御船町恐竜博物館 #1 ヨシズトライクを喚んだ。総てを焉らせる為に。

最初に言っておきますが何も終わりはしません。ケラトプスユウタです。

化石ハンター宇都宮聡さんがまた発見されたそうですね。和歌山でスピノサウルス類 Spinosauridae 。すごいですね。

さて、当ブログを楽しみにしてくださっている方の中には、特に海外の恐竜博物館の記事を望まれている方もいらっしゃる事と想像します。

もちろん日本語で書いている事からわかるとおりブログのターゲットは日本人ですので、当然海外の博物館の方が物珍しさから需要が高いのは当然ですし、大量に恐竜化石を産出しているフィールドに近い博物館や古くからしっかりした調査を仕切って来た博物館の方が魅力的ですし、僕が読者でもそう思います。

けれども国内の博物館にだって見るべきところはあると思います。国内とはいえ住んでいる地域からアクセスが悪ければなかなか行く機会もないでしょう。

というわけで、今日は日本の恐竜博物館の一つをご紹介。

目指したのは、熊本市御船町にある御船町恐竜博物館です。

2017年11月19日、当時神奈川県に住んでいたのですが何を血迷ったかレンタカーで熊本へ向かいました。

静岡県内を通る陸橋。

昼休憩のために寄った京都府内の交差点。

広島かどっかのパーキングエリアにあった木彫りのティラノ。

片道20時間かかりましたよ。ええ、ええ、ええ。

日付は変わって11月20日。

博物館の近くの交差点にはカルカロドントサウルス Carcharodontosaurus の生体復元模型。

博物館の前に立つティラノサウルス Tyrannosaurus 生体復元模型。ツイッターで御船町恐竜博物館をフォローしてるとたまにタイムライン上に出てきます。

ちなみにここへ来るのは3回目。1回目はいつぞやのリニューアルより前(2013年5月)で、剣道場か何かを改装したような建物ですごく簡素な感じで展示も少なかったですが、日本ではあまりお目にかからないカスモサウルス・ベリ Chasmosaurus belli ROM 843 がいました(今もこの博物館の楽屋で遊んでます)。

2回目は大恐竜展(タルボサウルス、サウロロフス、テリジノサウルス、デイノケイルスなんかが来たやつ)の巡回展(と言ってもかはくの後はここだけ?)をやっていた時で、2014年9月だったと思います。ということで3年2ヶ月ぶりでした。

まずは厳かな感じで展示されてるミフネリュウの歯。ミフネリュウは町内で発見された獣脚類。

御船層群では恐竜の他、こういったカメなども見つかっています。

貝の方のメガロドン Megalodon も御船産。

博物館が真に紹介したいのはここまででしょうが、僕が一番紹介したいのは「恐竜大行進」と呼ばれる組立骨格の群れ。特にその先頭(厳密には先頭ではない)に佇むトリケラトプス Triceratops 亜成体。

ヨシズトライク Yoshi’s Trike ことMOR 3027。

僕が一番好きな動物です。トリケラが、という意味でもそうですが、標本としても一番好きです。かっこいいからです。

トリケラトプスと言えば角! その曲線、大きさ、長さ! 全てにおいてヨシズトライクはカンペキ最高だぁ😍

肩甲骨の位置が低すぎて胴体が妥当な高さよりも高くなってると思うんですけど、それにしても亜成体にもかかわらず右後ろにいるティラノサウルス(ワンケル MOR 555 だっけ?)に匹敵する巨体なのは確かってんだからバケモノですよ。これ以上のサイズに成長したかはわかりませんが、ヨシズトライクの存在はトリケラトプスがティラノサウルスにとって決して簡単に殺せる獲物ではなかったことの一つの証拠だと言えるでしょう。

標本番号でわかるとおりなのですが、オリジナルの標本はアメリカ・モンタナ州のMOR(ロッキー博物館)にあります。

ただしMORのは解釈の違いかなんかでホーンレットがない状態で復元されています。

ホーンレットと言えば、P0(正中線上の縁頭頂骨)がないですが、これはホーナー博士らの主張するトロケラトプス仮説(トリケラトプスは成長するとトロサウルス Torosaurus 形態(Toromorph)になる。トロ=トリケラ仮説)に基づいているため(参考文献)。MORはホーナー博士の支配下にあるのでね!

念のため言っておきますが、この仮説は再三反証されておりそれに対する反論もなく、現在ではほとんど支持されていません(参考文献1参考文献2)

発見部位が茶色で未発見の補完された部位は薄い色で表してある大変親切な展示。

ヨシズトライクという名前は発見者の桂嘉志浩(かつらよしひろ)さんへの献名(ニックネームでも献名っていうよね?)。最初に発見されたのは左の上眼窩角だったのですが、その時は太さのあまり大腿骨だと思われたそうで、桂さんは帰国後に大腿骨だった事を知らされたらしい、というのは有名なエピソード。

お腹いっぱいなのでヨシズトライクを取り巻いてるザコ恐竜たちは明日紹介します。

つづく….!