これを読まれている方の中には、小田原の日本古生物学会に参加されている方も多いのではないでしょうか。皆さま各々の参加の目的を果たせる事を願っております。ケラトプスユウタです。
さて、前回は下甑島で日本初、アジア二例目のケラトプス類が発見されている事をお伝えしました。
甑島では100年以上前から地質調査が継続的に行われてきており、2009年に最初に獣脚類の歯が発見された頃から博物館構想が持ち上がったと聞きます。
そして2016年、ゴビサポートジャパンの高橋功さん、熊本大学の小松俊文博士らにより、薩摩川内市鹿島支所の一部を占領した「甑ミュージアム恐竜化石等準備室」が設けられました。
その際にアフロヴェナトル・アバケンシスAfrovenator abakensis、マラウィサウルス・ディクセイ Malawaisaurus dixeyi 、プロトケラトプス・アンドレウシ Protoceratops andrewsi の組立作業を手伝わせて頂き、思い出深い経験となりました。非常にね。うんうんうんうん。
上記3種はいずれも甑島産の恐竜化石(獣脚類、竜脚類、角竜類)と関係するものとして選ばれ、アフロヴェナトルとマラウィサウルスは国立科学博物館から貸し出されたものだそうです。この2体は世界最大の恐竜博2002やその他の特別展で貸し出されまくっていた標本と同一物です。プロトケラトプスは神流町恐竜センターからの借り物だそうです。
ジュラ紀のアフリカに生息していた動物食性動物アフロヴェナトルは、典型的な中型獣脚類としての甑島獣脚類のイメージがわかるようにとの事で選ばれたそうです。(甑島獣脚類はテタヌラ類なのかどうかすらわからないので、中型獣脚類でありさえすればなんでも良かったみたい)
マラウィサウルスの方は、ティタノサウルス系類という事までは同定されている甑島産竜脚類に対応。両者がティタノサウルス系類の中で特に近縁ということではないです。
プロトケラトプスが対応しているのは甑島ケラトプス類(🤓)。
もちろんプロトケラトプスはケラトプス類ではないけど、大人の事情のもと、妥協策として別の角竜類で代用したというところらしいです。美しく関節したほぼ全身の骨格を産状の状態でレプリカにしたもので、見事な標本ではあります。非常にね。うんうんうんうん。
ですが、前述の獣脚類と竜脚類も特に近縁な動物が対応しているわけではないにしても、ケラトプスユウタとしては正真正銘のケラトプス類を展示してほしいところなのよね。なぜならプロトケラトプスでケラトプス類のイメージを掴むのは難しいと思うから。特に藺牟田層はこのケラトプス類において特別なわけだから執拗なまでに拘って良いところと、部外のケラトプス狂いは思います。((直接関係ないけど、御船町恐竜博物館では現在、楽屋でカスモサウルス・ベリ Chasmosaurus belli の組立骨格がくすぶっている。そして甑ミュージアムの学芸員的ポジションにある三宅優香さんは御船町恐竜博物館の身内のような人物である。)(また鹿児島県立自然史博物館にはディアブロケラトプス・エアトニ Diabloceratops eatoni の頭骨がある時とない時がある))
さらに2018年6月には、同月発表された上甑島(かみこしきじま、かみこしきしま)のハドロサウルス類の大腿骨、およびそれに対応する標本としてパラサウロロフス・ワルケリ Parasaurolophus walkeri の展示が加わったと報じられている(参考文献)。こちらの朝日新聞のサイトには標本の写真もあるのでご興味のある方はチェックしてください。
例によって断片的ではあるものの発見が相次ぐ姫浦層群。特に藺牟田層は世界的にも珍しい「ケラトプス類とティタノサウルス系類を共産するカンパニアンの地層」ということだから今後も目が離せないのよね!