爪切りたい。ケラトプスユウタです。
まずはかわいい動物たちの写真をお楽しみください。
コマツグミ American robin
Turdus migratorius
ツグミ類 Turdus はもともと特に好きな動物なんですが、コマツグミは色も良いしアルバータにおいては最も身近だったのでますます思い入れの強い鳥になりました。
家畜枠から ロバ Equus asinus
彼はロバートさん。カルガリーにおける僕の唯一の友人。かなり人懐っこい。
Boxelder bug
Boisea trivittata
ボクセルダーとはつまりカエデ(トネリコバノカエデ)のこと。つまりカエデ(サトウカエデ)の葉を国旗とするカナダを代表する昆虫だ!(てきとー)
標準和名知ってる人教えてください。
なければ僕がカエデサシガメにします。
ハシボソキツツキ Nothern flicker
Colaptes auratus
不鮮明ですみません🙇♂️
ガン Branta の群れ
(連続写真みたいだ)
緑のトンボ
逃げるリス
さて、余興はここまでにして、今回は日本への帰路について書き残した物を…
10月1日
カルガリーへ向けて出発。
徒歩のため移動日数を三日弱と想定しているけどあわよくばヒッチハイクという考えもある。にわかに雹に降られた時、頼んでもないのに乗せてもらえたし、バンフでスタックした時も一撃で止まってもらえたから可能性は高い。カナダ人の思いやりを信じ、ドラムヘラーの町境付近でヒッチハイク開始した。
最初の二台はスルーしていった(その際運転手は二人ともサムズアップして見せてきた)けど三台目でアイルランド系キャナディアンのドウェインが止まってくれた。ただしドウェインの行き先は途中のストラスモアまでだった。少し考えたけど結局乗せてもらうことにしたのよね。
ドウェインと主に世界の料理についてしゃべりつつ(ギリシャ料理のスパナコピタを知ってたのは意外だった。欧米じゃ有名なのかな? 一方日本のスキヤキは知らなかった。あとカレーの英語風発音はカリーじゃなくてクーリーの方が近いっぽい)
ちなみに左の三角形のやつがスパナコピタ(だと僕は思ってます)。
正午頃にストラスモアに到着。
ストラスモアで10人以上に尋ねたけど残念ながら誰一人としてカルガリーには行かないというのでとりあえず歩き出した。
途中で台風並の強風が吹き出し、邪魔をしてきた。オレタチヲバカニシヤガッテ!
「このケラトプスユウタ様に試練を与えたけりゃ雪や雷でも降らせてみなさいっての!」とほざいたものの、結局弱さには勝てず、ハイウェイサイドに止むを得ずテントを張ったのよね。
10月2日
常に風がアンゼンイエロー(テント)の布製の壁を激しく叩き続けるけど、国道1号線の騒音が子守唄だった僕の耳に雑音は入らないようにできている。
朝になったら風がやんでいればいいな。そう思って就寝した。
しかしながら現実はそう思い通りには行ってなかった。
「でも雪が降ってないだけマシでしょ」と何の根拠もなくつぶやきつつ外を見ると辺り一面銀世界。寝て起きたら雪が積もってるって4月にも経験したパターンだねえ。
そして今回は吹雪。
ちんたらしてる間に、恐れていた冬が戻って来てしまったようだ。
僕にとって雪は沖や砂漠と並んで死を連想させるものなのよね。でもなんども言うように、アンゼンイエロー、レッド(シュラフ)、ブルー(ストームクルーザージャケット)に守られた私はマイナス60度の寒冷にも耐える。魂のフリルはそう簡単には壊れん。英語で言えば、Frill of soul can’t broken so easily.
でも身動きが取れない。というか取りたくない。
幸い、米、豆乳、ココアパウダー、パプリカパウダー、コショウ、溶けたプラスチックみたいな匂いのするチーズ、お土産のメープルシロップと糧秣は豊富だった。これで兵糧攻めは通用しない。
「これ一回冬眠しないとダメなやつだな」
風が弱まることに期待し、春を待つカエルか何かのように耐久モードに移行するも、一向に弱まる気配がない。
僕には今や時間制限があるため止むを得ず「迷惑なのでやめてくださーい」と叫んでから白い世界にバッと飛び出した。
吹雪の中テントを畳む苦労があなたにわかりますか!? しかも足元はサンダル。
ということで適当に荷物をゼロポイントに詰め込んで10時にアタック再開。
「春日野調査隊アタック!」指をスナップして、旅立って逝った隊員たちの無力この上ないソウルを宿し、歩き出した。
途中で車が通ればピックアップしてくれるに違いないという期待もあった。
「いっそ殺せ!いっそ殺せ!」と掛け声を上げつつよくがんばって進むこと5時間、ようやく1台の車が通りかかった。でっかいパトカーだった。思った通り止まったパトカー。
警察は「このブリザードのせいでこの先の道は封鎖されてる」と言った。通りでこの5時間1台も通らなかったわけなのよね。それから「ストラスモアまで送ってくから乗れ」と提案された。え〜、ストラスモアって昨日から合計10時間くらいかけて歩いてきたところなんですけど…。と思ったので、「封鎖が解除されたらまた歩き出すからここでテント張って待ちます。大丈夫大丈夫、大丈夫だって」とお互い顔を真っ白にしながら交渉をくり返し、ゴネまくって結局「ヤバくなったら俺に電話しろよ」と汚い数字の羅列が書かれた紙切れを渡すことで向こうが妥協した。
で、再びハイウェイサイドにアンゼンイエローを立てる。吹雪の中テントを組み立てる苦労があなたにわかりますか!?
で、寝てたら妙な圧迫感で目が覚めた。
「あーこれ死んだってことかな。すーごいやだほんとに(笑)」と言ったのも無理はない。雪でテントの左側が3分の2埋もれて、まるで雪崩に巻き込まれたような状態になっていたんだねえ。フライも皮一枚で繋がってる状態で、そのせいで防水機能がおびただしく低下、テント内部もビショビショになってる始末。テント内部がビショビショってことは当然アンゼンレッドもビショビショだ。史上最強の保温性能を誇るアンゼンレッドもダウンが濡れてしまっては力が出ない。アンパンマンの顔と同じだ。
事態の悪化を防ぐべく出入り口を開けるも、その瞬間風によって大量の雪が中に送り込まれて来るもんだからあら大変!
絶体絶命のピンチ!
濡れたせいで温かくなくなった、むしろ冷たくなったアンゼンレッドにくるまり再び耐久モードに移行した。ちなみにこの状況下における僕たちの耐寒能力は1度がせいぜいだ!
フライのはためく音が人の足跡のように聞こえ始めて、微かな希望となって闇を照らす。
希望は良い。希望が大きければ大きいほど絶望もそれに比例して大きくなる。
なんとなくまた警察が来る気がした。積雪時に野営していて警察が来なかった試しがない。
どのくらい経ったかわからないけど、予想通りのことが起こった。その警官は一部始終不機嫌だった。
僕がアンゼンイエローを畳んでいる間、「誰かさんを助けてるせいで俺は安全じゃない」とか言ってたな。
そして結局ストラスモアの避難所へ大人しく連行された。車内で口笛を吹いたら「お前は死ぬところだったんだぞ」とキレられた。あと無線で「今遭難者を助けた」とか言ってたな。またまた大袈裟なぁ。
別れ際に礼を言うと「俺はただ人の命を助けたいだけだ」と映画みたいなキザなセリフを吐いて行った。
避難所は大変快適でシャワーと食べ物にありついて、アンゼンイエローとレッドを乾かさせてもらった。
他にも足止めを食らった人々が十数人ほどいた。
2時間後に封鎖されていたカルガリーへの道が解放されたと報せが入ったので出て行こうとしたら、陽気な感じの小太りのばあさんに止められた。そしてどこへ行くか聞かれた。答えたら、ちょうど車でカルガリーに行くじいさんがいたから僕も連れていってくれるよう彼女が交渉してくれたのよね。ありがたいことにね。
そしてじいさんの車で無事カルガリーの地を踏むことが出来たというわけさ。
めでたしめでたし。
カルガリー空港のTレックス
ヘラジカ
カナダ編はこれで終わり!
今日まで読んでくださってありがとうございました!
明日からもなんか書いて行きますので引き続き当ブログをよろしくお願いします。