Hatchling, nestling, baby, juvenile の訳分けは難しいよ? いっつも難しい。ケラトプスユウタです。
というわけで今回は恐竜の成長に関する展示物を紹介します。
以前「新説・恐竜の成長」という特別展が福井県立恐竜博物館から始まって日本のそこかしこで巡業してましたが、ホーナーさんの息がかかったこのモンタナ大学ロッキー博物館の全面協力から成る特別展でして、ホーナー博士やその学生たちが恐竜の個体発生という分野に長けているという事が伺えます。
いくつもの種のさまざまな成長段階が研究できるというのは、豊かな化石産地を抱える大学・博物館ならではとも言えますね。
もちろん僕は深い話はできませんのでせいぜい写真をお楽しみください。
ヒパクロサウルス Hypacrosaurus 成体の頭骨
いやでもクレスト(とさか)が目を引きます。
そんなヒパクロのクレストも赤ちゃんの時は目立ちません。目立たないとはいえ、すでに視認できる形質として存在しているので彼らにとってそれなりに重要な器官だったのではないかなと想像します。
あ、知らない子のために説明すると、恐竜の個体発生の順序は幼体(こども)→成体(おとな)で僕たち人類と同じです。🤓
10mを超すようなビッグ恐竜も卵から孵った時は親と比べて非常に小さかった事が知られています。たとえば成体の全長9m、体重1.8tと推定されるマイアサウラ Maiasaura の孵化幼体は全長40cm、体重680g 程度であると言われています。骨の成長線を調べた研究によると、マイアサウラの成長はとても速く、全長で言うと年間2.7mほど成長したそうです。
ハドロサウルス類 Hadrosaur として近縁なヒパクロサウルスも似たようなものだったと思われます。
ダスプレトサウルス・ホルネリDaspletosaurus horneri 成体の頭骨
この標本を紹介するのは2度目です(御船町恐竜博物館の特別展の記事で紹介しました)。
皮膚印象が知られたティラノサウルス科 Tyrannosairidae の化石として知られておりますけども、ここで見ていただくのはゴツさです。
ダスプレトサウルス(種の記載なし) 幼体(juvenile) 頭骨
成体と比べて細長いですが、ほほが張り出していたり頭の後方が高くなっているところは並の獣脚類より強靭そうな感じがします。
続きまして、様々な恐竜の様々な実物化石。
ヒパクロサウルス幼体(juvenile)の腸骨(腰の骨)。
ヒパクロサウルス幼体(juvenile)の坐骨(なんか尻の方の骨)。
ブラキロフォサウルス Brachylophosaurus の下顎の骨。左が吻側。デンタルバッテリー(歯群)が観察できます。
ヒパクロサウルスのデンタルバッテリー。
ダスプレトサウルスの歯。
ダスプレトサウルスの尾椎。
トロオドン類 Troodontid の椎骨。
チャンプソサウルス Champsosaurus (ワニっぽい動物) の椎骨。
ドロマエオサウルス類 Dromaeosaur の前肢末節骨(手の爪の骨)。
鎧竜 Ankylosaur エウオプロケファルス Euoplocephalus の尾。
左が遠位端。先端がコブ状になっていてそれに繋がる尾は骨化腱で強化されまさにハンマーのシャフトのようになっているのは説明するまでもないですか。
フィールドで化石が見つかる時はだいたい個々のパーツとしてばらけているので、時には関節してない骨を観るのも勉強になるかもしれません。
今日もありがとうございます。それじゃ👋
参考文献: Horner, J., Ricqles, A. de, and Padian, K. 2000. Long bone histology of the hadrosaurid Maiasaura peeblesorum: growth dynamics and physiology based on an ontogenetic series of skeletal elements. Journal of Vertebrate paleontology 20(1): 109-123.