ロイヤル・ティレル古生物学博物館 #11 無骨一辺

パキリノサウルス Pachyrhinosaurus ! それは、これまでに何度かケラトプスユウタの恐竜旅行ブログに登場している、言わば常連恐竜です!

パキリノサウルスは角が瘤に進化している角竜の中で最も派生的でよく知られています。

その事から、群雄割拠のケラトプス類の中で、不動の地位を確率しているトリケラトプスと差別化しやすい存在としてメディアへの露出にも恵まれ、普通に考えられている以上に尊ばれている恐竜であるような感触があります。ケラトプスユウタです。

今日はロイヤル・ティレル古生物学博物館に展示されている2体のパキリノサウルス(に関係する)組立骨格を紹介します。早速見ていきましょう!

イデスリーの角竜 Iddesleigh ceratopsian

(属不明のパキリノサウルス族Pachyrhinosaurini)

TMP 2002.076.0001

州立恐竜公園 Dinosaur Provincial Park クオリー240、ダイナソーパーク層上部(カンパニアン期)

この展示物はアルバータ州の古脊椎動物学会にとって記念碑的存在です!

というのも、1897年以来この角竜の収集・研究・展示がアルバータ州で行われてきましたが、この組立骨格は、構成する全てのパーツが一個体分の実骨で成るケラトプス類の標本で、アルバータ州では始めての物らしいのですよ。

左後足や尾などが不完全なのは未発見であるからですね。

キャプションではパキリノサウルスの新種とされていますが、同館のダレン・タンケ博士によると、このパキリノサウルス族はパキリノサウルス属ではないだろうとの事です。(アケロウサウルスやエイニオサウルスなんかを内包する)パキリノサウルス族ではあるけど(カナデンシス、ペロトルムから成る)パキリノサウルス属ではないだろうという事です。

残念ながらこれだけの骨が揃っていながら、このタクサの属種の同定において重要なフリルの大部分が失われているので、詳しい分類が謎に包まれているわけですね。

パキリノサウルス・ラクスタイ Pachyrhinosaurus lakustai

グランドプレイリー Grande Prairie、パイプストーンクリーク Pipestone creek のボーンベッドから発掘されたパキリノの巨大な群れを成していた複数の個体由来の骨をアッセンブルしたコンポジット。

(パイプストーンクリークのパキリノサウルスについてはちょうどいい過去記事 があります)

首から後ろは潰れているせいで頭が大きすぎるように見えます。

その頭骨もコンポジットであり、同じボーンベッドから発見された似たサイズの動物(パキリノじゃないかも?)由来の下顎骨と頭頂骨で、フリルはアーティファクトらしい。

首から後ろの要素は、仙椎を除いて実骨で、同じボーンベッド産の似たサイズのパキリノのものを組み合わせているそうです。

顔の右側にある大きな穴は、巨大な病変です。死後侵食されたものではなく、治癒痕があります。

頭骨の幅は本来の半分かそれ以上に潰れているように見えますね。

四肢はある部分では大きく見え、別のビューでは細長く見えます。

鼻のコブの様子は美しいと思います。

ここまでにします!

今日もありがとうございます。