北アメリカ古生物博物館 #10 白亜紀のビッグスリー

北アメリカ古生物博物館の展示物紹介をはじめてもう10回目なんですね。そして今回がおそらくハイライトになるでしょう。ケラトプスユウタです。

さて! アベンジャーズのビッグスリーはキャプテン・アメリカ、アイアンマン、ソーの3人ですが、白亜紀のビッグスリーとはなんでしょうね?!

当ブログは名前でわかるとおり恐竜を扱っていて、僕は恐竜を想定しているので「動物、植物、菌」とかいう答えは受け付けかねますが🤓(それだと白亜紀に絞った意味もわからないし)

トリケラオヤジの言葉を借りれば「生物に優劣はなく、優れていると思われている生物と劣っていると思われている生物がいる」ということなので、答えは誰かが決めることではないですね。

ところで1998年のホワイトホーナー博士ら(2019/5/13 ヒロくんの指摘を受け訂正)の論文によると、ヘルクリーク層 Hell Creek Formation (白亜紀後期マーストリヒト階)で発見される恐竜化石で一番多いのがトリケラトプス Triceratops (40%)、次がティラノサウルス Tyrannosaurus (25%)、その次がエドモント サウルス Edmontosaurus (20%)とのことです(参考画像)(追記:参考資料)。追記:ただしこの論文ではMOR所蔵の標本についてしか考えておらずエドモントサウルスのボーンベッドなどの情報が加味されてなく相対的にティラノサウルスの割合が水増しされてるとも取れるのであまり良くありません。

また論文の中での“トリケラトプス”にはトロサウルス Torosaurus も含まれている可能性があるかもしれません。だとしてもトロサウルスの標本数は知れてるので、それを考慮してもしなくてもトリケラトプスの1位は変わらないでしょうが。

その3種類の恐竜は、それぞれの系統、ケラトプス類、ティラノサウルス類、ハドロサウルス類の最も派生的位置付け、つまり進化の頂点にあたる存在でもあります。

なおかつ恐竜全体で見ても相当に強大な部類ですよね?? 膂力的に。古生物において膂力とかくだらないと思われるかもしれませんが、ケラトプスユウタの法則では「想像される膂力」というのはその恐竜の経済界への影響力を左右する重要な要素の一つです。

そんなことを鑑みて、僕の中ではトリケラトプス、ティラノサウルス、エドモントサウルスが白亜紀のビッグスリーとなっています僕の中では(僕の中では)。(アンキロサウルスには申し訳ない)

そうです。この博物館ではちょうどそのビッグスリーがまとめて展示されていたので、まとめて紹介します。

なんと贅沢にも、そしてなぜか、Tレックスのスタン BHI 3033 と思われる標本が2体。

しかも向かい合って片方はエドモントサウルスを踏みつけ、片方は体を持ち上げ、獲物を奪い合うかのようなポージング。スタンにとっては自分との戦いですね🤓

餌食にされたエドモントサウルスはわりと小さい個体。

仲間が犠牲になっているうちに逃げる親子。

なんか解説した方がいいですかね。

このエドモントサウルス・アンネクテンス E. annectens はレガリス E. regalis よりも新しい種で、レガリスの漸次進化の産物と思われます。アンネクテンスの方が頭が長く低く、ゴツくなくなっているとされています(参考文献)。

最大にして最後の角竜トリケラトプス・プロルスス T. prorsus 登場!

トリーボルド・パレオントロジー社製の群馬県立自然史博物館のプロルスス、ガンディー Gundy のレプリカらしいです(群馬のガンディーとは違う形で復元されているので見た目の印象が違います)。

頭を下げたポーズは好物なのですが…

…横から見ると鼻筋が露骨にまっすぐに造られていてオモチャにありそうな珍妙な造形。実はさほど頭を下げた姿勢でもないのに吻が下がっているせいでそう見えるんですね。

上腕骨も肩甲骨から脱臼しているように見えます。

前肢の姿勢も指先を無理やり前に向けているのでおかしいですが、肘がまっすぐでも横に張り出してもない分世の中の他のマウントよりはマシですかね。

肋骨は変形してまっすぐになってるんですかね。

(なんか好きな恐竜なのにダメ出しばかりになってしまった。母さん許してくれ😢)

ビッグスリー以外も紹介しますね。

パルクソサウルス類 Parksosauridae テスケロサウルス・ネグレクトゥス Thescerosaurus neglectus はヘルクリーク層のエドモントサウルスに次ぐ標本数(8%)を誇る恐竜で、最後の恐竜の候補です。

当ブログではすでにおなじみダチョウ恐竜 オルニトミムス Ornithomimus

ヘルクリークでよく見つかる恐竜 ナンバー5 (5%)。

追記:間久部 緑郎さんによるとディノプレスにはストルティオミムス Struthiomimus として記載とのこと。ただしストルティオミムスはどの種もオルニトミムスとの差が曖昧である模様です(らえらぷすさんのブログに詳しい)。

結局発見されてる標本数についてのみ言えば「ビッグファイブ」を紹介したことになりました。サンクスギビングポイント北アメリカ古生物博物館(長い)に感謝いたします。

よろしければみなさんの思うビッグスリーを教えてください。

それじゃ👋


謝辞

ヒロくんの情報提供にお礼申し上げます。


(エンドロール後のオマケシーン)

なんで照明が紫色なんだ?

Ceratops Yuta will be back…