10/2 コネティカット(イェール・ピーボディー自然史博物館)



中学生が中生代なら小学生は古生代、高校生は新生代ですよ(大学生以降は知らん)。ケラトプスユウタです。

今日は予告通りイェール・ピーボディー自然史博物館 Yale Peabody Museum of Natural History (以下YPM)を見学させていただきました。

入館料は一般成人13ドルです。

YPMは隣接する名門イェール大学の施設です。1800年代、資産家のピーボディー氏は財産を世の中のために役立てたいと企てており、彼の甥で「業界」では二つの意味で有名なオスニエル・マーシュさんの提案によってYPMを作ったそうです。マーシュさんは同館最初のキュレーターの一人となり、ピーボディー氏の莫大な遺産を相続した後はその資金を化石発掘・収集に注ぎ込んだそうです。

入館後まもなく目にする事になるのがこの「爬虫類の時代 Age of reptiles」と呼ばれるホール。

中央に聳えるのは、有名だけど日本ではほぼ目にすることのない、真なる雷竜にして曰く付きの恐竜 ブロントサウルス・エクセルスス Brontosaurus excelsus

かつてそのマウントに付けられていた(そこそこ)有名な頭骨。

ブロントサウルス(下顎)とカマラサウルス Camarasaurus の部分的な頭骨要素を基にアーティファクトで、時代が時代なだけにいかなる恐竜とも似ても似つかない奇妙な仕上がりになっています。竜脚類 Sauropod の研究史を語る上ではおもしろい一品。

ブロントサウルスの言い伝えについてはまた後日。

カナダ・アルバータ産 ゴルゴサウルス Gorgosaurus (キャプションではアルバートサウルス Albertosaurus)

当館、恐竜展示で有名であるにもかかわらず獣脚類 Theropod の展示は控えめで、集客力のありそうな大型獣脚類のマウントは一体もないのが逆にすごいと思いました。

少なくとも5体、異なる性別、異なる種、異なる成長段階のものをコンポジットしたというステゴサウルス Stegosaurus

道理で首や尾の長さと四肢の長さの比率が動物としておかしい。

サゴマイザーは通常の倍の8本スパイク。噂には聞いていましたが、目の当たりにすると笑えます。

アロサウルス・フラギリス Allosaurus fragilis (キャプションではアントロデムス Antrodemus atrox )

涙骨の突起は盛りすぎな気がします。

古竜脚類 Prosauropod の頭骨。美しい。

クラオサウルス Claosaurus

一個体分の断片的な頭骨と部分的な体の骨のみで知られている鳥脚類 Ornithopod で怪しさがあります。「壊れたトカゲ」を意味する属名からしてその辺りを物語っていますが、疑問名とかではない模様。キャプションではハドロサウルス科 Hadrosauridae に含められていましたが、2008年の研究では非ハドロサウルス科のハドロサウロモルファ Hadrosauromorpha の位置付けとのこと。

ヘスペロルニス Hesperornis

(化石鳥類の専門書の表紙風のつもり)

恐竜博2019で見たような躍動的なデイノニクス Deinonychus

恐竜博2019のレポート記事で紹介したホロタイプの足はここに展示されることになるのでしょうか。

セントロサウルス・アペルトゥス Centrosaurus apertus (キャプションではモノクロニウス・フレクスス Monoclonius flexus)

YPM 2015

実はしっかり立っているマウントを拝む機会は稀です。

めちゃくちゃかっこいいですが、前肢の復元が確実に間違っているのと、たぶん首が短すぎます(フリル背面が肩に接している)。

この有名な壁画もメインの展示物の一つです。メイキング映像を見ましたが、完成品をここに貼ったのかと思っていたらそうではなく、この壁に直接描いたものだそうです。概ねレトロ復元ですが、1960年代までは研究を反映して更新していたそうです。

あんたらは俺を喜ばせてえのか!

(この並びにティラノサウルス Tyrannosaurus を混ぜるセンス)

カスモサウルス・ベリ Chasmosaurus belli

は YPM 2016 という成体の頭骨。有名なROM 843 のように目の上の角は縮んでいます。縁頭頂骨(フリルの上側(後部)の縁)がやや手前に折れているのがユニークですが、同属説のあるヴァガケラトプス Vagaceratops との類似性を思わせます。

目玉展示の一つ

トリケラトプス・ホリドゥス Triceratops horridus

YPM 1821

かつてのトリケラトプス・フラベラトゥス T. flabellatus つまり別種扱いだった標本。

マニア的には海洋堂のカプセルQミュージアム(ガチャガチャのシリーズ)のトリケラトプス頭骨と言うと通りが良いですかね!?(参考画像)

長い上眼窩角がかっこいいですが、flabellate が扇状という意味なので、扇状の鱗状骨(フリルのサイドを構成する骨)を見て欲しいのかな。

トリケラトプス・ホリドゥス YPM 1823

下から見た頭骨。

AMNH 9720 も全く同じように展示されてましたけど、別物ですよね? アメリカ東海岸のお決まりのスタイル?

トロサウルス Torosaurus latus のホロタイプ(!)

YPM 1830

(P0(フリル正中線上のホーンレット)を造ってあるのはトリケラトプス的で誤りのはず)

当館がトロサウルス推しでもあるのは銅像の存在から明らかですが、ホロタイプを展示しているなら頷けますね!

(ちなみに現在2種が知られているトリケラトプスも2種ともYPM所蔵のはずなんですけども)

ホロサウルス Holosaurus なる海棲爬虫類(モササウルス類 Mosasaurid)

初めて名前を聞きましたが。

10/7追記:調べたらプラテカルプス Platecarpus のシニアシノニム(古参同物異名)でした。ほかの動物(おそらく爬虫類)で先取されてたようです。


マストドン Mastodon

化石哺乳類もかなりの標本数。

モエリテリウム Moelitherium

ノトロテリウム Nothrotherium (「ナマケモノの獣」という意味やぞ)

オオナナケモノ系にしては小型です。

メガケロプス Megacerops

ニジキジ Lophophorus impejanus 剥製

現生動物の剥製もAMNHほどではないですが充実しています。鳥類だけならAMNH以上かも。

ガラパゴスペンギン Galápagos penguin

アメリカバイソン Bison bison など

アメリカはやっぱりジオラマ風が基本らしいです。

ジャガー Panthera onca を見下ろすオオハシ Ramphastos

ダイオウイカ Architeuthis dex の模型。

アリンコの生体展示。小さいワーカーに紛れて明らかに頭が大きいソルジャーが時々いるのが面白いですよ。

かわいいフトアゴ。

考古学の展示も。これは偉い人の棺ですね。

メソポタミア文明の特別展もちゃんと見てきました。

こちらはトリケラトプス推しの証拠の品々。

オリーブグリーンのTシャツ買いました。

正味、旧復元的な展示が楽しい歴史的価値だけの博物館となめてかかってましたが(それが魅力の大部分ではありますが)、YPMはそれを差し引いても余裕でワールドクラスの博物館だとわかりました。有名なだけのことはあります。

ケラトプス類が大きな扱いだったので大満足です。

YPMを後にしたのち、ボストンへ向かいました。

そういえばカーナビがときどき左と右まちがえるのはなんなの?

とりあえず今ボストンにいますので、明日は科学博物館 Museum of Science を紹介できると思います。

それじゃ👋


参考文献:

Prieto-Márquez, A. (2011). “Revised diagnoses of Hadrosaurus foulkii Leidy, 1858 (the type genus and species of Hadrosauridae Cope, 1869) and Claosaurus agilis Marsh, 1872 (Dinosauria: Ornithopoda) from the Late Cretaceous of North America”. Zootaxa. 2765: 61–68.



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