違うんですよ。ツイッターだと文字数制限があって刻むのがめんどくさいし、シソさんのように4ページ分の画像にまとめるのも難しそうなので、当ブログの管理者であるケラトプスユウタさんにお願いして間借りという形で山本聖士さんの教室復元教室のレポートをやってしまおうという事なんですよ。ケラトプスユウタです。
これは言わば号外なので、これと別に毎日の記事も後でアップします。
知らない人のために説明すると、教室復元教室というのは古生物画家の山本聖士さんが毎月2回日曜日に浅草で開催している教室でして、毎回違ったテーマ(大体は特定の恐竜の属か少し広いタクサ)でその動物のパーツごとの特徴や復元の仕方、やってはいけないこと、許容されることなんかを学ぶことができる場です。
1月20日は特定の恐竜ではなく色々な恐竜の筋肉についてでした。
【頭】
(遅刻したので途中から)
いずれも今の生き物から推測される筋肉。
野生動物はボディービルダーのような異常な筋肉には普通ならない。
①ティラノサウルス
恐鳥はよく発達した筋肉が口開けた時に見えたかも。
咬筋の上の方の付着点は、特に口を閉じた時に盛り上がって見える。
唇の筋肉をつけるとしたら歯列の上に一つ。
顎を開けるための筋肉が下顎の後ろの突起と鱗状骨の後方の間(耳の後ろ)に通っている。
幼体は頭頂部のくぼみが大きくない。
首の付け根の構造は、基本的に食性に左右されない。
②トリケラトプス
トリケラトプスの側頭窓の咬筋は目立たなかった。
咬筋が頰のような構造を作っていたかもしれない。その構造だと食んだエサが溢れて口の中にたまる心配はなさそう(咬合面と膜の間にたまらない)。
咬筋は下顎の関節突起から伸びていたかもしれない。
いずれも仮定に過ぎず断言はできない。
【首】
首の筋肉はすーごい複雑。
頸椎同士を繋いでいる短筋がたくさんある。
喉の筋肉も生物によっていろいろあるので一概に断言するのは難しい。
①ティラノサウルス
ティラノサウルスは喉が相当膨らむはず。
頭骨後方も可動性があった。
普段は縮めていて、ひだみたいに見えた。膨らますと伸びる。という構造だったのかも。
アクロカントサウルスとかの首の筋肉は痩せていたかも。
ティラノサウルスの首の筋肉は太い。
②ブラキオサウルス
あまり知られていないが、竜脚類はものすごく長い首を持っている。
そういう首はマッシヴな筋肉がついていると重みで支えられなくなるので、恐らく痩せていたと思われる。
靭帯で支えている場合、筋肉は全体的に細いものになる。かといって靭帯だけで支えるというようなことはない。強靭過ぎる靭帯だと逆に骨が折れる。
竜脚類も咀嚼をしないので喉を膨らませるやつだったと思われる。
カメの喉が参考にしやすい。
部分的に骨の形が見える首だったかも。
痩せさせ方は描き手の好みによる。
とりあえず太い首ではない。
③トリケラトプス
トリケラは首の筋肉の付着面が大きい。
シロサイは首に太い靭帯を持っており、頭を下げた時に目立つので、トリケラもそのような靭帯をもっていたとしてもおかしくはない。
見かけ状フリルに見えるところの裏側にも筋肉付着部があるが、縁側にはない。
トリケラトプスにはフリルの開口部がないからアレだけど、ケラトプス類はフリル裏側の開口部のすぐ手前に首の筋肉の付着部があるらしい(窓の大きいカスモと小さいカスモではどえらい差になるが…?)
開口部にあたる部分は生体ではコラーゲンがふわっとついていたのではなかろうか。
【腕】
①ティラノサウルス
Tレックスの腕の長さはヒトと同じくらい。10m以上もあるような動物の腕がヒトと同じくらいってんだから、当然身体との相対的にはかなり貧弱と言える。特に下腕が貧弱。
獣脚類は基本的に腕が体に対して小さいのだが、ティラノサウルスほど貧弱なのは珍しい。退化傾向にあったのは間違いない。
アロサウルスはまだしっかりしてる方(上腕が強く曲がっているので筋肉の量が稼げている)第1指の鉤爪がしっかりしているので、獲物に食らいつく時に掴むような、使い道はあっただろう。もちろん口の方が先に届くし大きいのでメインの武器は口だけどね♪
②ブラキオ(ギラッファティタン)
竜脚類の四肢は基本的にはまっすぐ。
大型の動物は足を柱として機能させるために足がまっすぐになりやすい。ゾウ類もそう。
最大の哺乳類と言われるパラケラテリウムのはまっすぐでもないが、彼らは最大のゾウよりも体重は軽いと思われる。
大型竜脚類ほど重くないハドロサウルス類やティラノサウルス類は走れる脚の構造を残している(膝が曲がっている)
まっすぐなので筋肉の付着部が少ない。胸部は足を動かすためにそれなりに付着面がある。四肢動物は胸筋が重要になる。ただしステゴサウルス類は胸骨が見つかっていないので軟骨でまかなっていたと思われる。
ティタノサウルス類は肘がしらが発達している。
前足と後ろ足の筋肉量の差がなくなりつつある。
手首は曲がらなかったので体重が軽い子供でもギャロップはできなかった。指の配置(円を描くような配置)的に、特に前には曲げられない。
③トリケラトプス
三角稜筋がかなり発達。
肘ガシラもかなり発達。
上腕骨は半分くらい筋肉に埋もれる。
胸骨も大きく胸筋もかなり発達。
トリケラの前半身は筋肉まみれで恐ろしいんだわかったか!
肩甲骨が動かないと仮定すると、上腕骨はそんなに前方に曲がらない。(多分肩甲骨は動く)
角竜は叉骨がないので肩甲骨の可動範囲は広い方であると思われる。
④その他
鳥に近縁な恐竜の腕は半ば鳥だが、ミクロラプトもアンキオルニスも羽ばたき飛行はしない。
アルヴァレスサウルス類の腕は短いけど強い。指先までパワーを伝えられそうな構造。樹皮をはがすのに使ったのかもしれない。穴を掘るには短か過ぎるので、穴を掘るなら後肢を使うのが自然。
アルヴァレスサウルス類の前肢は全体的に羽毛に覆われていた可能性もある。
獣脚類は二足歩行のバランスを崩すほどに前肢を巨大化させるわけにはいかない。
【胴体】
①ティラノサウルス
前方胴椎は半ば首として機能。後方はほとんど動かない。(力を最大限まで伝えるために自転車のフレームように機能すると読んだことある)
獣脚類の胴体の筋肉はそんなに強くない。背筋に相当する筋肉(以下背筋)はほかの筋肉よりは強いが、靭帯のはたらきもあるので言うてな(・∀・)9
背骨のアウトラインは見えただろう。
腹肋骨があるので胴体にかけて伸びる筋肉は背筋に次いで目立ったかもしれないが、パワフルなものではない。
うっすらと肋骨が見えていた方がラシイ。
②ブラキオ
腹は筋肉というより内臓の関係でビール腹のように出っ張っていた。肋骨はそんなに目立たないだろう。
③トリケラトプス
トリケラは胴体が短い。見えている筋肉群はほかの恐竜と似たようなもの。
【脚】
恐竜の腓腹筋はヒトのように分かれてなくて、単一の筋肉である。
①ティラノサウルス
獣脚類の脚はそのまま鳥を参考にできる。
鳥は尾を失っているので重心が非鳥類型獣脚類よりも前方よりになっている。
尾大腿骨筋という筋肉を後方に振るための筋肉があり、それが尾の中におさまる。
脚の外形を形作っているのはインナーマッスルだぞ。
大腿骨の内側から発達している大きな筋肉も大腿骨を形作るのに関わっている。
腸骨の大部分から短い筋肉が覆っている。側面図の外形からはまったく見えないが、前後方向から見た時の腿の輪郭を形作っている。
恥骨から伸びる筋肉があるせいで、垂直より後方には引かれない。
後方に引く筋肉の方が厚みがある。
腿の尾側のアウトラインをはっきり描く人が多いが、その部分の段差はあまり目立たなかったかもしれない。
ヒラメ筋の上に腓腹筋がある。
恐竜の場合、ヒラメ筋は腓腹筋に覆われていてほぼ見えない。
②ブラキオ
竜脚類の後肢は細い筋肉。腸骨前方が伸びているのは、胴体を支える役割。
側方に広がっているので、でかい大腿筋が付いていたことを示唆している訳ではない。
一箇所だけ見てその部分の筋肉が大きかったかどうかを論じることはできない。
基点が大きくてもそれに繋がると想定される終点が小さかったら、終点が間違っているってことなので、別の理由を考えなければならない。
③トリケラトプス
膝下が短く、足が速そうな構造はしていないが、筋肉はよく発達。
足の速さと足の筋肉量は相関しない。
第四転子が小さく、尾大腿骨筋はあまり発達していない。
④その他
鳥は脚の可動範囲が制限されている。
二足歩行で水平方向に動くためには長い尾があった方が有利だが、鳥は飛翔のためにそれを捨てた。
尾が短いタイプの獣脚類は水平姿勢ではなかった(カウディプテリクス)、あるいは四足歩行になっていたか(エピデクシプテリクス)。
堅頭竜類は二足歩行の鳥盤類としては例外的に腰幅が広い。
第四転子が発達。
腰幅が広がったのに合わせて、尾の横突起が横に伸長している。そうなっていなかった場合、後肢を斜めうしろに引くことになり、まっすぐ歩行するために身体を振らなければならなくなるので効率が悪いっぽい。
横突起の伸長は内臓のスペースを拡張しているという説もあるが、両方かもしれませんな。
【尾】
血導弓よりも下にも筋肉がつくので、血導弓の下端は尾のアウトラインを示してないかもしれない。
肛門は今の生物を参考にしましょう。
生体では幅よりも高さのある尾。
尾のパワーは尾大腿骨筋に依存しない。まったく関係ない訳ではないがメインの筋肉ではない。
第四転子の位置が高い=短距離ランナー
低い=長距離ランナー
トリケラトプスなど四足歩行の恐竜では第四転子が小さくなる。ステゴに至っては第四転子がない。