タンメンとタンタンメンを間違えました。ケラトプスユウタです。
フィラデルフィア自然科学アカデミーの展示物を紹介しています。
今日紹介するのはこの標本!
ANSP 9995
ドリプトサウルス・アクイルングイスDryptosaurus aquilunguis のホロタイプの前肢要素。他にも完全な後肢なども知られています。
この前紹介したハドロサウルス Hadrosaurus と同じように、アメリカの恐竜研究の最初期に発見されたアパラチアの恐竜で、断片以外の化石が発見された最初の獣脚類 Theropod として有名なものです。
ドリプトサウルスは一度はラエラプス Laelaps という印象的な学名を与えられたのですが、ダニか何かの節足動物に先取されていたとのことでその名は無効名となり、今の学名に改められたそうです。
ドリプトサウルスといえばチャールズ・ナイト画伯による2頭が戦っている様子を描いた「Fighting Laelaps」を思い浮かべる人も少なくないと思います(参考画像)。
古い恐竜画にしては珍しく躍動的な姿で描かれていて、現在でもユティランヌス Yutyrannus やケラトサウルス Ceratosaurus、アロサウルス Allosaurus などの獣脚類の組立骨格でオマージュされるほど人気のある作品です。

ケラトサウルス(上)とタニコラグレウス

ナイト画伯もただ根拠のない思いつきでドリプトサウルスをダイナミックに描いたわけでは なさそうです。発見当時、二足歩行の爬虫類が存在していたことはコンセンサスが得られていなかったらしいのですが、ハドロサウルスとドリプトサウルスの発見は二足歩行の恐竜が存在した可能性を強化するものだったそうですが、そのことと関係ありそうです。この頃カンガルーのような獣脚類の絵画も世に出回り出していますし。
この動物はティラノサウルス上科 Tyrannosauroid に含まれると考えられていますが、長い前足や第三指をもつ(たぶん機能指ではない)などティラノサウルス科 Tyrannodaurid と比べて基盤的です。ドリプトサウルスの暮らした後期白亜紀マーストリヒチアン後期において、アジアやララミディアではティラノサウルス Tyrannosaurus のようなこの系統の最派生の動物が幅をきかせていた中でアパラチアではこのような比較的古いタイプのものが繁栄していたようです。
ドリプトサウルスを見ていると、現状知られている範囲ではアパラチアにおいてハドロサウルス類 Hadrosaurid は普通に存在していたと考えられる一方、ケラトプス類 Ceratopsid は存在していたとしても普通種ではなかった(ドリプトサウルスの完成後に入り込んだ)と思われることからすると、ティラノサウルス科 Tyrannosauridae の中でもひときわマッシヴなティラノサウルス族 Tyrannosaurini が出現した要因にはハドロサウルス類はさほど関わっておらず、ケラトプス類の存在がより大きく関わっていたのではないかと考えたくなってきますね。
このキャプションにはドリプトサウルスを研究したエドワード・コープ博士のキャリアについて軽く書いてあります。
今日はここまで。それじゃ👋