YPM #4 ソリッド・クレスト

100日後に死ぬワニも結構ですが、たまには今生きているワニも気にしてくださいよ?(自戒)。ケラトプスユウタです。

さて! 恐竜はひさびさのトリケラトプス回です!(投稿自体が8日ぶりですが)

美しい!

トリケラトプス・ホリドゥス Triceratops horridus

YPM 1821

マーシュ博士は1889年の論文で、過剰な数の種を命名するという分類学的分割の悪の誘いに屈しました。

この悪習はウイルスのようにトリケラトプスの研究史の中に蔓延し、人々を悩ませてきました。トリケラトプス・フラベラトゥス Triceratops flabellatus はこのYPM 1821に基づいてたったの14行で記載されました。

何を隠そうフリルが保存されたトリケラトプスとしては最初の発見ですので、他のトリケラトプスにも言えることがわざわざ謳われていました。YPM 1821の頭骨の前後長はほぼ2mで、幅が1.2mの「オープンファンのようなフリル」を備えており、フリルの縁は「別々の皮骨に支えられた角質のトゲの列で武装していた」とされました。

マーシュはすぐにこの構造を縁後頭骨 epoccipital と呼ぶようになりました。

角は90cmの長さです。マーシュは「この計測値は、これまで知られているどの恐竜よりもはるかに大きく、この爬虫類が白亜紀の終わりに絶滅する前に達成した素晴らしい栄光をある程度示している」(These dimensions far surpass those of any of the Dinosauria hitherto known, and indicate to some extent the wonderful development these reptiles attained before their extinction at the close of the Cretaceous.)と述べています。頭頂骨は修復されましたが、それについては言及されませんでした。

それから2年後の1991年、マーシュは明らかに無闇に、いきなり新属を設立しました。トリケラトプス・フラベラトゥスを新属ステルロロフス Sterrholophus (「頑丈なトサカ」の意味)としてトリケラトプスから独立させ、YPM 1821が頭頂骨の特徴によって別の2属(トリケラとトロ)と区別できるしました。そのフリルの裏側全体は頭を支える靭帯と筋肉で覆われていたと説明されました。

ハッチャー氏はこれにぞっとしなかったようです。彼は丁寧かつ明確に自分の意見を表明しました。「マーシュ教授、あんたケラトプス Ceratops の頭頂骨が全く知られていないことを忘れちゃぁいませんか? ケラトプスは頭頂骨が角質で覆われていたのかとか靭帯や筋肉で覆われていたかどうかがわからないですよね? 3つの新属(トリケラ、トロ、ステルロロフス)とケラトプスは別物だって確実に言えることなんですか? (ケラトプスはより断片的な標本に基づいてトリケラトプスよりも先に命名・記載されていて、現在ではトリケラトプスとは別物と思われていますが角竜がよく知られていなかった頃はその辺が定かではなかったのです) 」「あとYPM 1821は成体じゃないですよね? 未熟な個体に基づいて新属を記載してますよね? 頭骨の癒合進んでないですよね? 教授が属差とした特徴は種差どころか成長段階の差じゃないんですか? 」「それから、これらの特徴が一部の成体にのみ存在し、他の頭骨に存在しない可能性を考えれば、それらの特徴が属差なのか種差なのか性差なのかは断定できないですよね?」といった具合です。

これによってステルロロフスの名はすぐに忘れ去られ、それ以来長い間、YPM 1821 をトリケラトプス・フラベラトゥス以外の名で呼んだ人はいませんでした。

その後もこの調子で様々な研究者によって10以上ものトリケラトプスの新種が、化石が新たに発見されるごとに記載されていきました。その大半はマーシュによるものでしたが。

そしてフラベラトゥスの設立からはるか後に、トリケラトプス標本が包括的に再分析され、既知の標本は全てホリドゥス T. horridus とプロルスス T. prorsus の2種のどちらかに分類されると結論付けられ現在に至ります。先述の通り、フラベラトゥスはホリドゥスです。(ホリドゥスとプロルススの違いについては過去記事があります)

要するに、非常に多くの種が誤って新設されてしまうほどトリケラトプスの頭骨にはそれぞれ個性があって面白いのですよ!

(マーシュ博士の暴走のせいという面も多分にあるわけですけども)

写真一枚で済ませてすみませんが、今日はここまで。

それじゃ👋


参考文献:

  • Dodson, P. (1996). The Horned Dinosaurs. Princeton University Press, Princeton, New Jersey, pp. xiv-346

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