左の僧帽筋が痛い。ケラトプスユウタです。
大絶滅展レポート2回目です。早速行きましょう。
なお一部、2回目の巡回先である名古屋市科学館での展示写真が含まれている可能性がありますが、上野のものと基本的に同じなので気にしないでください。

おそらく最も有名なカンブリア紀生物 アノマロカリス Anomalocaris の生体復元模型。
額に盾があり、背中にエラのようなものが2列ある、2026年春現在最新解釈の復元らしいです。

アノマロカリス・カナデンシス A. canadensis
写真が下手でわかりにくいかもしれませんが、まさにアノマロカリスの「アノマロカリス」の部分(エビだと思われた前部付属肢)。実物。
全身も「奇妙なエビ」呼ばわりするには十分な見た目ですが、これだけだとラディオドンタ類 Radiodontidae についての知見がなければエビだと考えてしまうのもわかります。

アノマロカリス・カナデンシス
完全性で有名なTMP 2023.003.0003(外部リンク: Wikipedia)のレプリカです。オリジナルは白い化石に茶色い母岩なので、なぜか着彩のパターンが逆になっていますね。

オルドビス紀を代表する動物で、本展のキービジュアルにもなっていました。余談ですが、最初紀のバージョンはアエギロカッシスの部分がアノマロカリスになっていました。アノマロカリスはビッグファイブと直接関係ないのでアエギロカッシスに差し替えたのでしょう。
既知の最大のラディオドンタ類で、プランクトン食者だったと考えられています。やっぱり大きくなる子はプランクトンを食べるんですね。

アエギロカッシス生体復元模型
帽子のツバのような目立つ甲皮はアノマロカリスの額の盾と相同らしいです。この甲皮の形状も含めてまさに「節足動物界のヒゲクジラ」といった印象です。

アンプレクトベルア・シンブラキアタ Amplectobelua symbrachiata 前部付属肢
本種の前部付属肢はハサミ状になっている事で知られます。この標本は既知の最大の前部付属肢で、これから体長は最大90cmとされ、既知の中ではカンブリア紀最大のラディオドンタ類になるそう。

ところでオルドビス紀の大量絶滅(O-Sイベント)はビッグファイブの中で2番目に重大な大量絶滅で、2連撃に分かれて起こったと説明されていました。
1撃目は火山活動によって、なんやかんやで大気中から温室効果ガスであるCO₂を除去したり、植物プランクトンが爆増して光合成によって大気中のCO2を吸収したことで地球が寒冷化→氷床が発達→海水準低下によりサンゴ礁が大ダメージを受け浮遊生物の大部分が絶滅というもの。
2撃目は寒冷期終了後の温暖化。水温が上がる→溶存酸素量が減る→CO₂の溶解度も減る→プランクトンが死にまくる→腐る過程で酸素がさらに消費される→なんらかの微生物のはたらきで硫化水素を含む毒の水塊が発達→温暖化で氷解が溶け、海水準が100m上昇→海洋大循環で海底の毒液が撹拌され、多くの命にとって危険な環境になったとのこと。
素人の意見では、「火山活動でCO₂が除去される」というってどういうプロセスがよくわからなかったです。火山は基本的にCO₂供給源じゃないですか。風化促進や栄養塩供給との因果も考えると頭がおかしくなりそうです。
また植物プランクトン増加はどの程度持続的だったのか、短期ブルームで全球寒冷化を説明できるのかという疑問があります。初歩的な疑問だったらすみません。

脊索動物に近縁とされるウェトゥリコラ類(古虫動物) Wetulicolia。甲羅状の全半身にはエラ穴(鰓孔)と解釈されるスリットが並んでいるのが確認できます。

海展のユンナノゾオンとは別の標本でした。
既知の最古のステム脊椎動物とされる事が多く、一昔前まではピカイアが対応していたポジションに置かれるのは最近ではすっかり本種がデファクトスタンダードになっていますよね。

みんな大好きサカバンバスピス Sacabambaspis janvieri
図録によると“腹側の骨板で、oral plate と呼ばれる口の周りの細かい骨や側線の溝が観察できる”そうですが、僕はできません。

サカバンバスピス 生体復元模型
どうやらこれ目的で来場された方も少なからずいらっしゃるようです。
存在も復元(特にカラーリング)も、ヘルシンキ自然史博物館の模型に大いに影響されているように思いますが、ヘルシンキの方では表現されていなかった甲冑部分は意識的に表現されています。

エンドケラス(エンドセラス) Endoceras
図録によると「オルドビス紀最大の海洋無脊椎動物」とのことですが、「オルドビス紀最大の動物」でも正しいですよね?
陸上にはまだ(キングレンジャーくらいしか)動物はいないはずですし、脊椎動物は(キングレンジャーを除けば)ごく小さなものしかいなかったはずですから。

モロッコ産オルドビス系のクモヒトデ類 Ophiuroidea
この化石はよく見る「腕」がウニョウニョしたシュマゴラスみたいなクモヒトデよりもヒトデ類 Asteroidea に似てます。クモヒトデ類は棘皮動物現生5綱の中ではヒトデ類に最も近縁らしいです。
***
ここからシルル紀です。
O-Sイベントで床板サンゴ類は属でいうと3/4が絶滅したそうですが、シルル紀の温暖化で多様性を回復、200〜300万年という短期間で地球上の浅瀬にサンゴ礁が回復したそうです。サンゴ礁をはじめとする生物礁は外海の波を和らげ、動物にとって豊かな環境の基盤を提供したそうな。
ところで「地球上の浅海にサンゴ礁が回復」ってグローバルな一様回復なのか、それともローカルなホットスポットの集合をクローズアップしているのかどっちなんでしょう?

スキフォクリニテス Scyphocrinites sp.
浮袋で浮遊生活をしていたタイプのウミユリ類ですな。
それにしても大きさもさることながらこの密集具合、関節、レリーフ状ながらも残る一部の立体構造など素晴らしい化石です。
これだけよく保存されていながら種が断定されていないのは、トリケラトプスのレイモンドやゴルゴサウルスのルースにも通ずるものがあります。いくら保存が良くても分類が難しいものは難しいという事が改めてわかります。

ラディウルス・アドライニ Radiurus adraini
このほか、多くの三葉虫の実物化石が展示されていました。その多くは腫瘍病理学者の立松正衛博士のプライベートコレクションらしいです。
立松先生、貴重なコレクションをお見せいただきありがとうございました。

アクティラムス・マクロフタルムス Acutiramus macrophtaus 生体復元模型と化石レプリカ
体長2m以上の遊泳生の巨大なウミサソリ類 Eurypterida。体も大きいですが、種小名の意味する通り眼も大きいですね。目で狙った獲物を手で捉えるところは我々 Homo sapiens にも似ています。
なおレプリカの方のオリジナル標本はコンポジットであることに注意がいるようです(Cheng and Briggs, 2024)。

全ウミサソリを代表する存在、エウリプテルス(ユーリプテルス)・レミペス Eurypterus remipes
台に平置きの展示だったので画像はそこそこパースがついています。
図録によると特に大型の個体を含んでいるそう。6個体がまとまって見つかるのは普通のことでしょうか?

歯鱗類 Thelodonti に含まれる無顎類 Agnatha の一種。お
よくみると丸い口をあけています。菓子のプッカやおっとっとのランダムなサカナみたいでかわいいです。

ビルケニア・エレガンス Birkenia elegans
鰭式はよくわからないですが、胴体の中ほどにある背鰭が二又の鉤状になっていて、しかも吻側(前方)の鉤が前傾しているのが意味不明でおもしろいです。
今日はここまで。いかがだったでしょうか?
#3は気長にお待ち下さい。
それじゃ👋
****
参考文献:
- 国立科学博物館・NHK・NHKプロモーション・読売新聞社(編)(2025)『特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」Special Exhibition: Mass Extinctions−BIG FIVE』東京:読売新聞社。
- Cheng, E. and Briggs, D. E. G. (2024)
‘Genital appendages of the giant pterygotid eurypterid Acutiramus from the Silurian (Pridoli) Bertie Group of North America’, Bulletin of the Peabody Museum of Natural History, 65(2). doi:10.3374/014.065.0201.
