鳥刺は二度と食べない。ケラトプスユウタです。
今日は頭が魅力的な周飾頭類 Marginocephalia の鳥盤類 Ornithischians を紹介していっちゃいたいと思います。
パキケファロサウルス・ワイオミンゲンシスPachycephalosaurus wyomingensis
AMNH 1696 (“色黒”でおぼえましょう)
頭骨のみで知られる標本ですが、既知の中で最大のパキケファロサウルス個体です。有名なサンディーは亜成体で、こちらは成体。なので、サンディーよりもだいぶ大きなボディーサイズだったはずです。
ホーナーらの研究によると、サンディーのように頭の縁がトゲトゲしていないのが大人の証と言われています(参考文献)。
生命の星地球博物館にもキャストがあります。
パキケファロの脳を示した模型。
頭蓋骨の厚みが目立ちます。一方、脳みそもわりと大きいのではないでしょうか。(何と比べるかによる)
プシッタコサウルス・モンゴリエンシス Psittacosaurus mongoliensis
AMNH 6254
本種のホロタイプ。美しくて可愛いくて由緒正しい。三拍子揃った素晴らしい角竜ですね。
かつてはケラトプス類に直接繋がる祖先と考えられていましたが、指の本数(4本でケラトプス類より少ない)や上顎の特徴の違いから、角竜類のストリームの中から比較的初期に分岐した特殊な存在だったと考えられるようになっています(※1)
プシッタコサウルス・モンゴリエンシス
AMMH 6253
この標本は元々「プロティグアノドン」“Protiguanodon”と呼ばれていました。「プロト」+「イグアノドン」という事ですけども。なぜかと言うと、イグアノドン Iguanodon やカモハシ竜の祖先にあたる動物だと考えられたからです。けれどもプシッタコサウルスをご存知の方はご存知の通り、「プロティグアノドン」は今日では基盤的な角竜類であると考えられています(参考文献)。
この標本は腹に相当する部分に小さな石がたくさん存在しています。餌の消化を助ける胃石ですね。現在のワニや鳥も石を砂嚢に飲み込んで胃石として利用するので、系統上ワニと鳥の中間的位置付けである恐竜もほとんどの種が砂嚢/胃石を持っていたのではないかと考えられますが、角竜では現状これが唯一の直接証拠です。先述したようにプシッタコサウルスは角竜の中でも特殊な存在であるため、咀嚼機能を発達させず胃石に依存するベクトルに進化した変わり者だったとする説もあります(※2)。
二体のプロトケラトプス・アンドレウシ Protoceratops andrewsi
こちらもおなじみの恐竜。
時は1922年。伝説によると、当時人類の起源はアジアにあると思われていました。颯爽たるロイ・アンドリュース博士率いるアメリカ自然史博物館の探検隊は、内モンゴル・ゴビ砂漠遠征へ向かい、写真家のジェームズ・シャッケルフォードがジャドフタ層 Djadochta Formation でプロトケラトプスの最初の標本を発見しました(※3)
ウォルター・グレンジャー博士らは1923年にアンドリュース博士に献名してプロトケラトプス・アンドレウシを記載しました。彼らは直ちにプロトケラトプスの発見の重要性を発表し、「トリケラトプスの遠い祖先」として歓迎されました。もちろん直接の祖先である可能性はとても低いです(参考文献)。
さてプロトケラトプスほど成長段階がよく知られた化石恐竜はあるのでしょうか?
以下は成長段階別のプロトケラトプスの頭骨コレクションです。
言うまでもなくより小さいものが若いものです。
成長したものほどフリルが大きいので、フリルはなんらかの形で繁殖に関係したのではないかと思われます。
次回はいよいよ角竜類のスター、ケラトプス類が登場します。
今日もありがとうございます。それじゃ👋
※1: You, Hailu; Dodson, Peter (2004). “Basal Ceratopsia”. In Weishampel, David B.; Dodson, Peter; Osmolska, Halszka (eds.). The Dinosauria(2nd ed.). Berkeley: University of California Press. pp. 478–493.
※2: David E.Fastivsky, David B.Weishampel(1996, 2005), The Evolution and Extinction of the Dinosaurs SECOND EDITION, Cambridge University Press.pp.169
※3: Dodson, P. (1996). The Horned Dinosaurs, Princeton University Press, Princeton, New Jersey. pp. 200-234