ニホンウナギの保全状況評価は絶滅危機(絶滅危惧ⅠB)。ケラトプスユウタです。
(かっこよすぎか!)(ツイッターのヘッダーにして良いですよ)
今日は前回の続き、「角竜の壁」の右半分、カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae の頭骨キャストを紹介します!
カスモサウルス・ベリ Chasmosaurus belli
ROM 843
カスモサウルス亜科の基盤的位置付け(最基盤ではない)。
100余念にわたり前線でカスモサウルス亜科の本質を定義づけ続けている存在…なんですけど、多くのカスモサウルス亜科と違い成長とともに目の上の角が頭部に吸収されるという、このタクサとしてはユニークな角竜です。
大きなフリルは非常にカスモサウルス亜科らしい。
コスモケラトプス・リカルドソニ Kosmoceratops richardsoni
UMNH VP 17000
フリルの後端のホーンレット(縁頭頂骨)が前側に折れてフリルの開口部を隠すような形になっています。ホーンレットが前側に曲がる属種は少数派ですが、コスモケラトプス以外にもヴァガケラトプス Vagaceratops、ウェンディケラトプス Wendiceratops、シノケラトプス Sinoceratops といった例があるのでコスモケラトプスだけが特異というわけでもなさそうです。ウェンディケラトプスは特に類縁が近そう。
この手の特徴に何らかの機能があったとか、理由があって獲得された形質であるとは限りませんが、もしかしたら角を使った仲間同士のケンカ(種内競争)の時に開口部が弱点になるため、ホーンレットで塞いだと考えてもおもしろいかもしれません。
コスモケラトプスは目の上の角の先が横に向いていて、鼻角はやや扁平な瘤状になっているのでどのみち相手の顔に刺さりそうではないのですが、それがまた面白いです!!
コアフイラケラトプス・マグナクエルナ Coahuilaceratops magnacuerna
CPC 276
メキシコから報告された最初の角竜で、現在のところ唯一のカスモサウルス亜科。既知の中で最も長い上眼窩角をもつことで名高いですが、発見されている頭骨は完全じゃないので正確な復元頭骨ではないでしょう。このキャストはフリルを(フリルの長い)ペンタケラトプス Pentaceratops に似せてるせいか、チャームポイントの角の長さが目立ちません。
アンキケラトプス・オルナトゥス Anchiceratops ornatus
NMC 8535 (元“アンキケラトプス・ロンギストリス” “Anchiceratops longistris“)
はっきりとギザギザしたホーンレットと長い上眼窩角がかっこいい標本。完全な頭骨由来のキャストで、アーティファクトで盛られているというわけではないらしいです。
この顔を見てあなたが安心感を覚えるのは、カスモサウルス亜科に求められる全てを NMC 8535 が備えているからでしょう。
トリケラトプス・ホリドゥス Triceratops horridus
TCM 2001.93.1 またの名を ケルシー Kelsey
よりによってケルシー…。ケルシーは頭骨の保存が良く、顎の関節、鼻腔周辺なんかがきれいに残っているのですが、変形で左右に潰れているのでトリケラトプスの中ではブスだいぶかっこよくないほう!(しかもなまじ高い位置に展示されているせいで先述のディテールも観察しづらい)
日本でも特別展などで目にする機会が多い標本です。椎骨の大部分や後肢要素も知られている標本で、組立骨格も作られているので、ケチはつけましたが良いトリケラです。
トリケラトプスはカスモサウルス亜科の進化を極めしトリケラトプス族 Triceratopsini を更に極めた属で、トリケラトプスは近縁なトロサウルス Torosaurus と共にケラトプス類の最も派生的位置付けです。生息年代も一番新しく、恐竜時代の最後の最後(6600万年前)まで生きていました(種の単位だとトリケラトプス・プロルスス T. Prorsus の方がホリドゥスよりも派生的)。
ケラトプス類の歴史はこれで終わりです。角竜の壁を紹介できて光栄でした。
トリケラトプスの導きとスコット・サンプソン博士らの努力に厚く感謝申し上げます。
参考文献
Dodson, Peter & Britt, Brooks & Carpenter, Kenneth & Forster, Catherine A. & Gillette, David D. & Norell, Mark A. & Olshevsky, George & Parrish, J. Michael & Weishampel, David B. The Age of Dinosaurs. Publications International