ANSP #6 爆竜アヴァケラトプス

好きな四字熟語は「粗製乱造」。ケラトプスユウタです。

ということで今日もフィラデルフィア自然科学アカデミーの展示物紹介です。

ミニチュア版トリケラトプス Triceratops のように復元されたこの方は、アヴァケラトプス・ランメルシ Avaceratops lammersi のホロタイプ ANSP 15800。

ケラトプス Ceratops やモノクロニウス Monoclonius やディスガヌス Dysganus といった疑問名ケラトプス類 Ceratopsid (ケラトプス類だけではないですが)の宝庫であるモンタナ州のジュディスリバー層産。1986年に角竜の権威、ピーター・ドッドソン博士に命名されました。

小型のケラトプス類として図鑑で見かけたこともあるような種類の動物ですが、成体の標本は知られていません。

多くのケラトプス類にはフリルに一対の穴があるのはよく知られている通りでトリケラトプスはその希有な例外なのですが、実はアヴァケラトプスもその一つです。そのためアヴァケラトプスはトリケラトプスの祖先、あるいはセントロサウルス亜科 Centrosaurinae とカスモサウルス亜科 Chasmosaurinae の中間に位置すると考えた人もいたそうです。

後者だとフリルに穴がないことがケラトプス類の基盤的形質になってしまい、トリケラトプスが原始的なカスモサウルス亜科ということになってしまうので事実と反しますね。

2013年にサンプソン博士らはセントロサウルス亜科ナストケラトプス族 Nasutoceratopsini内のナストケラトプス Nasutoceratops の姉妹群と位置付けていますが、これは比較的納得の行く解釈です。

フリルの穴を塞ぐという形質は、トリケラトプスとナストケラトプス族で別々に起こった進化と考えるべきでしょうね。トリケラトプスは種内競争のためかティラノサウルスに対する防衛のためかは定かではないですが盾としての機能を高めるために穴を塞ぐ方向で進化したものと僕は考えていますが、アヴァケラトプスもそうだったのかはわかりませんね。

「アヴァケラトプス」とされる標本はロッキー博物館編でも MOR 692 を、おそらくアヴァケラトプスとは異なるナストケラトプス族として紹介しましたね。

実際は角の要素は出ていないのでANSP 15800の角は3本ともアーティファクトです。ナストケラトプスの姉妹群とすると目の上の一対の角は存在したけど鼻角はなかったと考えるのが妥当と思われます。

将来ダイナソーリソースセンターのレポートでアヴァケラトプス3号と言われた「エヴァ(Ava)」も紹介するつもりでいます。これも「アヴァケラトプス」ではないナストケラトプス族と考えられています。

どうあれナストケラトプス族は最近になってセントロサウルス亜科内の新勢力として知られるようになって来ており今後の発見に期待が高まりますね。

今日はここまで。それじゃ👋


参考文献:

Penkalski, P & Dodson, P (1999). “The morphology and systematics of Avaceratops, a primitive horned dinosaur from the Judith River Formation (Late Campanian) of Montana, with the description of a second skull.”. Journal of Vertebrate Paleontology 19(4): 692–711.

Ryan, M.J.; Holmes, R.; Mallon, J.; Loewen, M.; Evans, D.C. (2017). “A basal ceratopsid (Centrosaurinae: Nasutoceratopsini) from the Oldman Formation (Campanian) of Alberta, Canada”. Canadian Journal of Earth Sciences. 54: 1–14. 

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