こういう構図を好んで撮ります。ケラトプスユウタです!
長く続いているロイヤル・ティレル古生物学博物館の展示紹介もゴールが見えてまいりました。
上の写真は AMNH 5116 という有名な標本でして、もっぱらトリケラトプス Triceratops として様々な施設やメディアで紹介されています。
僕はかってこいてドイル Doyle と呼んでいるので、僕のブログでも以下そのように表記します。
大きなフリルとまっすぐで長い角がかっこいいですね!
映画ジュラシック・パークに登場する病気のトリケラトプスはこの標本をモデルにしているようです。
と言ってもドイルなのは頭骨だけで、首から後ろのほとんどは AMNH 5033 で、下顎骨はAMNH 5039、癒合頸椎が AMNH 5045 という4個体分のコンポジットです。また、腕周りの未発見部位は、また別の個体を参考にしたアーティファクトです(参考文献)。
日本でも、いわきの石炭化石館や北九州市立自然史博物館(いのちのたび博物館)で(なぜか)プロルスス T. prorsus として展示されているのが見られます。
⬆︎これが“いのちのたび”のドイルですけども⬇︎
前肢が横に張り出されていて、組立当時の情報不足から手探りで復元した感じがします(現在では肘は後ろ(尾側)に曲げていたと考えられています(参考文献))。
前後長のある吻部、三本角の比率からして少なくともプロルススではないのは断言できますが、組立骨格がコンポジットであることを抜きにしても、ドイルはそれ以上の秘密を隠しています。
そもそもドイルはエラトゥス T. elatus やステルンベルギ T. sternbergi (参考文献)といった種(いずれもホリドゥス T. horridus のシノニム)として公式あるいは非公式に記載された事があるように、特徴がホリドゥスとしては典型的ではなく、分類がおぼつかない部分があります。
特に、発見されているフリルが完全ではないという点もあってか別種ないし別属トロサウルス Torosaurus である可能性もゼロではないと、故オズボーン博士やらえらぷす氏(参考文献)は考察しています(追記: 別種説がオズボーンさん、別属(トロサウルス)説がらえらぷすさんという意味)
たしかに長い鱗状骨とまっすぐな上眼窩角はトロサウルス的です。
ドイルについて自信を持って言えるのは、トリケラトプス族 Triceratopsini の動物である事、最後の恐竜の一つに属する事、そしてカッコいいという事ですね。
芸術に逃げた2枚
続いて紹介するのはドイルに背を向けて佇むティラノサウルス・レックス Tyrannosaurus rex
AMNH 5027(だっけ?)
追記: AMNH 5027 の頭骨とハクスリーレックスという個体のコンポジットだそうです。(ヒロくんありがとうございます)
ドラムヘラーの町のシンボルマークみたいな絵は、この方をモチーフにしていますね(参考画像)。
世界で最初に造られたティラノサウルスの組立骨格…だよね?
神奈川県立自然史博物館(生命の星地球博物館)でも見ることができます。
綺麗すぎるエドモントサウルス Edmontosaurus だけど曰くのある物なのだろうか。
ちなみに個人的なランシアン(ランス期)ビッグスリーは「トリケラ、ティラノ、エドモント 」です(産出量、解明度、知名度、ボディーサイズ、各所属タクサにおける派生的ポジションなどから)。恐竜ビッグスリーと言うと異論があると思うのでランシアンという括りに留めました。
エドモントは偉大性がトリケラ、ティラノに匹敵するわりにメディアでは扱いが悪いどころか存在が軽んじられている感じがして嫌ですね(武器や目立った特徴がないからという理由は知ってる)。
ヒパクロサウルス
Hypacrosaurus
テクスチャーからすると実骨と石膏(他の個体からのレプリカ?)を組み合わせた標本だろうか。
情報貧弱すぎんだろ!
と突っ込まれそうですが、弁解はしません。ただ差別ではないとだけ言っておきます。
当館の恐竜の紹介は最後かもしれません。明日もよろしくお願いします。
それじゃ👋