裸でシャワーを浴びた事があります。ケラトプスユウタです。
ニューメキシコ自然史科学博物館レポート、今日からジュラ紀です。
初歩的な話ですが、中生代を三分した時の第二の地質年代であるジュラ紀は恐竜が大型化した時代です。ということで、当館の「サイズ的な意味での最大の展示物」は今日紹介するジュラ紀のホールにありました。
ディプロドクス・ハロルム Diplodocus hallorum とアロサウルス・マキシムス Allosaurus maximus の対決セット!
有名な話ですが、ディプロドクス・ハロルムは、以前はセイスモサウルス・ハロルム Seismosaurus hallorum と呼ばれていました。全長35mと推定された「セイスモサウルス」は史上最大級の陸生動物の一つとして知名度を誇り、2002年にはこれを目玉にした特別展「世界最大の恐竜博2002」が幕張メッセで開催されました。奇しくもその会場で行われていた「セイスモサウルス」の公開クリーニング中に事は起こりました。その時、後の恐竜くん: 田中真士さんの手によって仙椎のクリーニングが行われていました。セイスモサウルスの固有の特徴と言われていた仙椎…普通のディプロドクス類 Diplodocidae (というか恐竜類 Dinosauria)は仙椎が5つであるのに対し、セイスモサウルスは第3と4が癒合して4本になっているとされていました。これが実際はノジュールが挟まっていただけで、普通に5つある事が発覚し、「セイスモサウルス」の属としての有効性がなくなり、ディプロドクス属に含められることになったというところまでが「セイスモサウルス」を説明する上でのわたくしのお決まりのエピソードです。
追記1: 上記の「仙椎4本」はクリーニング未完了時の解釈との事で、セイスモサウルス記載時には既に却下されていたようです(ご教示くださった職人げるびらりあさんに感謝申し上げます)。
追記2: セイスモサウルス・ハロルムがディプロドクス属と改められた根拠となったのは、「坐骨の先がフック状ではなかった事」が主な決め手だそうです。坐骨の遠位端にノジュールがくっついていて化石の一部に見えたのだそう(参考文献)。
マウントは他のディプロドクス類で補完されているようです。血導弓はおそらくハロルム由来の同一物のレプリカを使いまわしています。
続いてアロサウルス・マキシムス。
この獣脚類 Theropod はサウロファガナクス・マキシムス Saurophaganax maximus としても知られていて、僕的にはジュラ紀の最後に出現したでかいアロサウルス程度の認識ですが、血導弓の形状に差があるとのこと。
下はお馴染みフラギリス A. fragilis の尾(過去記事から引用した画像)ですが、それぞれの標本を信じるとするならサウロファガナクスの血導弓は付け根側の太さが顕著で後方への曲がりが強いってとこですかね?
種差とは言えそうですが、別属派の人はこれが属を分ける違いだと主張されてるって事ですよね。
ちなみに「サウロファガナクス」も世界最大の恐竜博2002で展示されていました。
図鑑などには全長12mとしてある事が多いですかね。その長さならティラノサウルス級ですけども(なお厚みや高さでは圧倒的に劣る)。
サウロファガナクスの実骨由来のレプリカ。
上から骨盤および前方尾椎、大腿骨、脛骨および腓骨。
今日セイスモサウルスはジュニアシノニム、サウロファガナクスは疑問名ですが、具体的な数値はどうあれ近縁種と比べても巨大な動物だった事は確実であり、前者はモリソンの由緒正しきディプロドクスを最大級の陸生動物に格上げすることで地位向上に貢献し、後者は少なくともジュラ紀を代表する肉食恐竜の名門アロサウルス科 Allosauridae の最大サイズを押し上げるものとして華やかな存在であることは揺るぎないと思うケラトプスユウタであった。
続く…
“NMMNH #4 サウロファガナクスとセイスモサウルス” への1件のフィードバック