のツルを意味する日本語です。日本とモンゴルの合同調査で見つかったからだそうな。たしかグルジミムスも「ツルもどき」という意味だったはず。
基盤的オルニトミモサウリア、ガルディミムス Garudimimus
巨大なデイノケイルスと比べると直感的にそうは思えませんが、デイノケイルス科のメンバーでデイノケイルスの姉妹群とされています。長い間デイノケイルスしか内包していなかったので意味がないんでねーのと思われていたデイノケイルス科は、ガルディミムスおよび中国のベイシャンロン Beishanlong がデイノケイルスと単系統でまとめられると結論づけられた事によって有効性が認められているそうです(参考文献)。
オルニトミモサウリアは一つの博物館に一体マウントがあるかどうか、といったところなので恐竜センターの展示は怒涛の充実具合ですよ!
あと未発見部位が保管されていないのがとても親切で良いです。
今日もありがとうございます。
つづく…!