会報白黒印刷なのに「青い線」とか書いちゃってたよ。ケラトプスユウタです。
「竜盤類ホール」またの名を「カミナリ竜ホール(Brontosaur hall)」にやって来ました。なおカミナリ竜は竜盤類の一つ(竜脚類 Sauropod)であり竜盤類=カミナリ竜ではありませんぞ。
ここはAMNHにおいてアメリカの小学生が最も見たい展示物が集結しているらしくて、エントランスホールを除いて館内で最も混雑している場所でした。
ちなみに竜盤類 Saurischia というのは、(伝統的な分類法ですと)鳥盤類 Ornithischia と共に恐竜類 Dinosauria を構成する二大系統の一つです。竜盤類は(伝統的な分類法ですと)竜脚形類 Sauropodomorpha と獣脚類 Theropoda で構成されていて、ハリー・シーリー博士が1888年に提唱した定義では恥骨が前向きに伸びることが特徴とされています。
けれども2017年のバロン先生らの研究で、獣脚類が竜脚形類よりも鳥盤類に近縁であるとされたため、獣脚類を竜盤類に含めず竜脚形類とヘレラサウルス類 Herrelasauria だけが竜盤類を構成するという考えもあります。
獣脚類のポジションがネックです。
アメリカ自然史博物館では伝統的な分類に従っているため、この場でもひとまずアメリカ自然史博物館に従います。
絵とも模型とも言えない半立体物を使った恐竜のクラドグラム。かなり古いものなので竜脚類 Sauropod がジュラ紀で死に絶えていたりティラノサウルス Tyrannosaurus がカルノサウリア Carnosauria にぶちこまれたりしており、レトロな復元と相まって味があります。
プラテオサウルス Plateosaurus
竜脚形類の二大系統の一つでより基盤的なタクサである古竜脚類 Prosauropod を代表すると言っても過言ではない恐竜です。
穴の多い頭骨、カーブのある下顎、長い首、鉤爪、逞しい後肢、長い尻尾など、恐竜の基本形をそのまま強化したような姿で美しいですが、古竜脚類自体が中生代の序盤、三畳紀でピークを迎えてしまったせいか過小評価されている気がします。
カマラサウルス Camarasaurus 幼体 頭骨。
眼窩が大きいせいで特徴的な鼻孔が目立たないですね。歯は既にまあまあの大きさ。
ディプロドクス類 Diplodocidae (ガレアモプス・ハイ Galeamopus hayi ) 頭骨。
元ディプロドクス・ハイ Diplodocus hayi と言った方が通じが良いでしょうか? (追記: 調べたところ以前はディプロドクス・ロングス D. longus 名義だった模様)
ちなみに属名は直訳すると「ヘルメット欲しい」となりますが、発見者である化石ハンター、ウィリアム・アッターバック William Utterback とディプロドクス・ハイを記載した古生物学者、ウィリアム・ホランド William Holland のファーストネームであるウィリアムの語源 “Wilhelm” が「ヘルメット欲しい (Want helmet)という意味だからだそうです。
ブロントサウルス・エクセルスス Brontosaurus excelsus
このマウントは、1905年に竜脚類のマウントとしては世界で初めて作られた物だそうです。
キャプションによると1992年に組み直されたそうで、頭骨、頸椎の数、手根骨の配置、尾の長さが変更されたらしいです。
奥のガラスケースにはバロサウルス Barosaurus の頸椎がありますが、観察しづらいです。その頸椎の天井はガラスの通路になっているのですが、なぜか曇りガラスで観察させる気なし🤓
ブロントの後ろには足跡が付いています。
竜脚類に寄り添うように歩いた獣脚類の足跡も…(なんかくっきりしすぎで怪しいのですが)
これも有名な展示物、アロサウルス・フラギリス Allosaurus fragilis
竜脚類(アパトサウルスらしい)の尾をスナックにしているこの姿は、チャールズ・ナイト画伯の復元画に似ているかもしれません。エントランスホールのアロサウルスは生きたバロサウルスに襲いかかろうとするプレデターであるのに対し、こちらはわざわざ可食部が少ない尾を食べるスカンベンジャーチックでアンチテーゼになっているんだと思います。
捕食と腐肉食の両方をする肉食動物なんて珍しくないのでアロサウルスも普通に両方やっていたでしょうね。
頭骨もよりゴツく造られていて、よく見るアロサウルスとは少し印象が違いますよ。
あとこの二つの尾椎に病変があります。2つがくっついてます。原因はわからないですが複数の個体で見られる病変だそうで、老化と関連してるとか。
アロサウルス頭骨。
残りは次回!
それじゃ👋
“AMNH #6 カミナリ竜ホール” への3件のフィードバック