マスク届かないんですけど(要らないけど)。ケラトプスユウタです。
前回の投稿から日が空いてしまい申し訳ありません。
今日から首都National Museum of Natural History (国立自然史博物館) USNM の展示物紹介を始めちゃいたいと思います。
ここはスミソニアン博物館群の一つで、首都中心部のナショナル・モールと呼ばる大きな公園沿いにあります。
(半リアルタイム日記もご参照ください。)
最初に紹介するのはこちらの展示。
ティラノサウルス Tyrannosaurus にフリルを噛まれるトリケラトプス Triceratops。
2019年のリニューアル後から公開されている新しい展示です。
この二大恐竜のマウントが共に展示されている例は世界の常設展でも特別展でも、いくつもの例がありますがこのように直接コンタクトしているものは珍しいでしょう。
ティラノサウルスはスタンと並んでよくいろいろな所で展示されているワンケルこと MOR 555。
トリケラトプスは USNM 4842 をコアとし、BSP 1964 I 458 などで補完されたコンポジットです。恐竜の完全な骨格は珍しく、発見される恐竜化石全体の1%未満と言われているので、見つからなかった部分を同種や近縁種、あるいは想像(暗黒)で補うのは普通のことです。USNM 4842の頭骨要素は目の上の角だけで種は不明ですが、四肢要素と骨盤はよく保存されています。
このコンポジットはハッチャーの愛称で親しまれています。ハッチャーとはトリケラトプス やトロサウルスの発見で有名なジョン・ベル・ハッチャー氏への献名です。
こちらはリニューアル前からこの博物館にいるハッチャーで、二階の白亜紀後期のアメリカの部屋に今もこうして展示されています。
このハッチャーは古い展示で、もろもろプロポーションに問題があったので、新しい方のハッチャーは実骨をデジタルスキャンしてサイズを整合した上で組み直されているそうです。
“Dueling Dinosaurs”(決闘する恐竜)と呼ばれる展示で、人気なのは良いのですが、もう決着ついちゃってるので「決闘」って言わないですよね。
トリケラトプス史上主義者として良い気はしませんが、どうあれ恐竜のダイナミックな復元は生き様を垣間見るようで好みではあります。こうなると「ティラノサウルスを打ち倒したトリケラトプス」という逆バージョンも見てみたくなるのが人情ですが、所詮はトリケラトプスは食われる者でTレックスは食う者。ティラノサウルスが生きたトリケラトプスを襲っていた証拠も知られており、逆にトリケラトプスがティラノサウルスを殺したという直接証拠はなく、博物館が科学の名の下にある以上は非現実的ですね。
続きはまた次回!
それじゃ👋
参考文献: Erickson G, Olson M, Kenneth H. (1996-03-19). “Bite marks attributable to Tyrannosaurus rex: Preliminary description and implications”. Journal of Vertebrate Paleontology16 (1): 175–178.
“USNM #1 トリケラトプスのハッチャー、ティラノサウルスに食われるの巻” への3件のフィードバック