名古屋港水族館 #1 鯨類の進化

アクセントの事をイントネーションという人が多いですが、アクセントは“単語を発音する際の音の強弱や高低の配置”、イントネーションは“発話全体の音のピッチのパターン”です。ケラトプスユウタです。

2026年3月15日、仕事の前乗りで愛知県名古屋市へ来ました。時間が少しあったので、名古屋港水族館へ行ってきましたのでレポートします。

名古屋港駅内のポスター

名古屋港から徒歩、1〜2分です。

エントランス前の展望。南極探検で有名な、永久係留されている調査船『ふじ』が見えるぞ!

入館料は大人一般で2030円。いわゆる博物館の感覚で行ったのでお高めかと思いましたが、中身を見た今だと妥当(リーズナブル)だと思います。

まあ水族館も法的には博物館ですが。

シャチ Orcinus orca

名古屋といえばシャチホコですわ。

アイパッチがヴェノムみたいです。

マイルカ類 Delphinidae

巨大な水槽で展示されていました。小一時間は眺めていられること請け合いです。

シロイルカ(ベルーガ) Delphinapterus leucas

照明が緑色なのは北極海の雰囲気表現でしょうか?

公開トレーニングの告知してました。

イルカショーは良いのか悪いのか立場を決めかねているので具体的なコメントは差し控えさせていただきます。

鯨類の祖先として有名な前期始新世の動物、パキケトゥス(パキケタス) Pakicetus

そう、名古屋港水族館は化石種の展示があるのです。だもんで、当ブログで取り扱う施設としてはいかにも申し分ないのです

パキケトゥス

足首の骨に偶蹄類の固有派生形質が見られることが分子系統解析の結果とも整合的らしいです。四肢はしっかりしてますが、歯は典型的な偶蹄類よりもずっとクジラ的です。

眼球を支える気のある頬骨はクジラらしくないところです。

パキケトゥス

鼻孔が鼻面の先端に開口していることから水棲適応が進んでいない事が、わかりますでしょう。

アンブロケトゥス Ambulocetus

前期始新世の原クジラ類 Archaeoceti 。

半水棲だったと考えられています。でっかいカワウソのような動物だったのでしょうか。もし今も生きていたら、人間にとってはワニより恐ろしい捕食者だったかもしれませんよね?

ジゴリザ(ジゴリーザ) Zygorhiza

“この段階の化石鯨類の全身復元骨格枠”はドルドン Dorudon が選ばれている事が多い気がするので、ジゴリザの全身骨格は珍しいと思いました。どのくらい造っているかはわからないですが。

おそらく絶滅鯨類でもっとも有名な、バシロサウルス Basilosaurus

吻はけっこう華奢なつくりですね。

ムカシクジラ類の歯。俗に言う「もみじまんじゅう」です。二重歯根は別として、木の葉型のふちは典型的な鳥盤類の歯に似てると思っちゃいます。

なにこれ知らない。

アエティオケトゥス(エティオケタス) Aetiocetus

後期漸新世の基盤的ヒゲクジラ類らしいです。まだ歯がある一方、血管神経孔の発達から「ひげ」も生えていたと考えられいるそう。

ヤマトケトゥス(ヤマトケタス) Yamatocetus

北九州市で発見された後期漸新世のヒゲクジラ。

外鼻孔の位置がまだ上顎の中ほどだったり歯槽の痕跡があったりと、気持ちいいくらいにアエティオケトゥスと現生ヒゲクジラの中間型を示しているようです。

フカイア Fucaia

これもはじめて見聞きする学名です。アエティオケトゥス同様、歯とひげを兼ね備えたヒゲクジラらしいです。

マンマロドン Mammalodon

「哺乳類の歯」と和訳できる属名。普通そういう学名って哺乳類じゃない生物につけるものだと思うのですが、検索してみたところ「ヒゲクジラなのに普通の哺乳類みたいな歯」というニュアンスらしいです。

吻が短く幅広いという形質は現生の鯨類では見られない特徴ですよね。プランクトン食者の吻がわざわざ短く進化した経緯を妄想すると面白いです。

アゴロフィウス Agorophius

基盤的なハクジラ類らしいです。すでに鼻孔はかなり後退した位置にありますね。

ケントリオドン類 Kentriodontidae

これはさすが、非常に繁栄したグループなだけあって、しばしばみるやつです。実際、このレプリカのオリジナルはロサンゼルス郡立自然史博物館所蔵らしいです。

エウリノデルフィス(ユーリノデルフィス) Eurhinodelphis

見た目からも名前からも魚竜類 Ichthyosauria のエウリノサウルス Eurhinosaurus を連想するのは僕だけじゃないはず。…言おうと思ったらまさにそういうキャプションがあったんですね。このキャプションは「収斂進化」という固い用語を用いずに概念だけを子どもに伝えようとする気概を感じ、とても良いです。

アカボウクジラ類 Ziphiidae

アカボウクジラ類は吻が細長く、鼻孔の後ろが大きく盛り上がっているのがわかりやすいですがなぜそうなっているのかはわかりませんすみませんごめんなさい。

現生のハクジラ類 アマゾンカワイルカ Inia geoffrensis

吻だけ見ると恐竜類のイクティオルニス Ichthyornis みたいです。

カワイルカは多系統群だって学生さんに教えてもらいました。

オガワマッコウ Kogia sima

エウリノデルフィスやカワイルカを見た直後なので短さが奇抜に見えます。

これ左右非対称性を見て頂くために正面からも撮るべきでした。

ハッブスオウギハクジラ Mesoplodon carlhubbsi

僕のしりとりの「は」の持ちネタの一つです。

扇状の歯があるのはオスだけなんですよね?

オウギハクジラの高さのある吻。こういった鯨類の吻部の形状のバリエーションも翼竜類 pterosauria や鳥類 aves のクチバシのバリエーションを思わせて面白いです。

シャチ

笑ってやがる。

ナガスクジラ類 Balaenopteridae の頭骨化石

餌が小さいから体も小さいとはならずに、餌が小さいから体を巨大化させて一度に処理する選択に至ったわけですか。なるほど、地球最大の動物が小さな餌を食べているのは合理の極み。いやはやいやはやこれはなかなか美しい話です。

展示台上の段差でハクジラ類より低い位置にあるところにささやかな配慮を感じます。とはいえ化石種もヒゲクジラ類はハクジラ類と同じ高さなので関係ないというか、標本の大きさかたちに合わせてこうなっているだけの事かもしれないですが。

クラドグラムの一部にトリケラトプス Triceratops を発見。

シャチのマウント。これが当館、異様に充実しています。この周囲のキャプションはハクジラ類の骨学についてかなり詳しく説明していて、これで一冊の本にしてほしいくらい優れた展示です。

鯨類の進化を追う立体映像展示。

これが骨格にしろ生体復元にしろシームレスというのが正しい表現かわかりませんが、みるみるうちにクリーチャーの形質が変化していき技術的に見事です。

ハンドウイルカ(バンドウイルカ) Tursiops truncatus

骨格と生体模型が並べて展示されているのはありがたいですね。

キタトックリクジラ Hyperoodon ampullatus

奥の骨格も同一種です。

検索したら通常の個体は普通のクジラっぽい黒みがかった白っぽいグレーらしいです。

シロイルカの骨格。トックリクジラと比べて体は小さいのに肩甲骨が大きくて意外でした。

シャチ

1万年後の『ジュラシック・ワールド』みたいな映画で海のとんでもないバケモノにされそうな見た目してませんか。

特徴的な背鰭の基部は、特に骨の上ではこれといって変わった形になっていないように見えます。

今更ですけど、なにもシャチホコじゃないじゃないですか。

エスカレーターの上にマッコウクジラ Physeter macrocephalus 骨格標本

空間を惜しげなく使って頂くのはありがたいんですが、なにぶんエスカレーターなので足場が動いてしまう上、他の来館者も次々来るので観察しづらかったです。

ここまでで十分この水族館の普通じゃないところがおわかり頂けたかと思います。

ですが名古屋港水族館はこんなものではありませんでした。

続きはまた次回。

それじゃ👋

コメントを残す