まず失くさないと思っていた物を失くした時の悲しみと、まず戻らないと思っていた物が戻ってきた時の喜びはどっちも計り知れないですよね。ケラトプスユウタです。
今日は予告通りロッキー博物館のオリクトドロメウス Oryctodromeus を紹介します。
オリクトドロメウスはパルクソサウルス類 Parksosaurid という鳥盤類 Ornithischia の中でも他のものと比べて目立たない部類のタクサに属する植物食恐竜です🤓
化石はモンタナのブラックリーフ層 Blackleaf Formation とアイダホのワイアン層 Wayan Formation で発見されています。どちらも白亜紀中ごろのセノマニアン期 Cenomanian (約9500万年前)です。
この標本も昨日のデイノニクスとテノントサウルスのようにリバーシブル仕様。
オリクトドロメウスは初めて穴居性が示唆された恐竜として一部で有名で、名前も「穴を掘るランナー」を意味します。ブラックリーフ層の標本は顎、前肢(上の画像)と骨盤に土を掘って移動するための適応があることが示唆されているとのこと(参考文献)。
論文の著者によると、前肢の穴居性適応の度合いはモグラ・ウォンバット以下、モルモット・ウサギ以上だそうです。
ちなみに著者の一人は日本人の桂嘉志浩(かつらよしひろ)さんです。トリケラトプスのヨシストライク Yoshi‘s Trike の名付け元です。
(ヨシストライクは過去に御船町恐竜博物館のレポートで紹介してます)
地中にいるオリクトドロメウスの生体復元模型。
キャプションによると、こちらは完全な妄想ではなく、実際に3個体のオリクトドロメウスが地下の巣穴に埋まった状態で発見されているそうです。穴の長さは2 m、幅70 cmほど。
骨は密集しており、関節していなかったことから穴の中で死んで腐敗したと考えられています。
保存された巣穴は形状によって2つに区分されていて、大きさの異なる2次的な砂岩製の管が存在しており、小型の共生者が巣穴にいた可能性があるとのこと。巣穴は推定される成体のサイズに合っており、掘ったのが成体のオリクトドロメウスあることが示唆されています。
オリクトドロメウスが穴居性だったことは100%疑いの余地がないということではないはずですが、中生代2億年の間に穴居性の恐竜が複数いたことも間違いないでしょうね。
以上!
つづく…