フィリップ・J・カリー恐竜博物館 #2 珍しいケラトプス類展示

やあ恐竜ファンのみなさん。ケラトプスユウタです。

今日は予告通りフィリップ・J・カリー恐竜博物館の展示物紹介の続きをやらせていただきますよ。

石頭恐竜の一つステゴケラス・ヴァリドゥム Stegoceras validum。ひねくれてメジャーなパキケファロサウルスを外したってわけじゃなく、地元アルバータ産のイシアタマを使おうという事だよね。

有名鎧竜の一つ、エドモントニア Edomontonia.sp

頭だけの展示。この標本(レプリカ)のオリジナルは新聞紙に包まれた状態で発見されたらしい(!?)

このステゴケラスとエドモントニアの頭の間にはスキャナー的な機械が置いてあって、頭が乗っている台をスライドさせて機械の中を潜らせることによって、ゲストの手で密度かなんかを調べることができるようになっている展示だった。

ゼノケラトプス・フォレモステンシス

Xenoceratops foremostensis

CMN 53282

目立つブロウホーンを備えているけど、こう見えてパキリノサウルス族に分類されている。中国のシノケラトプス Sinoceratops の姉妹群らしい(参考文献)。フリルの様子だけ見ればけっこうパキリノサウルス族チックですな。

フリルのすみの大きな縁頭頂骨とブロウホーンが個性的で良いね。

2019年1月現在、既知の唯一のアパラチア大陸産ケラトプス類ということでも非常にユニークな存在。

コロノサウルス・ブリンクマニ Coronosaurus brinkmani

TMP 2002.68.1

最初はセントロサウルス属の新種として発表された種。イソギンチャクのようなホーンレット(縁飾り)の復元画が有名だけどそれは角質で盛った生体復元で、骨はこんな感じだ。

コロノサウリア Coronosauria(ケラトプス類とプロトケラトプス類で成るタクサ)の名付け元であるかのような学名だけど模式属ではないんだっけか?(コロノサウルスの原記載は2015年だけどコロノサウリアの設立は1986年なので、むしろ上位分類名が属の名付け元っぽい(参考文献))

アルバータケラトプス・ネスモイ Albertaceratops nesmoi

TMP.2001.26.1

ゼノケラトプスと同じく立派なブロウホーンを備えたセントロサウルス亜科。本種の発見を皮切りに、そうしたセントロサウルス亜科が知られるようになったのよね。

福井県立恐竜博物館にも同じ名前の恐竜(レオナの愛称で呼ばれる標本)がケラトプス類代表として展示されてるけど、レオナは本種とメデューサケラトプス Medusaceratops lokii という別種が混同されていた時のもので、実際はアルバータケラトプス要素はない。その上、アルバータケラトプスがカスモサウルス属 Chasmosaurus だと思われてた時に作られた骨格模型だからフリルがカスモサウルスとして復元されてしまっている。

要するに、福井県立恐竜博物館の“アルバータケラトプス” レオナはアルバータケラトプスではないのよね。残念ながら。

この顛末については、らえらぷすさんのブログ、「Get away trike/ジュディスリバーの悪夢(前編)、(中編)」に詳しい。

本博物館の推し、パキリノサウルス・ラクスタイ Pachyrhinosaurus lakustai の親子。

パキリノサウルスの模式種はカナデンシス P. canadensis だけど、こちらの方がよく知られているし復元もよく見る。ラクスタイはP2(第2縁頭頂骨)が立ち上がっている事とフリルの正中線上に角があることが特徴だ!

ラクスタイがよく知られているのは他ならぬパイプストーンクリーク pipestone creek のボーンベッドの発見と研究によるところが大きい。それには無数のパキリノサウルスが含まれていた。ヌーみたいに大規模な群れで生活していたとする根拠なのよね。

二体ともそのボーンベッド由来の複数の個体の骨をコンポジットしたものをレストアしたもの。

成体の方はかはくのトリケラトプス・プロルスス Triceratops prorsus くらいのボリュームがある。つまりでかい。

幼体の展示はここだけのはず(頸椎が背側に弓ってるのは良いのだろうか?)

今日はここまで。

続きはまた明日!