のんほいパーク #1 自然史スクエア

「差し支えなければこの件は報告させてもらうからな」や「差し支えなければあなたのお爺さんは食い倒れ太郎ですか?」など「差し支えなければ」を乱用・誤用するのが職場で流行ってます。差し支えなければケラトプスユウタです。

今回から差し支えなければ、7月7日にお邪魔しました愛知県豊橋市にございます動物園、植物園、自然史博物館、遊園地が同じ敷地内にあるゴージャスな複合施設「豊橋総合動植物公園」通称「のんほいパーク」をレポートしていきたく存じます。

のんほいパークの最寄駅はJR東海東海道本線『二川駅』です。『二川駅』から徒歩20分弱。

『二川駅』は新幹線も停まる『豊橋駅』から一駅です。

駅前のロータリーにこの獣脚類およびプテラノドンモチーフのオブジェがあります。二川がのんほいパークの特に自然史博物館推しという事がよく伺えます。

駅の近くの橋にこれがあります。かっこよさとかわいさを兼ね備えたトリケラの石像。

ステゴも。レトロですが好感が持てるデザイン。

のんほいパークの入園料は一般成人600円で、それだけで動物園も植物園も博物館も楽しめるというお得感のあるものとなっております。

じゃあ早速恐竜のいる自然博物館の方を見ていきましょう。

角竜 Ceratopsia プシッタコサウルス Psittacosaurus のアニマトロニクス。博物館に入ってすぐ左側にいます。

決まった時間になると卵が孵化する仕掛けがあり、意外にも人だかりができるほど人気があります。

早々に最も目立つ展示、トリケラトプス Triceratops ティラノサウルス Tyrannosaurus の王道対決セット。

それぞれの標本の周囲が通路になっていて360度の角度から拝むことができます。

トリケラトプスはこの前いわき市石炭・化石館編でも紹介したばかりのドイル(AMNH 5116 をメインにしたコンポジット)。(ちなみにキャプションでは MOR 5166 と誤記されてます)

イヌっぽく見えるのは前肢を肩からまっすぐ伸ばしているため。こんな風に組み立ててあるところはほかに知らないので逆に希少です。とはいえドイルの他のマウントも総じて最近の解釈とは違います。

ティラノサウルスのマウントはたまに紹介するワンケル(MOR 555)です。胴体の丸みが台無しになっていて薄っぺらく、正面から見るとご覧の通りかっこ悪いマウント。頭だけが異様に大きく見えます。

(ちなみにキャプションの学名表記が一部「ティラノサウルス類」ほどの意味の“Tyrannosaurs” となっていますが…たしかにティラノサウルス類なので間違いではない)

力強い後肢で獲物に迫り、鋭い牙と頑丈なアゴで肉を噛み切ったり骨を噛み砕いたりしていたんだそうですよ。

ちなみに、見ればわかりますが、ティラノサウルスの歯は厚みがあって肉食恐竜の中では比較的ナイフっぽくない方です。肉を切り裂くというより、強暴な力にさらされることを想定された構造とでも言うんですかね。

他の恐竜が写り込むという事がないのはポイントかもしれません。

すごく今更な説明をさせていただくと、トリケラトプスとティラノサウルスはフィクションの中では何度も死闘を繰り広げてきた宿命のライバルのような感じで描かれる事が多いですが、これはたまたま有名な恐竜同士をアーティストやクリエイターの都合で戦わせているというわけでもなく、実際に同時期同地域(白亜紀末北アメリカ)に生息し、同じ生態系に共存していた動物同士です。ティラノサウルスが生きたトリケラトプスを襲っていたという直接の証拠もあります。

個人的には、角竜類の角とフリルは本来は縄張り争いなどの仲間同士のケンカのためというのが第一の用途だと思っていますが、トリケラトプスはこれらの構造に捕食者、特にティラノサウルスから身を守るための機能も持たせていたように思います。ただ仲間同士押し合うのであれば角は横向きだったり瘤状でも良いわけですが、そのようなタイプの角を持ったケラトプス類は白亜紀末ティラノサウルスが出現した頃には地上から消え去っていました(相関関係があるとは言っていない)。トリケラトプスの目の上の角はコストに対してよりリーチが長く、捕食者に対する武器としてはその他の生え方より合理的に思えます。フリルに関しては角より更に示唆的で、ケラトプス類、特にカスモサウルス亜科 Chasmosaurinae はフリルが長かったり(骨では)穴が空いているのが基本形であるのに対し、トリケラトプスに限っては短く穴が塞がっています。これは、より苛烈な種内競争のためにライバルの角を弾き返す盾としての機能を強化したという事もありそうですが、他のケラトプス類においてティラノサウルス類に対する弱点となっていた脆いフリルを物理的に強化し、首を守る盾として発達させた可能性もあると思うんですよ(そういう意思が働いたという意味ではなく、そういった形質をもったケラトプス類が生き残りやすく、遺伝子プールがそっちに偏った結果トリケラトプスの形に行き着いたんですけども)。どうあれトリケラトプスのフリルが普通の角竜のフリルのような飾りではなく何らかの防御機能を持っていたのは間違いないと思います。

カモハシ竜やヨロイ竜のような他の恐竜や西部内陸海路のような環境を含めて考えるとより面白い妄想もできるのですが、長くて複雑になるのでまたの機会に。

差し支えなければ、今日はここまで!

つづく…!

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