Fukui の初音は英語圏では F**k Y** に聞こえるらしい(実際カナダで聞き間違えられたことあるけど僕の発音の問題かも)。ケラトプスユウタです。
フクイラプトル Fukuiraptor
福岡の疑問名ワキノサウルス Wakinosaurus を除けば日本産で初めて学名が与えられた恐竜にして、初めて組立骨格が作られた恐竜。
とはいえ大部分はメトリアカントサウルス類 Metriacanthosauridae のシンラプトル Sinraptor を参考にしたアーティファクトなので、現在メガラプトラ Megaraptora と言われているフクイラプトルの妥当な復元にはほど遠いと言えます。
山本聖士さん曰く、具体的にはもっと顔が細長く後肢が長く、前肢の発達具合を除いてメガラプトルに似せるべきとのこと。
フクイサウルス Fukuisaurus
大部分がアーティファクトの復元骨格
日本産で初めて命名された鳥盤類 Ornithischia で基盤的ハドロサウルス系類 Hadrosauromorpha の位置付け。
フクイティタン Fukuititan
なんか説明文の画像がフォルダに入っていたのでご査収ください↓
フクイヴェナトル Fukuivenator
発見された化石の完全性の高さ(関節したものはないけどパーツが揃ってる)からか、僕がツイッターで行なった選挙で、ムカワリュウ、ニッポノサウルス、フクイサウルス、フクイラプトル、タンバティタニスを押しのけて日本の国竜に選ばれた動物。(僕はムカワリュウを推していましたが)
当初はドロマエオサウルス類 Dromaeosauridae という報告でしたが、現在ではドロマエオサウルス類と似ているのは収斂進化(似た生き方をしていた結果、別々の系統の生き物同士の形質が似ること)によるものと言われているらしく、マニラプトラ Maniraptora の基盤的位置付けと考えられています。
それと前上顎骨のしゃもじ型の歯、鋸歯のない湾曲した歯、頸椎の伸長が起こっているなどのユニークな特徴があり、植物食か雑食とも言われている変わり者です(参考文献)。
コシサウルス Koshisaurus
福井産で「フクイ」がつかない学名が与えられた恐竜第一号。福井の鳥脚類としてはフクイサウルスに次ぐ2号で、ハドロサウルス上科 Hadrosauroidea の基盤的位置付け(参考文献)。
らえらぷすさん曰く、歯がふつうの鳥脚類の“下ろし金型”に向かう進化ではなく、角竜類のような“裁断機型”のそれに向かう進化をしつつあるとのことで、フクイサウルスとは食べ分けを行なっていたっぽいです。白亜紀後期ごろまでこの系統が生き延びていたら角竜に変わるニッチを獲得していたかもしれないということだろうか?!
ちなみに「コシ」とは福井県の昔の呼び名「越」のことだそうです。
いつも思いますけど日本の恐竜は名付け元になるほど目立つ特徴がないものが多いせいなのか、恐竜を地域起こしに利用する戦略の一環なのか、その両方なのか、はたまたどっちでもないのか、必ず地名がつきますね。
フクイヴェナトルなんかは骨に珍しい特徴があるのでそれにちなんでも良かったと思うんですが(ムカワリュウがその手の安直な学名にならない事を願います)。
手取層の恐竜はここまで。今後の発見にも期待しております。
古生代ペルム紀の植物食動物、パレイアサウルス Pareiasaurus
ジュラ紀の魚竜 イクティオサウルス Ichthyosaurus の頭骨。
白亜紀の海の爬虫類 エラスモサウルスElasmosaurus (首が長いほう)とアルケロン Archelon(ウミガメ)
新生代第三紀のシカ、オオツノシカ Megaloceros giganteus
ご存知 ケナガマンモス Mammuthus primigenius
新生代第三紀の奇抜な骨質の角をもつ怪獣 ウィンタテリウム Uintatherium
新生代古生物の有名どころを揃えた感じですね。
メインの展示区画とは外れた場所(通路)にあるテリジノサウルス Therizinosaurus の手根骨から先。
最後にお土産とかグッズとかそれ系をご紹介。
企画展「獣脚類 鳥に進化した恐竜たち」に因んだ館内のレストラン「クレタ」の商品。
獣脚類とカルビを組み合わせて「獣キャルビ」という強引さに感心して思わず撮ってしまいました。個人的にはダジャレじゃなくて鳥類が獣脚類の子孫であることに因んで鶏肉料理にすべきだったと思ったんですけどね…🤓
ガチャピンが剣竜であることをFPDMが認めた証拠となるタオル。
ジュラーメンなるインスタントラーメン。
白亜紀のティラノではなくちゃんとジュラ紀のトルヴォを起用するとはどういう人間なんだ していて偉いですね。
コカコーラの福井県限定デザイン。
デフォルメされたフクイラプトルの復元骨格をモチーフにしたと見えます。
特別展関連のトートバッグ。
ケレンケンが獣脚類に含まれてるところに独自性を感じます。
タクサも良い感じで分布してて美しいと思います。
これ買いました。
真鳥類といっしょに電線にとまる非鳥類型獣脚類の描かれたTシャツ。
というわけで福井県立恐竜博物館のレポートは終わりです。言い忘れてましたが、福井県立恐竜博物館はロイヤル・ティレル古生物学博物館と同じく世界三大恐竜博物館の一つで日本最大の古生物系博物館です。展示されている標本数はその呼び声に相応しいもので、毎年欠かさず面白い特別展が開催されたり、手取層のみならずアジア諸国の古生物学の知見を深めたりするなど、恐竜化石に乏しい日本では現状望み得る限り最高の施設になっていると思います。この三日間で敢えて紹介していない標本や紹介できなかった標本もまだまだたくさんありますし、行かれた事のない方はぜひ足を運ばれる事を推奨します。アクセスが悪いと言う方もいるかと思いますが、外国の施設に行くことを考えれば感謝すべき近さですよほんとに。
完