オービィ横浜 恐竜ハンターキャンプ

いつの特別展のレポート書いてんだよと呆れているそこのあなた! 2018年4月10日ですよ! ケラトプスユウタです!

ほぼ1年前ですね。

(過去の特別展の記事が見たい人も絶対いるんだ。そういう意味では2001年の勝山の「恐竜エキスポ」とか2002年の「世界最大の恐竜博」とか2003年の「ジュラシック・パーク・インスティチュート・ツアー」とか2004年の「驚異の大恐竜博 2004」とか2005年の「恐竜博2005」とか2006年の「世界の巨大恐竜博」とか2007年の「アジア発・世界最新・恐竜大陸」とか2008年の「恐竜大陸」とか2009年の「恐竜2009 砂漠の奇跡」とか「大恐竜展 知られざる南半球の覇者」とか2010年の「地球最古の恐竜展」とか2011年の「恐竜博2011」とか2012年の「恐竜王国2012」とか2013年の「大恐竜博 ゴビ砂漠の脅威」とか2014年の「トリケラトプス展 恐竜戦国時代の覇者」とか2015年の「メガ恐竜展」とか2016年の「恐竜博2016」etc…のレポートをしたって良いんだ)(写真が生しかないのが多い)

今日は、神奈川県横浜市にある横浜オービィという屋内の半動物園的施設で去年の春に開催された「恐竜ハンターキャンプ」という企画展のレポートをします。

横浜オービィへのアクセスはこちらの公式サイトをご覧ください。

まずはココロ社製ティラノサウルス Tyrannosaurus がキッズを呼び込むと。

操作盤で客が動きをコントロールできるようになってました。

そうそう、当企画展の趣旨は恐竜の研究史の上で活躍した偉人的な研究者や化石ハンターたちにスポットライトを当てるという斬新なものでして、アメリカの恐竜研究を爆発的に促進させた骨戦争 Bone war のエドワード・コープとオスニエル・マーシュ、恐竜化石黄金時代のバーナム・ブラウン、チャールズ・スタンバーグ、それから当時のニューヨーク自然史博物館館長ヘンリー・オズボーン、通称ドラゴンハンター=ロイ・アンドリュースらがフィーチャーされてました。

それじゃ、その趣旨に沿って展示物を紹介していっちゃいたいたく思います。

まずはコープの記載した恐竜たち。

なんかしょっちゅう紹介している気がしますが、カマラサウルス Camarasaurus

この身近さが好きです。特徴ある丸顔も好きです。

コエロフィシス Coelophysis

比較する物が写っていないので申し訳ないのですが、コエロフィシスにしてはかなり大きく見えます。もしかすると別属として知られていたやつかもしれません。

コープはツイッター上でしばしばネタにされている事は差し引いても好きな研究者です。骨の特徴やイメージに因んだ学名をつけてらっしゃるあたり、気が合いそうです。

コエロフィシス:中空の尾

カマラサウルス・スプレムス C. spremus: 至高の、空洞のあるトカゲ

モノクロニウス Monoclonius :一本の幹

アガタウマス・シルヴェストリスAgathaumas sylvestris : 森に住む、驚くべき奇跡

ポリオナクス・モルトゥアリウス Polyonax mortuarius : 死者の、多くを統べる者

エパンテリアス・アンプレクスス Epanterias amplexus : 抱き、支える者

アンフィコエリアス・フラギリムス Amphicoelias fragilimus : 壊れやすい、両凹の脊椎

…極力言及したくない学名が多いですが(疑問名的な意味と中二病的な意味で)笑

続いてコープの永遠のライバル(両者競うように恐竜記載合戦をしていたらしい)、マーシュの代表的な記載恐竜。

マーシュも好きな研究者です。噂に聞く限りのマナーの悪さが良いですね。

アロサウルス Allosaurus (奇妙なトカゲ、特別なトカゲ)

ディプロドクス Diplodocus (二つの梁)

ステゴサウルス Stegosaurus (屋根のあるトカゲ)

モリソン層を代表する動物たちでもありますね。

他にもトリケラトプス Triceratops (三本角の顔)、トロサウルス Torosaurus(刺し貫くトカゲ)、アパトサウルス Apatosaurus(惑わすトカゲ)、ブロントサウルス Brontosaurus (雷トカゲ) なんかもマーシュの記載です。なんだかんだこうして見ると命名のセンスはコープと大差ないですな…。(急に名前の意味を書きだしたのはこれを言うため)

記載した恐竜の数はマーシュが圧倒してますし、ネームバリューの面でもマーシュの恐竜の方がどう考えても優っていますが、コープはコープで化石魚類や現生動物の研究でも活躍していたのでね!

ブラウンを最強の化石ハンターにした恐竜。オズボーンを最強の記載者にした(そんなことはない)恐竜。

ティラノサウルス 頭骨。

ティラノサウルスの左足。アークトメタターサル構造をどうしても見せたいらしいですな。過去の記事でも説明したような気もしますが、アークトメタターサル構造は、左右の中足骨(足首の下の骨)の近位端で真ん中の中足骨を挟み潰したような構造でして、より速く走るための進化の賜物と言われています。

チョコレートっぽいウォールマウント。スタン BHI 3033 だよね?

こいつも最近よくブログに出してますが、ヴェロキラプトル Velociraptor

これもオズボーンが記載した恐竜。

このようなダイナミックな組立骨格は好きです。

今回の特別展の目玉の一つ!

ユタラプトル Utahraptor 新復元の組立骨格

記載者はジム・カークランド博士やガストンデザイン社のロバート・ガストン社長ら。

下顎の先の歯が前を向いているのは変形が修正されてないだけ。

あとほかの多くのドロマエオサウルス類 Dromaeosauridae のように尾が横突起や血導弓などで強化された棒状になっていない柔軟なつくりに見えるのが地味に気になります。

旧復元👇とはかなり違ってがっしりとしていて俊敏そうには見えませんな。

👆これは東ユタ大学の所蔵品。

さらにユタラプトルと並ぶ目玉展示がこちら。

スピクリペウス・シッポルム

Spyclipeus shipporum

CMN 57081 またの名をジュディス Judith

ご覧の通り、前方にカールした(第1と第2)縁頭頂骨と斜め横に伸びた上眼窩角の組み合わせがユニークなケラトプス類 Ceratopsidae。

この恐竜も命名に関して少し複雑なんですけどおもしろい経緯があるので紹介します。

スピクリペウスはモンタナ州のジュディスリバー層(白亜紀後期カンパニアン)産で、同じ層からは1888年にケラトプス・モンタヌス Ceratops montanus というケラトプス類が報告されています。

ケラトプスはマーシュによって始めて記載されました。当時、角竜 Ceratopsia の存在は未知だったのでステゴサウルスと同じ“剣竜”に分類されていました。ホロタイプは頭頂骨と単離下上眼窩角だけでした。

その後、モノクロニウスやトリケラトプスが知られるようになり、角竜下目とケラトプス科を設立するにあたって(名前で察しがつくとおり)、その名付け元となりました。

ところが頭頂骨と角だけでは独自性が担保できないって事で、ケラトプスは疑問名となりました。

時は流れ2000年にジュディスが発見された時、古生物学者ジョーダン・マロン博士はこれがケラトプスと確信しました。そしてケラトプスの追加標本になるのではないかと一瞬(かどうかはわかりませんが)考えました。

ケラトプスの名が図鑑に復活するのではないか? そんなウワサも記憶に新しいです。

けれどもやっぱしケラトプスはジュディスと同一種かどうかが議論できるほどの情報をもった標本がないので、しょうがないから新属新種として記載することにしました。それがスピクリペウス・シッポルムというわけです。

そして晴れてケラトプスは疑問名のまま。

また、二つのフリルの断片だけで知られるペンタケラトプス・アクイロニウス Pentaceratops aquiloniusも同種ではないかと思われています。そうでないとしても個人的にアクイロニウスはペンタケラトプス属ではないと思ってます(まあ展示と関係ないからいいか、ここでは)。

参考文献(スピクリペウス記載論文)

映り込みが大変ですが、ティラノサウルス ゴルゴサウルス Gorgosaurus 頭骨。さっきの(ティラノサウルス)と違う標本です(亜科レベルで違う)。

脳腫瘍に関する研究がされている標本だそうです。

ヒロくんご指摘ありがとうございました。

ゴルゴサウルスは化石ハンター一家のスタンバーグファミリーの長男、チャールズ・モートラム・スタンバーグが発見した恐竜という事でここで取り扱われたんでしょうね。

記載者はローレンス・ランベ博士。

プシッタコサウルス Psittacosaurus

オズボーンの記載した基盤的角竜。

あ、まだオズボーンとブラウンのコーナー途中だったんですね。

色と模様に関するキャプションがあったのでご査収ください。

サウロロフス・オスボルニ Saurolophus osborni

ブラウンがボスであるオズボーンに献名して命名したんですね。

圧縮により口先が過剰にダックビルされています(というパワーワード)。復元教室の復習だぁ。

パキケファロサウルス Pachycephalosaurus

こちらもブラウン(ら)による記載。堅頭竜 Pachycephalosauria 。

眼窩が縦長のせいでひょうきんに見える標本ですな。もしかしてニックネームありますか?

バーナム・ブラウンはすごいんですよ。ニューヨーク自然史博物館のために世界中で恐竜のみならず科学的に価値のある物を探す旅をしていた人で、もちろんティラノサウルスを発見し、上記のメジャーな恐竜たちを記載したのが最大の功績ですが、二度の世界大戦ではその叡智を買われて参謀として従軍、さらに遠征のついでに石油会社スパイとして働き小遣い稼ぎをしていたそうです。映画が一本は撮れそうなドラマチックな人生を送ったみたいです。なお彼の伝記は自伝と奥さんが書いた物が存在します。

国立科学博物館に抱卵するキティパティ Citipati が展示されていますが、その産状。

おそらくゴビ砂漠探検で有名なアンドリュースゆかりの恐竜として。当時は近縁のオヴィラプトル Oviraotor として知られていた動物のはず。

キティパティの記載者はリンチェン・バルスボルドらです。

キティパティのものと思われるエンブリオ(胚)入りの卵化石。

これもゴビ砂漠の恐竜。ミノタウラサウルス Minotaurasaurus

(タルキア Tarchia のシノニム説あり)

後頭部の上側の角だけ細いのが特徴のアンキロサウルス類 Ankylosauridae。

トリケラトプスのレイモンド NSM_PV 20379 (当然レプリカ)が砂場で埋もれとりました。発掘ごっこが体験できるやつです。

実は子供向けのクイズラリーやりましたよ。だって入場の時に手渡されたんだもん。無碍にはできまい?

「認定されるまでもねえがな😏」と言ったのは僕です。ちなみにスタンプはセルフサービスでした(つまりクイズラリーやらなくても認定されることが可能)。

展示物紹介は以上!

きりがいいので終わりますが、せっかくなので明日はオービィの動物たちを紹介します。

つづく…