YPM #1 不滅の雷竜

貧乏暇なしってね。ケラトプスユウタです。

おひさしぶりです。今日からYPMことコネティカット州ニューヘイブンのイェール・ピーボディー自然史博物館 Yale Peabody Museum of Natural History のレポートを始めちゃいたいと思います。

ちなみに当館は現在リニューアルに向けて改装中でして、今回から紹介していく展示とは多々違ったものになると思われますのでご注意というか、リニューアル前に伝統ある展示を見れて僥倖だったというか。

半タイムリー日記でもそこそこのカロリーで触れているので、参考までにリンクをつけておきます。予習・復習にお役立てください。

YPMはアメリカの博物館としての規模は、10段階で7くらいの感覚です。

そんな当館にはいくつか世界的に貴重かつ有名な展示物があるのですが、今回はその中でも一際目を引くであろう物を紹介したいと思います。

ブロントサウルス・エクセルスス Brontosaurs excelsus ホロタイプYPM 1980

1870年代の終わり頃、イェール大のレジェンドでミスター陰険ことマーシュ博士は、ワイオミング州コモブラフで発見されたほぼ完全な竜脚類 Sauropod の骨格を発表、ブロントサウルス・エクセルススと名付けました。

ところが1903年、エルマー・リグス博士は、「ブロントサウルスはアパトサウルス Apatosaurus と(属レベルで)同じだよね」と指摘、エクセルススをアパトサウルス属に含めました。アパトの方が先に命名されてたので先取権があります(参考文献)。

その後、YPMに先んじてこの前紹介したアメリカ自然史博物館のブロントサウルスのマウントが先に組み立てられました。その際、未発見だった頭骨は今で言うカマラサウルス Camarasaurus に基づいて製作されたアーティファクトが付けられました。当時の館長オズボーン博士はキャプションをブロントサウルス・エクセルススとしました。

このあたりは Carnegie Magazine さんの記事に詳しいです(English)。

これがYPMのカマラサウルス。あきらかに動物として違和感を覚えるプロポーションですが、組まれた当時はこれで妥当と思われていたようです。

YPMでは1931年にようやくマウントが組み立てられましたが、後半身だけ先に組まれた後半世紀に渡って放置されたとかどうとか(参考文献)。

尾を引きずった復元はわかりやすく旧いですね。

その頃、他の多くの博物館ではブロントサウルスの頭骨としてカマラサウルスのキャストを使っていたそうですが、YPMはそれともまったく違う頭を作り上げました。

(参考画像(実際に👆これがマウントにつけられています🤓))。

下顎はカマラのものを基にし、それ以外はマーシュのイラストに基づかれました。この頭骨は見ての通りどんな恐竜にも似ていませんな。

近年の一般的な解釈では、リグスの説が支持され、ブロントサウルスはアパトサウルスのジュニアシノニムであり、その種は全てブロントサウルス属に内包されると信じられていました(ロバート・バッカー博士は属差を主張していました)。

2015年に、ベンソン博士らが二属の関係について広範な研究を行い、ブロントサウルスは明確にアパトサウルスとは異なる竜脚類の有効属であると結論づけました。

頸椎の二股の棘突起の間の幅が主な違いで、ブロントサウルスではかなり狭く、アパトサウルスでは広くなっているとのこと(参考文献)。

例によってコンセンサスが得られた話じゃありませんけども。

僕は物心ついた時にはブロントサウルスはアパトサウルスの研究史を学ぶ上で登場するだけの名前でシノニムの代名詞的存在という意味でのみ馴染みだったわけですが、古参の恐竜ファンや竜脚類クラスタの多くはその名に慣れ親しんだと伺っています。またブロントサウルスといえば竜脚類の別名「カミナリ竜」の語源でもあります。名前なんてただの記号とは思いますが、そうした由緒ある属名が時を経て再び有効化されるところにブロントサウルスの偉大性を感じましたね。

今日もありがとうございます。

それじゃ👋

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